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あのホテルで雅記と再会した。
あのホテルは、瑛太と最後に会ったところだ。同じラウンジにいた。
雅記は相変わらずの短髪に、やんちゃな面影のあるちょっといかつい顔、ラガーマンだった面影もしっかり残ってる。
証券マンになっていたのは知っていた。
二人は卒業以来、初の再会だった。
「驚いたよ、そんな内容で電話来るとは思ってもなかったから。」
雅記の声は、瑛太と打って変わって、少し高めだ。有架里の音域まで、あと少しといった感じだ。
「うん、急にごめんね。気になって……。」
雅記は勢いよくアイスコーヒーを飲むと、
「先輩のことだからさー、飛行機のチケット入れ忘れたとか、あとから送ってくるとかじゃね?」
と、淡々と言ってきた。
「瑛太君、そんな人じゃ……。」
「あるある。ああいう一人で何でもしっかりやってます、て人ほど、ある日突然、物凄いボケをかます。」
有架里は口をつぐんだ。
「少し、様子見といたら?」
雅記はあっという間にアイスコーヒーを飲み終え、
「もう一杯、頼んでいい?」
と、悪戯っぽく笑ってきた。
「うん、いいよ。」
「ここのコーヒー美味いなあ-。安サラリーマンには勿体無い勿体無い。」
雅記はさっさと二杯目のアイスコーヒーを頼んだ。
「ところで。今も、瑛太君、なんだな?」
「え?」
「だってそうじゃん。皆、先輩とか、苗字でさん付けで呼んでるのに、君だけ瑛太君だ。」
「それは……。」
「なんでか聞いてもいい?」
雅記の顔は笑っていたけど、目は真面目だった。
有架里は一呼吸置いてから話し始めた。




