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目の前にいる瑛太はスーツを着ていた。
2~3人のスーツ姿の男性達を先に帰して、伝票を手にしていた。
「瑛太……。」
目を見開いて呟く有架里に、瑛太は少し忙しそうに手を振ると、すぐに行ってしまった。
「お姉ちゃん?」
「……待ってて。」
ここで瑛太を見失ったら、もう一生会えない!
そう思い、有架里は小走りした。
広いラウンジを抜けると、チェックを済ませた瑛太の後ろ姿を見つけた。
「瑛太!」
立ち止まり振り向く瑛太だった。
「久しぶりだな。元気?」
瑛太は本当に忙しそうだった。
「そうか……。」
瑛太は名刺ケースから自分の名刺を取り出すと、有架里に渡そうとしてきた。
「俺、今この仕事に就いているんだ。」
瑛太はボールペンで名刺の裏に何か書き込みをした。
受け取ると、そこには携帯の番号が書かれてあった。




