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就職の決まらない有架里は、あづみとホテルのラウンジへ行った。
あづみは希望する芸術学部へ行き、キャンパスライフを大変そうにしながらも、満喫していた。
有架里は落ち込んだ顔を見せていた。
あづみはアールグレイかキャラメルティーにするか迷っていた。
何も考えたくない有架里は、即決でアイスコーヒーを頼んだ。
選択に迷えるなんて、いいなあ……などと、羨ましくなった。
久しぶりに会った姉妹の会話は、有架里の就職の話でいっぱいだった。
「もう、お姉ちゃん! そんな暗い顔しないで! 正装コンサート行こう!」
「え、チケットあるの?」
「ううん。あはっ!」
「誰と行くのよ、あったとして。」
「パパ! あー、行きたいなー。」
「私も行きたいわよ……。」
と、言い終えるや否や、有架里の口は開いたままになった。
「オ、レ……。」
瑛太の口は「俺」と口パクしていた。




