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あとでわかったこともある。
婚約者は、瑛太の父親の経営する会社と、政治的に結びつきのある、与党幹部の娘だった。
留学は交換留学だけなのか、退学と編入を視野に入れての留学なのか、わからなかった。
もう知りたくない気持ちもあった。
あんなに仲良く遊んでいた仲間に、裏切られた気持ちも、心のどこかにあった。
誰にも詳しい話をせず、素振りにも見せず、ある日いなくなってしまった瑛太に、感情の糸は絡まり、ほどけなかった。
心折れた日々を胸に抱きしめ、どのように過ごしたのか。
やがて有架里の就職活動も始まり、将来を決めなくてはいけないレールの上を一人トボトボと歩き始めた。
大学4年生の夏の終わりのことだった。
偶然、瑛太に再会したのだった。




