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第6話 2つの人影

 

 それは、とても見慣れた人達だった。


「あれは……蕾に悠真?!」

 見間違うはずがない、あれは絶対に蕾と悠真だ。


「空の知り合いなの?」

 

「現実の僕の友達だよ!」


「空の友達ってことは、チキューってとこからきたってこと?」


「そーゆーことだね」


「へぇー! 珍しいこともあるもんだね!」

 アリエはびっくりしたような声をあげた。


 ここにいるってことはあのおまじないは本当だったってことか?


「悠真君、ここどこなんだろ……?」

 蕾は周囲を見渡す。


「俺にもわからねぇ……。でもここが空の言ってた『夢』ってやつなんじゃねぇかな」


「それなら空君を探さないと……」


「その必要はないよ」

 戸惑っている蕾と悠真に声を掛ける。


「空!」

「空君!」

 2人は僕を見て安心したようだ。


「2人とも来れたんだね。どんな感じだった?」


『寝たらいきなりここに立ってた、かな』

 2人はまったく同じことを言った。


 見たところ2人とも怪我などはしてないようだ。

「そっか、なにはともあれ無事に来れて良かったね」


「ほんとだよ……。それにしてもちょうど空が来てくれて助かったぜ!

 隣に居る女の子はもしかして……?」

 悠真は僕の肩を小突く。


「〜〜〜、〜〜〜!」


『……え?』


 そーいえばケーシスを発動しないと会話できないんだったな。

 僕はさっき練習したばかりのケーシスを蕾達の肩に触れ、発動させた。


「はじめまして、私はアリエだよ!」


「あれ……? 一瞬なに言ったのかわからなかった気がするんだけど」

「私もわからなかった……」


 そりゃわからないよね。言語が違うんだもん。


「後で説明するよ、それより自己紹介だけしちゃおうか」

 とりあえずややこしいことは後回しにしよう。


「それもそーだな。はじめまして、アリエちゃ……あ!

 ごめんな……いきなりちゃん付けで呼んじゃって。俺は柊悠真、よろしくな!」

 そう言うと悠真は右手を差し出す。


 悠真も僕みたいにアリエのほうが年下だと思ってるんだろうな。


「よろしく、悠真!

 別にちゃん付けでもいいよ〜」

 アリエは悠真の差し出した手を握った。


「じゃあお言葉に甘えてアリエちゃん。って呼ばせてもらうわ!」

 悠真は念願のアリエに会えて満足そうだ。


「言っとくけど僕達よりアリエの方が年上だぞ」


「いっ?! ……まじで?」


「まじで」


「いーのいーの、ちゃん付けでいいし別に敬語も使わないで!」


「は、はぁ……そう言うことなら普通にしゃべります」

 悠真は1人で見た目が幼過ぎだろ……と呟いていた。


「そっちの可愛い女の子! 名前はなんていうの?」

 今度は蕾との自己紹介かな。


「可愛い?! そんなことないですよ……。私の名前は小桜蕾です。

 よろしくお願いしますね、アリエさん!」


 やっぱり蕾は礼儀正しいなぁ。


「よろしくね、蕾!」

 2人は握手を交わしていた。


「2人とも自己紹介は済んだね。じゃあここについての説明にはいろっか……と言いたいとこなんだけど、僕もまだ知らないことばかりだからアリエに頼もうかな」


「りょ〜かいっ! 改めて、みんなよろしくね!」


『よろしくお願いします!』


「じゃあ説明に入るね。まず君達が『夢』って言っているこの世界は【アドリーム】という世界なの。

 私達にも『夢』ってのは存在してるからさ、ごちゃごちゃになるとわかりにくいから今度から『夢』って言わないでアドリームって言ってね。空達の元々いる世界はチキュー(地球)って言ってくれるとわかりやすいかな」


 アドリーム……か。空は改めてここが地球じゃないことを認識した。


「質問、いいですか?」

 蕾が小さく手をあげる。


「なにー?」


「さっき初めてアリエさんにお会いした時、なにを言っていたのかまったくわからなかったのに空君が肩に触れた瞬間にアリエさんの言葉が理解できるようになったんです。これってどーゆーことですか?」


「あ〜、それはね……」

 アリエは僕に説明した時のように蕾達にケーシスを説明した。


「はぁ……そんな不思議なことがアドリームではできるんですね」

 蕾は驚きの表情を浮かべている。


「俺もケーシスっての発動させてみたいな!」

 悠真は現実にはない不思議な力に興味を示している。


「なんなら今すぐやっちゃう?」

 アリエが悠真に声を掛ける。


「まじで?!」

 驚くほどいいくいつきっぷりだ。


「まじまじ! さっきまで空も練習してしね!」


「そーなのか! 空はケーシス発動できたのか?」

 

「簡単なやつだけね」


「おぉぉ、すごいな! 空ができたってことは地球から来た奴でもできるってことだな!」

 悠真は尊敬の眼差しを僕に向けていた。


 そう言えばそうだな、地球に居たときはケーシスなんて発動できなかったのにアドリームでは発動できるようになってるわけだ。


「この世界の法則が適用されるのかも」

 

「そうと決まれば早速練習だ!」


「じゃあ私も、一緒にいいかな?」


「オッケー! アリエコーチ再臨!」


 悠真とアリエはテンション高過ぎだろ……。そう思いながらも僕もついて行くことにした。


「会話のケーシスは空が発動させてくれたから、さっきまで空が練習してた一気に移動できるケーシスにしよっか。ちなみにこのケーシスは【蹴動しゅうどう】って言うんだ。慣れると一気にもっと遠くまで移動できるようになるよ〜」


 ケーシスにも技名みたいなのがあるんだ。でもたしかに技名があった方がイメージとかしやすいかも。


「うぉぉ、発動しろぉぉ!」

 悠真は叫びながら全身に力を込めている。


「叫んでもケーシスは発動しないよ〜」


 そりゃそうだ。


「あっ! ちょっと地面が柔らかくなった!」

 蕾は飛び跳ねて喜んでいる。


「蕾は空と同じでセンスあるね〜、次は足に力を込めるのも同時にイメージしたらできるはずだよ!」


「わかりました!」


 蕾はイメージうまいな……。悠真は……まぁ予想通りか。


「しっかりとイメージをする……と。うっしゃ、いくぜ!」

 そういうと悠真は思いっきり地面を蹴り出した。


 その瞬間ーー、悠真の姿は30mほど先に移動していたーー。


『……え?』


 みんななにが起きたかわからない上に、ケーシスを発動させた本人でさえ疑問の表情をしていた。


「……悠真! すごいじゃん!」

 アリエが声を荒げる。


「……だよな! 自分でもびびったぜ」

 悠真は嬉しそうだ。


「悠真君が移動したときの姿、目で追いきれなかったよ……」

 蕾も驚嘆の声をあげる。


 僕も悠真がなにをしたのかわからなかった……。

 それほどに今の悠真の蹴動はすごかったのだ。


「悠真は地面への干渉が強いのかもしれないね」

 アリエがうんうん。と感心しながら言う。


 干渉が強い……?


「ケーシスにも強いとか弱いとかあるの?」


「人それぞれ向き不向きなイメージがあるんだ。だからケーシスを発動させた時の干渉には強弱がつくの。悠真はなんか地面に関する出来事や思い出でもあった?」


 悠真はうーむと声をあげている。 

「んー、昔野球をやってた時は地面に感動してたかな」

 

「地面に感動?」


「この地面があって、それを踏み込むことによって走ることができるし、スイングやピッチングに力を込められるんだ……ってなんか感動してた時があったんだよ」


「なるほどね〜。こんなふうになにか思い出とかに残ってるものに対してはケーシスが発動しやすいんだ」


「だから俺はあんなに蹴動がうまく発動できたのか」


 地面に対して思い入れがあったから、地面への干渉が強かった。ってことか……?


「じゃあ僕にも発動させやすいケーシスがあるってこと?」


「そーゆーことっ! とりあえずみんな疲れただろうし、家に行こうか」


 アリエの家へ向かう途中、街の人達の言葉が理解できるか確認するために耳をすまし世間話などを聞いていた時、ある住民達の話が聞こえてきたーー、


「現実と夢を繋ぐ実験が始まったらしいですよ。もう何回か試したらしいですけど失敗に終わったそうです。噂じゃ夢となるための世界を支配するとかなんとか……」


 夢となるための世界を支配する?

 夢を新しく作るってことか……?


 もっと注意深く意識をその話に向ける、

「夢となる世界の名前は【地球】と言うそうですよ。そこに地球人とかいう知能の高い生命体がいたとか何とかで……」


「実験がはやく成功するといいですねぇ」


「夢が広がりますよ!」

 そんな話をして住人達は高笑いをしていた。


 ……え?


 それって、地球を支配するってことか?

 地球とアドリームが繋がる……?


 そうだとしたらめちゃくちゃやばいんじゃーー!


 地球に戻って警察とかに伝えるか?

 いや、夢の中の人々が地球を支配しにくるなんて言ったって信じてもらえる訳がない……。


 どうする……考えろ……。


 とりあえず、みんなに話すべきかーー。


「みんな、ここじゃちょっと話しにくいことができたからちょっと急ごう」


「どうしたの空? まぁいいけど……」


 アリエの家についてリビングにあがった瞬間、僕はみんなにさっき聞いたことを話した。


「それってやっぱり地球に住んでるみんなを奴隷にしたり殺したりするってことだよな……」


「そんなの嫌だよ……」

 蕾は今にも泣き出しそうだ。


「僕だって嫌だよ。まさか噂に聞いてた組織の技術開発が地球を支配することだったなんて……」


「私が噂を聞いた時はそんな話なかったのに……。前に比べて技術が進歩したってこと?」

 アリエは珍し真剣な顔をしている。


「でも実験がはやく成功するといい。って話をしてたからまだ地球とは繋がってないはずなんだ」


 何回か感じた違和感はその実験のせいか……?


「てか、俺たちが地球から来たのがばれたら殺される?」


 そうか……組織の目的が地球人の排除も含んでいるなら、地球にこのことを知らせられるのも困るし僕達は1番の邪魔者だ……!


「もし組織に僕達のことが伝われば、そうなるかもしれない……。

 でも、僕達がアドリームに来てそんなに時間は立っていないしばれてはないと思うけど……」


「でももしばれてたら怖いし、空達は一旦地球に戻って。その間に私が情報収集してくるから。

 地球でするべきこともあるでしょ?」

 アリエが地球に戻るよう提案する。


「アリエ、いいの?」

 自分に関係ないことだろうに情報収集まで……。


「いーのいーの! 私と空達は友達だからね!」


 蕾達も色々することがあるだろう……。


「……ありがとう。蕾、悠真、地球に戻るよ」

 せっかくのアリエの好意だ、断る理由もない。


「戻るってどーやってだよ?」

 悠真が尋ねてくる。


「寝るんだ、ただそれだけでいい。起きたら見慣れた風景に戻ってるよ。

 問題はベッドが1個しかないんだけど……」

 そう言いながら僕の部屋に移動する。


「私みんながみてる前で寝るのは恥ずかしいよ……」


「俺はまた人が消える瞬間。が見たいから2番目に寝るかな」


(別に空の部屋以外にもベッドとか布団はあるんだけど、みんな真剣に悩んでて面白いから言わないでおこう……)


「なんだそりゃ……。まぁいいよ、僕が1番最初に寝るね」


 僕はもう得意になってしまった早寝をみんなの前で披露した。


 ピリピリピリピリピリピリ!


 違和感が強くなってる……やっぱり実験が関係あるんだろうか。

 でも今まで違和感を感じても現実とアドリームは行き来できていたし、大丈夫だろう。


 目を覚ましたそこに広がっていた風景はーー、蕾も悠真もアリエもいる……さっきまでいたアドリームにあるアリエの家の……僕の部屋だったーー!


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