序編
ダークサイド・リアライゼーション―Darkside Realization―
ころす、殺す、殺ス、コロス……。
壊したい、全てを引きちぎりたい。
内に秘めた負のオーラが少年をベールのように包み込んでいる。
理性や感情は全くない。
この衝動に身を任せて暴れまわりたい。
ただただ、それだけであった。
隔離された施設内で能力者たちが彼を必死で止めようと試みる。が、それを凌駕する能力と負から生まれたエネルギーにより誰にも止めることはできない。
何重にも固められた施設の壁を一振りで破壊したのち、少年――いや、この世のものではないイキモノはまっすぐと歩を進める。
彼に道など必要ない。
道は自分で作ればよいのだ。
目の前にある障害となるものをいとも簡単に残骸へと変えていく。
水月堂茶会事件、唯一の生き残りであった少年は、感情による暴走で、人ならざるものへと変貌していた。
この所在地が能力を職とするエリートたちが集う本拠地であるにも関わらず、誰にも彼を止めることはできない。その場にいたものたちはこの世の終わりだと誰もが思っただろう。
負傷者百六十三名、死者四名。
死者が四人と少ないのは不幸中の幸いか。そのイキモノは視界に入る邪魔な障害にしか興味はなかった。
最終的に彼を止めたのは能力者達ではなかった。
朱色に染まる小さな石――彼が茶会事件の時に所持していたものだ。
施設を進むにつれて、その石を保管していた部屋に行きついたのだった。
彼が石に触れると、暴走が鎮静化しただけでなく、「人」として彼は戻りゆく。
偶然か必然か。
その「石」によって彼は、世界は救われたのだった。
凪咲編
burst balloon編
crazy for you編
哀しみの向こう側編
イバラの涙編
駒神様編
戦う理由編
crazy for you編までは夏前までに修正を終わらせて投稿出来たらと思っています。
よろしくお願い致します。