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声を無くした金糸雀は  作者: 毛布子
8/18

日記⑦ 残酷な真実

【□△年□月○日】


 こんな声なくなってしまえばいいのに。

 私じゃなかった。求められていたのは私じゃなかったの。


 彼が愛していたのは、私よりもずっと美しい人。

 赤いバラの似合う、青い瞳のお姫様だったわ。


 私と同じ年齢の、私と似た背格好の、この国の二番目の王女様。


 私の声は、そんなに似ているの?


 いつも私の体を抱き締めるのは、私の姿を見ないためだったのね。


 私が勇気を振り絞って初めて呼んだお名前も、結婚式での誓いの言葉も、毎日のお見送りやお出迎えも、全部。

 きっと、彼の中では愛しい人の言葉として受け取られていたのね。


 馬鹿みたいだわ。

 私がどれだけあの人を愛していても、どれだけ言葉を尽くしても、私の思いは彼には届かない。


 声だけは確かに届いているのに、私の気持ちは受け取ってもらえない。


 ――私を見て欲しいの、あの人の身代わりじゃなくて、私を見て。

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