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日記⑨ 私の幸せ
【日記帳 最後のページ】
私の言葉は彼に聞こえるけれど、私の心は彼には届かない。
彼は私を抱き締めてくれるけれど、私の姿を見てはいない。
私に求められたのは、この声だけ。
だから、彼に私の声が届いても、言葉に私の心は必要ないの。
彼は私のことを見ていないけれど、私を見ていてくれた人はたくさんいたわ。
私はそれで救われたの。幸せだったわ。
昼間の私が、本当の私。
彼は、朝と夜の私しか知らない。
――従順で理想的な身代わりの人形と、一人で幸せなおままごとをしているの。
……もうすぐ子供が産まれるわ。
そうしたら、私達の関係は少しは変わるのかしら?
――それとも、このまま続くのかしら。
【以降空白】