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2学期



 創世暦3495年。聖地ルミナスに封印されていた魔王『ヴァリム』が復活を果たした。

 魔王は世界各地で息を潜めていた魔族を聖地へ召集。魔王軍を結成し、人類に対して宣戦布告を行った。


 魔王軍は聖地に隣接する国を僅か3日で侵略。国民達は老若男女問わず皆殺しにされた。その後、魔王軍は王都へ進軍を開始する。

 この知らせを聞い帝王は、すぐに各国の代表を招集。王国軍を編成し、魔王軍との戦いに挑んだ。

 しかし、王国軍は7日と持たずに敗北することになる。魔族が扱う『魔法』の存在が、王国軍に大打撃を与えたのだ。



 人類は魔法を使えない。いや、使えなくなってしまった。


 人類が魔法を使えたのは、魔王が世界を統治していた前創世暦の時代。

 力が全てだったこの時代では、生きるためにさまざまな研究が行われ、戦うためのさまざまな力が生み出されていた。

 その甲斐あって、魔王討伐とまではいかずとも封印することに成功したのだ。




 「願わくば、この平和がずっと続きますように」




 人々は皆、永遠の平和と繁栄を願い、自由を謳歌した。

 その後、魔王を封印した創世暦0年から3000年間、争いが起きることはなかった。


 時が経つにつれて、過去の遺物、研究はゆっくりと姿を消していった。なぜなら、人々はこれからも絶対に争いは起こらないと信じてやまなかったからだ。

 人々が戦うことを忘れていくにつれて、魔法の存在はゆっくりと人類の中から姿を消していった。


 この長すぎる平和が仇となるとは、当時の人々は思いもしなかっただろう。



 『魔法』という圧倒的戦力差の前に王国軍はなす術なく敗北。この知らせはすさまじい速さで各国に伝わり、人々を恐怖のどん底へと叩き落とした。人々は、明日におびえる毎日を過ごした。


 しかし数ヵ月後、この状況を一変させる出来事が起きる。表舞台に上がらず、ひっそりと暮らしてた失われし技術と魔法の力を継承した者達が戦争に加わったのだ。


 彼ら『魔導師』は、かつて失われた技術を用いて魔王軍の一角を壊滅させ、壊滅間近だった王国軍を救った。この5人の魔導師の出現により、王国軍は快進撃を始める。

 魔国四天王が1人、魔王軍前線部隊長の『ゲグ』を討伐。さらに、魔法の素質を持つ者達に魔法の力を授け、失われた技術を公開して武具の性能を向上させた。形勢は逆転し、戦線は一気に前進。魔王城目前まで迫った。




 そして今日、ついに人類の存亡をかけた最後の戦いが始まった。


 魔導師『ホリィ』『ジーン』『メルビア』『タリム』は四天王クラスの魔族を相手に、最強の魔導師である『シグマ』は魔王に戦いを挑んだ。


 かつて世界の頂点に君臨していた魔王。幾多の軍勢を滅ぼした彼の前に現れたのはたった1人の人間。しかも「お前を殺す」という台詞付きだ。完全にナメきった相手の行動に、魔王は激怒した。




 「康一ー。早くしないと遅刻するわよー。」




 魔王からあふれる膨大な魔力が大気を震わす。しかし、シグマは動じない。ただ相手を見据え、不適に笑う。




 「ちょっと康一、聞いてるのー?」




 魔王は右手に魔力を収束させた。それと同時にシグマも高圧縮された魔力を―――




 「康一!遅刻するって言ってるでしょう!?」


 「あぁもう、聞こえてるって!ちゃんと準備してるから!」


 「聞こえてるなら返事くらいしなさい!」




 俺は制服のズボンにベルトを通し、少し薄めの靴下を履いた。かばんを片手に玄関で靴を履き、扉を開けていざ灼熱の世界へ。

 非常に、ひっっじょぉうに不満ではあるが、今日から学校に通わなければならない。高校に入って2度目の夏休みが終わり、今日から2学期が始まってしまう。


 あぁ・・・「っしゃあ!今日からずっと俺のターン!」なんて言ってたのが、つい昨日のように感じる。楽しかったなぁ・・・ネトゲで2徹したり、積みゲー消化したり、短期バイトで金稼いだり。

 だがしかし、現実は非常である。楽しい事があっただけ辛いこともあった。宿題とか宿題とか宿題とか。あ、そういえば読書感想文やってねぇや。・・・・・・2学期早々居残り確定か。上がり気味だったテンションがどんどん急降下していく。


 ・・・よし、こんなときこそ現実逃避だ。朝の『脳内妄想劇場』の続きを再生しよう。


 妄想はいいもんだ。暇な時間をすっ飛ばしてくれるし、自分の好きなように話を弄くって俺TUEEE出来るし、何より嫌な事を忘れさせてくれる。俺を構成する要素の3割を占めていると言っても過言ではない。


 さて、どこまで考えたっけか?確か・・・そうそう、最強の魔導師『シグマ(俺)』が魔王と戦うとこからだったな。学校に着くまでまだ時間かかるし、いいバトルが期待できそうだ。



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