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第97話 赤いリンゴ 3


97 赤いリンゴ 3



 座り込んでいるセーレをストラスと光太郎に預けて、アリーシャを迎え撃つために足を進める。当の本人は契約石を奪われない様に懐に入れて短剣を手に持っている。鈍く光っている短剣を撫でているアリーシャは視線をあげて黙っていた口を開いた。


 「(この短剣が飾りだと思っていますか?)


 は?どういうこと?ヴォラクに訳してもらっても意味が分からず首をかしげる。あの短剣が玩具なんて思わない。見た目以上に切れ味も鋭いだろう。アロケルが召喚した化け物を従えて短剣を撫でているアリーシャは返事をしない俺に何を思ったのか言葉を続けた。


 「(日本人男性は女性に返事をしないものですか?平等な国と聞いていたけれど、私と話す価値はないと?)」

 「いや、そういう訳じゃなくて……」


 少し離れた場所ではパイモンとアロケルが既に剣を合わせており、見るからに屈強な戦士のような悪魔であるアロケルのガタイはパイモンより遥かに良く、力業で押し切られてしまうのではないかと不安にもなる。それでも今までたくさんの悪魔と戦って勝ってきたパイモンだ。負けるはずがない。


 俺は俺の望むようにするだけだ。


 視線をアリーシャに戻すと、彼女は不愉快そうに短剣を握りしめている。


 「(私が、他人を殺すことに躊躇すると思っていますか?)」


 そんなこと思う訳がない。これだけの人を殺害してきたんだ。アロケルが手を下していたとしても命令していたのはアリーシャだ。人を殺せと命令するときの気持ちはどんなものなのだろう。俺には理解できそうにない。


 「思わないです。これだけ沢山の犠牲者を出しているんだから」

 「(その通りです。貴方が男で良かった。罪悪感を覚えることもない)」


 アリーシャが短剣でアロケルの使い魔に傷をつける。こういうの見たことある。バアルと戦った時に契約者のアレハンドロがやってたのと同じだ。短剣で傷つけた相手を意のままに従えるのかもしれない。


 「(今から主は私です。あの悪魔たちを殺しなさい)」


 聞くに堪えない雄たけびを上げて化け物がこちらに突進していく。シトリーが俺の腕を引いて後ろに追いやり、ヴォラクが空中に舞い上がる。


 『行くよ!』


 その瞬間現れた双頭のドラゴンにまたがり、ヴォラクが使い魔に攻撃を仕掛ける。使い魔のサイズは俺の倍くらいだ。でかいけど、さすがにドラゴンの前では圧倒的に小さい。しかしその状況を見てアリーシャが契約石を握りしめる。


 「だる」


 シトリーが走り出し、アリーシャの契約石を奪いに手を伸ばすも、短剣を突き立てて抵抗し、シトリーは舌打ちをして距離をとる。


 「アロケルに剣術指南受けてんなあれ。慣れてないなら羽交い絞めにしてやろうと思ってたけど、絶妙に間合いとって攻撃してくる」

 「シトリー、あのナイフ……」

 「不気味なんだよなあ。あのナイフ……魔力宿ってっから、あれに斬られたらなんかカラクリありそうで嫌なんだよ」


 それは分かる。あの不気味な短剣からの攻撃を受けたくないだろう。しかしシトリーが距離をとったのをいいことにアリーシャが契約石に何かを呟いた。


 「はあ!?」

 「お、おお……すげえな。契約石ってここまでできるんか流石に俺も知らんかったわ」


 アロケルの使い魔が魔力を帯びて巨大化していき、ヴォラクが召喚したドラゴンであるフォモスとディモスと同じくらいのサイズに変わっていく。流石にこのトンデモ展開に俺だけじゃなく、シトリーまで感心したように口を開けて呆けている。


 いくつも手を持つ化け物はドラゴンの足を掴み引きずりおろそうとしているが、鋭い爪と硬い鱗に守られているドラゴンに傷をつけることは今のところ出来ていない。こんなことされるなんて思ってなかった。早くアリーシャから契約石を奪わないと。

 

 浄化の剣を持って威嚇するように一歩前に出る。短剣よりも大きな剣をちらつかせればビビってくれるんじゃないかって期待したけど、シリアルキラーには通用しない。


 「(無駄な抵抗は止めなさい。ここで死にますよ)」

 「(つれないこと言うなよ。あんたの娘から探してほしいって言われてここまで来たのによ)」


 再度揺さぶる様にシトリーが返答すれば、アリーシャがピクリと眉を動かした。


 「(私に娘はいません)」

 「(マナワラ地区に住んでるのはあんたの娘だろ?母親の結婚写真を大事に持って、また会えるのを願ってるなんて健気な事させてやるなよ)」


 琴線に触れたのかアリーシャが短剣を振り上げて攻撃をしてきたため、慌てて逃げて距離をとる。


 「(殺し合いにくだらない発言は不要です)」

 「怒らせたわ」

 「何しに来たんだよお前!?」


 何を言ったのかは知らないけど、相手を怒らせたっていい事なんかないだろ!


 耳をつんざく叫び声が聞こえ音の方に顔を向けると、フォモスとディモスが使い魔と派手に戦っており、その奥ではパイモンがアロケルと剣を合わせている。パイモンの方は大丈夫そうだ。体格差があるから少し心配だったけどアロケルを追い詰めているように見える。


 問題はあのバカでかい使い魔と契約者なんだよな。特に使い魔の方はヴォラクやドラゴンが斬っても斬っても再生してくる。あの契約石のせいなんだろう。だからこそ契約石を奪って破壊しないと。


 剣を持って威嚇するように前に出てもアリーシャは動じない。冷めた瞳でこちらを見て、契約石を握りしめている。向こうから攻撃をする意思はない、でも俺たちが攻撃したら受けて立つ。そんな姿勢に見える。相手に現時点での攻撃の意思がないのならなんとかなるのか?


 「シトリー、翻訳して」

 「いいけど……ありゃ言うこと聞かんぜ」


 それでもいい。むやみやたら傷つけたいわけじゃない。説得できるのならそれでいい。


 「契約石を渡してください。あの悪魔はあまりにも危険だ」


 シトリーが訳して伝えてくれるけど、アリーシャは呆れたように瞳を閉じて返事をしてくれない。それでも根気強く同じことを訴えても反応を返してくれなかった。今までの契約者と違い、あまりにも頑なな態度に困惑してしまう。敵意でもなんでも感情を表に出してくれないと分からないのに、それすらしてくれない。


 ヴォラクとパイモンは未だに戦っている。その証拠にアリーシャが持っている契約石は握りしめている指の隙間からずっと不気味に輝いている。あの中のエネルギーが枯渇するまで、アロケルと使い魔は回復をし続け、戦い続けるんだろう。


 完全に膠着状態だ……そう思った瞬間、銀色の刃がアリーシャに迫った。慌ててアリーシャがその刃を受け止めるも、勢いで体勢を崩し、見事にパイモンがアリーシャの横腹に回し蹴りを入れて吹き飛ばしていた。


 「パイモン!?」

 「え、はあ!?お前アロケルはどうした!?」

 『あそこでくたばっている。奴が回復する前に契約者を殺す』


 まさか倒してたのか!?慌ててアロケルのいた方に視線を向けると、既に怪我が回復しているアロケルが巨大な剣を持ってこちらに迫っていた。


 「あいつ、お前狙ってるぞ!」


 シトリーがアロケルを迎え撃つ姿勢をとり、とっさのことに反応できない俺は目を瞑ってしまったが、先ほどまで騒がしいほど激しい金属音が響いていたのに、それが止んだ。


 恐る恐る目を開けるとアロケルの剣がシトリーの目前で止まっており、アロケルの視線はこちらを向いておらず、別の方に向けられている。アロケルの奥の使い魔も攻撃を止めており、フォモス達に吹き飛ばされても起き上がらない。


 『(なるほど……随分と忠誠心が高いな)』

 『(パイモン、貴様……卑怯な!)』

 

 パイモンがアリーシャを後ろから羽交い絞めにし、首に剣を当てている。人質をとったパイモンが冷たい瞳でアリーシャを見下ろしている。


 『(契約石を手放せ。拒否するのならお前の腕ごと斬り落とす。抵抗すれば殺す)』


 アリーシャは突然訪れたピンチに目を泳がせており、初めて彼女の感情の起伏を垣間見た。しかしパイモンに契約石を渡すつもりはないようで、再度輝き始めた契約石を見て、パイモンの瞳が細められ、アロケルが声を荒げた。


 『(よせ!アリーシャ!)』

 『(脅しだと思っているのか、玉砕覚悟なのか、どちらでもいいが……言葉だけだと軽んじられるとは残念だ)』

 

 アリーシャのうめき声が聞こえ、手から噴き出した血に目が丸くなった。小指が地面に落ちて、痛みで開いた手から契約石が零れ落ちる。それを俺たちに蹴って飛ばし、アリーシャの頭を掴み地面に叩きつける。あまりに容赦のない行動に言葉が出ない。


 シトリーが契約石を拾い、ストラスの方に顔を向ける。


 「なー壊す?それとも一旦魔法で使えなくする?俺、魔法陣分かんねーんだけど」

 『契約石の中にあるエネルギーはいまだに多い。破壊後のエネルギーの暴走が面倒です。私が描きましょう。拓也、危ないからこちらにいらっしゃい』


 アロケルが攻撃してくる気配はない。悔しそうに歯ぎしりをしてこちらを睨み付けているだけだ。パイモンが本当にアリーシャに危害を加え、手を出せないことにいら立っている。


 ストラスが魔法陣を描いている間、座り込んでいるセーレと側にいた光太郎に視線を向ける。二人とも苦い表情をしてパイモンを見ており、仕方がないとはいえ暴力的に解決したことに対して少し思うところがあるようだ。


 ただ、シトリーとヴォラクに関しては表情に変化はなく、パイモンの行動を非難するつもりもなさそうに思える。


 「やべえ奴とか思ってやるなよな」

 「思ってないけど……びっくりしただけ」

 「小指だけで済んだんだ。あいつにしては随分温情与えてるぜ。お前らがいるからだな」


 俺と光太郎がいなければ、もっと酷いことを簡単にしていたのか……なんだかんだで優しいと思っていたけど、元々パイモンはドライで敵に関しては容赦のない奴だった。味方だし、大切にされているって自覚があったから忘れてしまっていた。


 描き終わった魔法陣にストラスが契約石を入れると、不気味に輝いていた契約石の光が消えていった。これで、エネルギー供給ができなくなるのか?


「(アロケル、私のことはいい!奴らを殺して!そしてまた同じ志を持つ女性を探して!)」


 アリーシャの叫びにも似た訴えにアロケルが大剣を握りしめ、それを確認したパイモンがアリーシャを冷たく見下ろす。


 『(人質としての価値がないのならお前にもう用はない)』


 剣をアリーシャの頭上に掲げたパイモンに息が詰まる。ここで殺す気なのか?


 しかしその剣がアリーシャに落ちることはなく、腹を蹴飛ばされうめき声をあげて転がったアリーシャに舌打ちをして立ち上がる。


 『シトリー、この女を見張っておいてくれ。こいつの処遇は主に任せる』

 「んだよツンデレ。詰めが甘いな」

 『……鬱陶しいな』


 アロケルが振り上げた大剣をパイモンが受け止め、使い魔が再度ヴォラクたちに襲い掛かる。しかし先ほどと違い、契約石は魔法陣に封印されてエネルギー供給がシャットアウトされているんだろう。アロケルの怪我が治ることはなく、パイモンには勝てないだろう。ヴォラクの方も相手が回復することがなくなったのだ。余裕そうに口元に笑みを浮かべている。


 「悪魔は問題なさそうだけど……」


 光太郎が呟き、ストラスが魔法陣の中に入っている契約石を見張っている。このまま、何事もないままパイモンたちが悪魔を倒して終わりなのか……でも、パイモンはアリーシャをどうするか俺に任せるって言っていた。あの人の決定権を俺に譲るつもりなんだろう。


 「シトリー、あの人大丈夫かな」

 「小指斬られただけだ。死ぬわけじゃない。生かして帰すかは別だが」


 小指を押さえて蹲っているアリーシャの息は荒く、肩が大きく揺れている。痛みと恐怖に戦っている姿は殺人鬼とはほど遠く、あまりにも痛々しい姿にポケットに入れていたハンドタオルを持って彼女に近づいた。


 慌ててストラスが肩にとまり、シトリーはアロケルの短剣をアリーシャの手の届かない位置に蹴って少し離れた場所で腕を組んで見守っていた。危なくなったら助けてくれるんだろうけど、俺に一旦任せようと思ってくれてるみたいだ。


 俺が近づいたことに気づいたアリーシャが顔を上げ、抵抗するように腕を振り上げたが力が足りていないそれは俺に小さい痛みをもたらしただけだった。無理やり左腕を掴み、ハンドタオルごしに指を握れば相手が目を丸くした。


 「(……なぜ)」


 化け物の唸り声、激しい金属音が響く中、あまりにも静かに零れ落ちた言葉に胸が痛む。


 「痛がっている人を見るのは嫌いだ」


 誰だって痛いのは好きじゃない。どれだけ悪いことをしても、そいつが苦しんでいる姿を見て多少の爽快感があっても胸糞悪くて見続けたいわけではない。ストラスはただアリーシャと俺の言葉を訳してくれるだけ。そこに自分の意思を混ぜることはない。


 「(あなたは、良い隣人ですか?)」

 「どういう意味ですか?」

 「(赤いリンゴと敵の友情を信じてはいけない……私たちの国では誰もが知っている言葉です。表面を繕っても中身は腐っていて、相手を傷つけることが多い)」

 「……ひっでえ言葉ですね」


 日本では、そんな悪いことわざを習ったりしない。少なくとも他人を信用するな、みたいな言葉を授業では聞かない。でもこの人たちはそれが日常なんだ。


 アロケルのうめき声が聞こえる。パイモンがアロケルの大剣をいなし、地面に突き刺さった大剣を足場にして顔面を蹴り飛ばしている。そのまま体勢を崩したアロケルの鎧の隙間に剣を突き刺し、ねじる形で斬り落とした。


 その光景を見たアリーシャは絶望を言葉に乗せた。


 「(ああ……全てが終わる。私の、全てが……)」

 「終わらないよ。生きてるんだから、終わるはずがない」


 俺にこの人を裁くことはできない。他人を裁くほどの理由が俺にはないから。ただ、最後の審判を防ぐために動くしかない。でも俺の言葉にアリーシャは乾いた笑いをした後に項垂れた。


 「(私がこの国で生きていく術があるはずがない……何も知らない部外者はいつもそう。安全な場所から綺麗事を言うだけ)」

 「子供の元に帰ればいい。あの子は貴方を待ってる」

 「(憎らしい……あの子に未来なんてありません。あと二年もすれば嫁ぐでしょう。本当に可哀想な子。自我がないうちに殺してしまえば良かった)」


 自分の娘を殺せばよかったと嘆く母親を見て、自分にできることがあったのだろうか。アロケルが崩れ落ち、使い魔がヴォラクたちによってバラバラに切り裂かれていく。ここにアリーシャの味方はもういない。


 「(まだ、全然……始まってすらいないのに。私の、虐げられた女性たちの苦しみを、まだ……)」


 嘆くアリーシャが立ち上がり、アロケルの元に向かう。パイモンが剣を動かしたが、制止すると黙って行動を見守った。


 アリーシャは血の海の中に倒れているアロケルを抱き起し、涙を流している。


 「(痛々しいわ……私の願いを、私に同情し尽くしてくれた初めての男性だったのに)」

 

 アロケルに口づけてアリーシャは泣いている。もしかして、この人は悪魔の事が好きだったのか?


 『なぜ、いつまでも苦しむ人間はいなくならないのでしょうね』


 ストラスがポツリと呟き、パイモンが契約石を破壊するために結界の方に向かう。


 「壊すの?」

 『ああ。エネルギーがあまりにも膨大でまがまがしい。流石にこの契約石を地獄に持って帰らせるわけにもいかない。ヴォラク、手伝ってくれ』

 『あいよ』


 ヴォラクが結界を張り、パイモンが剣でアフガナイトと呼ばれた宝石を一刀両断にすると、契約石の中に残っていたエネルギーらしきものが爆発するように激しく輝き、ヴォラクがそれを防いでいる。しばらくすると光が止み、小手そのものが崩れていき、使い魔も砂になって消えていく。しかし、目を瞑って静かに呼吸をしていたアロケルが目を見開き、最後の抵抗なのか大剣を構え、それを思い切り投げつけた。


 パイモンが庇い剣を抜いたけど、大剣は全く違う方向に飛んでいき、それを最後にアロケルの腕が地面に落ち、砂になって消えていった。あいつ、どういうつもりだったんだ。


 残されたアリーシャはアロケルだった砂を掬い、涙を流している。


 「(ああ……私は、どうすれば……)」


 泣き崩れているアリーシャにどう対応していいか分からず、言葉に詰まっている俺の腕をパイモンが引く。


 『あなたが心を動かす必要はない』

 「でも……」


 「(やはり貴方は救世主(メシア)にはなれない)」


 声か聞こえ振り返ると女性が立っていた。もしかしてアロケルが投げた大剣はこの女に?その女性は俺たちを気に止めることなく真っすぐアリーシャの方に向かっていく。突然の乱入者に動揺して動けない俺の腕を顔を真っ青にした光太郎が引いて後退する。


 「光太郎?」

 「あの女、メキシコで見た。悪魔祓い(エクソシスト)だ」


 悪魔祓い師?あの女が?


 パイモンが剣を抜いて女性の首に当てた瞬間、表情を変えなかった女性が目を見開いた。その瞳が怪しく光り、吸い込まれそうなほど透き通っているような暗く淀んでいるような良く分からない気持ちになる。しかしストラスから目を瞑れと指示され、光太郎もシトリーに腕を引かれ目を隠された。


 何!?なんなんこれ!?


 「パイモーン、誰に向かって剣を向けてるの?私に喧嘩売ったら無事に帰れないよ~?」

 「……アスタロトか」

 「くく……分かってんのなら下がってよ。あんたと喧嘩する気ないの」


 アスタロト!?ソロモンの悪魔か!?じゃあ、あの女性は契約者?でも光太郎は悪魔祓い師だって。俺たちの味方をしている様子でもないし、どうして悪魔が悪魔祓い師になってるんだ?


 『拓也、もう良いですよ』


 ストラスの声が聞こえ、目を開けると、先ほどと女性は打って変わり無表情で感情の読めない顔に戻っていた。さっきの姿は何だったんだ。


 パイモンが剣を降ろし状況を見守る体制をとる。


 「パイモン……これ、どういう状況?」

 『私も詳しくは……バティンが絡んでいるとも断言できない』

 「あの女の人、契約者?それともアスタロトが人間に化けてる?」

 『契約者と言っていいのか……アスタロトに乗っ取られている人間、という言葉が正しいかと。あの女性が悪魔祓い師なら、ヴァチカンの大聖堂に常駐している。堕天使ではあるが、悪魔であるアスタロトが長時間滞在するのはきついはず。あの女性の体を乗っ取ってヴァチカンに潜入しているのかと』


 だとしたら、内部からエクソシスト協会を潰そうとしているのか?バティンの仲間ってことになるくないか?単独で動いている?


 女性がアリーシャの前に立ち止まり、口を開く。


 「(貴方のことは既に調べています。アリーシャ・ムハンマド。パキスタン中部の都市であるファイサラバードの出身。十一歳で二十五歳年上の男性と結婚し、女児二人と男児二人を出産している二十六歳)」


 ストラスに訳してもらい、彼女の過去を知る。十一歳で結婚とか冗談だろ。日本だと小学生じゃねえか……しかも相手がすげえ年上のおっさんじゃんか。二十五歳で子供四人って最初の出産は何歳になるんだよ……


 これ以上言うなとでも言うようにアリーシャが顔を上げ女性を睨み付ける。


 「(……私の過去を暴いて楽しかった?奴隷のような人生だと馬鹿にしに来た)」

 「(可哀想に。初夜の晩に無理強いをされ、出産しては妊娠を繰り返し、体はボロボロでしょう)」

 「(黙れ。それ以上、私を語るな)」

 「(旦那の親族に慰み者として扱われ、それによって産まれたのが次女であるアスリーヤ。だが旦那以外の男の子供を身籠るアバズレと罵られ、アスリーヤはわずか六歳で三十年上の男性の家に無理やり嫁がされ、性行為中に膣が破裂しショック死した)」

 「(やめろおおお!!)」


 アリーシャが声を張り上げ、女性に掴みかかる。そのまま女性を押し倒し馬乗りになり顔を殴りつける。


 「(お前に、何が分かる!?好き勝手人の過去を調べやがって……ふざけるな、ふざけるなあ!)」

 「(その復讐として夫と親族を殺害した。息子すら恐怖の対象になり、殺害している)」


 アリーシャの動きが止まり、手で顔を覆う。まるで自分を見ないでくれとでも言うように。ある程度、過去は想像できていた。この人が自分の夫を殺しているんだと……でも明らかになった真相を前にして言葉を失う。その復讐心を否定できる理由が俺にはないから。


 「(長女に結婚の話が出て時間がなかった貴方は夫と息子、夫の親族も殺害し少女を残し失踪した。守れもしないくせに衝動的に殺人をして逃げた卑怯者)」

 「(やめて……それ以上、言わないで……お願いだから)」

 「(その晩にアロケルと出会い、契約をした。契約条件も知っている。毎日一人の魂を餌として捧げること。貴方にとって殺人はこの国の男への復讐と、悪魔への供物として丁度よかった)」


 つまり、毎日人を一人殺せという条件だったのだ。殺害人数の多さの理由に納得して寒気が走る。顔を覆い泣き崩れたアリーシャに女性が手を伸ばす。なんだか嫌な予感がして、ストラスに視線を向けると向こうも同じ事を持っているんだろう、表情を険しくしている。


 「(貴方の苦しみを私なら理解できる。私とともにヴァチカンに向かいましょう。新世界を共に作るために)」


 悪魔の能力に目覚めた契約者や天使の祝福を受けている人間をスカウトしていると聞いた。この女はアリーシャをヴァチカンに連れていくために来たのか!?


 「(天界から神の使途も降臨されている。我々の悲願の成就は近い)」

 「(……アロケルが言っていたわ。貴方たちを信用してはいけないと……)」

 「(悪魔に感化されているのは非常に残念なこと)」


 女性が微笑みアリーシャの肩を優しく掴むが、纏う空気が禍々しく、嫌な汗をかく。女性の目が光り、シトリーが力を使っているのを見ているような妙な感覚に包まれた。


 その瞬間、パイモンが剣を抜き、女性に斬りかかったが、結界に阻まれ届くことはなかった。アリーシャの表情が変わっていき、涙を流しながら祈る様に手を組む。まるで神を前にしているかのように恍惚の表情を浮かべた。


 「(世界を変えたら、この国を変えれますか?娘が自由に恋愛できる国になりますか?この国で奴隷のように生きる沢山の女性が自由になれますか?)」

 「(そのためには全てを壊して新しくしなければならない。一緒に行きましょう)」


 女性が差し出した手をアリーシャが掴もうと手を伸ばす。甘言に惑わされて冷静な判断ができてない。いや、そんな状況ではなくなってるんだ。俺たちがしないといけないのは、この人が悪魔と関わらず娘の元へ帰すことなのに。


 「アリーシャ!今、その女の手をとったら娘に二度と会えないんだぞ!?それでもいいのかよ!?」

 

 アリーシャの体が固まる。日本語が分からないアリーシャがどこまで理解できているか分からない。でもストラスが俺の言葉を訳してくれて、言葉が届いたアリーシャがこちらに視線を向けた。


 「(アリーシャなんて母親は、とっくの昔に死んでいる)」


 そう言葉を残し、女性の手を掴んだ瞬間、アリーシャの体が薄くなり消えていった。茫然と佇んだ俺の前に悪魔祓い師と名乗った女性だけが残り、立ち上がる。先ほどと打って変わり、口に弧を描き笑っている。


 「お仕事完了。私も帰る。パイモン、あんたが私に剣を向けたこと、覚えておくわ。後悔するんだな」

 「バティンの差し金か?なぜお前がエクソシスト協会にいる」


 アスタロトと呼ばれていた悪魔は声をあげて笑い、肩ほどある髪の毛をいじって遊んでいる。


 「私は私のしたいようにしてるの。何か文句ある?髪の色がダサいって思ってる?いいでしょ?水色の髪の毛!染めてみたの!私が憑依してからストレスで髪の毛真っ白になってたからね!」


 きゃははは!と楽しそうに笑っている悪魔はあまりにも猟奇的で、何も言えない俺をしり目にパイモンが腕を組んで苛立ちを露わにしている。


 「質問の答えになっていない」

 「バティンに協力とかする訳ないじゃーん。ただ、私は天界に行きたいだけ。今の天界がどうなってるのか見てみたいだけよ。最後の審判も人間界で起こるんだから、天界の様子を見るなんてできないじゃん?」

 「それで人間の体を乗っ取ったと?」

 「そう。可哀想な子。この子の十五代前の先祖が私と契約したときに見返りでくれたの。自分の十五代後の子供を好きにしていいって。だから体もらっちゃった。あんたもそうだけど私も堕天使でしょ?天使や天界のエネルギーに耐性はあるけど、それでも少しきつい。人間の体を拝借した方が大聖堂の中で息がしやすいの」


 ゾッとした。じゃあ、その器になった女の子には何の罪もないじゃないか。知らない先祖が自分が見返りを渡したくないからって理由で差し出されただけなんじゃないか。


 アスタロトが背中を向けてゲートを開く。このまま帰る気なのか!?


 パイモンはここで仕留めようとしたのかヴォラクに視線を向けて、剣を握りしめる。しかし振り返ったアスタロトの言葉にパイモンの動きが固まった。


 「あ、あんたイルミナティとコンタクトとれるのなら伝えといてくれない?あのクソ餓鬼に。もう全て手遅れだって。この子は私のものだって」


 なんのことか分からない俺と違い、パイモンと後ろにいたセーレは理解したのか目を丸くした。


 『……お前、その女……もしかしてルーカスの?』

 「あーそうそう。ルーカス・ブルスハウセン。ほんっとうに邪魔な男。イルミナティに入ってまで私の邪魔をしようとする。あいつが何をしようが、この女は私の器なの。私が憑依を解除したら死ぬだけ。あいつがどれだけ求めても無駄だって言っといてね」


 ルーカスが何なんだよ!?どういうことだよ!?


 そう言えば、ルーカスはエクソシスト協会に会いたい人がいるって言っていた。まさかこの女の人なのか!?


 ヴォラクが動きが止まったパイモンに動揺しつつもアスタロトに単独で斬りかかったが、相手は一瞬で姿を消し、俺たちだけその場に取り残されてしまった。


 『おいパイモン!あいつここでやっつけるんじゃないのかよ!?なんで急にやる気無くすんだよ!』

 『……少しバティンに報告することがある。セーレ、主たちを送った後にリヒテンシュタインに連れて行ってくれ』

 「……分かったよ」


 二人だけ何かを知っている。ルーカスの秘密みたいなものを。もしかしてルーカスの契約条件や内容を知っているのか?だとしたら俺も知りたい。ルーカスは沢山助けてくれた、俺もルーカスを助けたい。


 「パイモン、俺も行きたい!」

 『申し訳ないですが遠慮していただきたい。私もバティンに会うだけです。ルーカスに会うつもりはない』

 「でもルーカスを助けたいんだ!」

 『正直、それができる状況ではないと思います』


 どうして、俺だって何かできるかもしれないのに……どれだけ頼んでもパイモンは首を縦に振らず、セーレも連れていけないと申し訳なさそうに謝罪をした。二人は一体何を知ってるんだ。


 ジェダイトに乗ってマンションに連れて帰らされ、パイモンとセーレはそのまま飛び立っていってしまう。残された俺たちの間には嫌な沈黙が漂った。


 「何があったんだろ」

 「さあな」


 光太郎が心配そうにつぶやき、シトリーも良く分からないと首をかしげている。二人は知らないんだ……ストラスも知っているような素振りはない。ヴォラクがお腹が減ったと声をあげ、その声に反応してヴアルとアスモデウスがリビングに入ってきて、何か食べようかと話しているけど、どうしてもその会話に混じる気にはなれなかった。


 ***


 パイモンside ―


 前回同様、バティンの住処になっているリヒテンシュタインの居住地は相変わらずガードマンが立っており、厳重態勢だ。面会の約束をしていないと門前払いしてきたガードマンを力を使い黙らせ、無理やり入ろうとした矢先、面倒そうに割って入った人間がいた。


 「(もめ事を起こすのは止めてもらえるか。今日は私が護衛役なんだ)」

 「(お前の事情など関係ない)」

 

 なるほど。今回の護衛はマルバスではなくアニカ・ローズという訳か。そしてその後ろには……


 「(騒ぎは起こさないで。マルコシアス、貴方もだ)」

 『(分かっている)』


 マルコシアスが不快そうに目を細め、アニカに危ないから下がるよう命じている。バティンの護衛に徹するなんて、本当に俺はお前が理解できなくなりそうだ。お前の目的なんて、あいつは微塵も気にかけやしないのに。


 アニカはここで戦う可能性があることを払しょくするように一旦中に入れと告げる。


 その言葉に従い中に入り、バティンの書斎に向かって歩いている途中で声をかけられた。


 「(拓也は?)」

 「(お前の前に出せると思うのか)」

 「(そう。賢明な判断だ。私も彼とは上手く意思疎通できる自信がない)」


 扉を開けて中に入るとバティンと横に褐色の肌の茶色の短髪の少年がソファに座っていた。タブレットで何かを調べている少年はマティアスの孫のリーンハルトで間違いない。


 「(はあ?なんでそいつら通してんの?意味わかんない)」

 「(いいんだよリーンハルト。さ、パイモンもセーレも座って!アニカ、コーヒー淹れてあげてくれない?)」

 『(人の契約者を召使いのように使うな)』


 マルコシアスに怒られてバティンは参ったなと肩をすくめている。ソファにセーレと腰掛けるとアニカが去っていき、マルコシアスは扉付近の壁にもたれ掛かりった。いつでも飛び出せるように殺気を放ちながら。


 『さて、この間ぶりだね。僕が連絡をしても無視するのに酷いね。僕は君に毎日でも会いたいのにな』

 「きつ……」

 『こーらリーンハルト!』


 悪態をこぼしたリーンハルトを羽交い絞めして揶揄っている姿は端から見れば健全だが実際はどう思っているのか。そもそもリーンハルトはスイス生まれのイギリス在住のはずだ。日本語が理解できるのか?ある程度簡単な会話は分かるのかもしれないな。奥にいるアニカは日本語が理解できないため、日本語で会話を始めた瞬間から興味を無くしているようだ。聞き耳を立てている様子すらない。


 コーヒーが置かれ、話を聞く姿勢をとったバティンに問いかける。聞くことは決まっている。


 「パキスタンでアロケルを討伐した。その際にアスタロトを確認した。エクソシスト協会に在籍しているようだが知っていたか」


 バティンが口元を手で覆い、小さく笑う。この反応、知ってはいるようだな。


 『知っているよ。ただ、こちらに協力する意思はない。討伐をしたいのなら任せるよ。エクソシストに協力しているとなると、僕たちが庇う必要もない』

 「人間の女に憑依していることは?」

 『ヴァチカンにいるのならそうだろうね。彼女は元天使だから天界の空気やエネルギーは慣れているだろうが、それでも今は悪魔に堕ちている。人間を使わなきゃ大聖堂での活動はしんどいだろう』

 「その女が、ルーカスの幼馴染だということも?」


 ピリッとした空気が室内を覆い、マルコシアスがアニカに状況を説明し、アニカの表情が曇る。リーンハルトは無表情でタブレットからこちらに視線を向け、バティンは口元を手で覆ったまま表情を崩さない。


 『知っている。ルーカスは彼女を連れ戻すためにイルミナティに在籍しているから』

 「あの女の契約条件もか?」

 『契約条件なんてものないでしょあれは。乗っ取りじゃないか。ルーカスも辛かっただろうね。彼女が悪魔に乗っ取られて精神を病んでいく様を間近で見ていたそうだ』


 やはり、あの女がルーカスの幼馴染で間違いなかったか。問題は……


 「あの女、生きてルーカスの元に連れ帰らせる気はあるのか?」

 『え、いやいや無理でしょ。あの子はもう死んでるようなものだよ。ルーカスもそれは理解してる』

 「理解してる?」

 『ルーカスの目的は幼馴染の遺体をご家族に返すことだよ』


 ルーカスは、彼女を救えないと理解しているのか。だからあの時、自分は救うことができなかったと言っていたのか。納得できないセーレが「あんまりだ……」と言葉を続ける。


 「君たちならなんとかできるんじゃないか?彼女を連れ戻すことくらい」

 『残念だけど難しいね。生まれた時からアスタロトの呪いがかかっていた。彼女は生まれた時からの悪魔憑きだよ。澪ちゃんと一緒だね』


 ルーカスが主に自分と境遇が似ていると言っていた。それは幼馴染が悪魔によって奪われるという意味だったのか。澪の名前が出てセーレが表情を変える。


 「澪にも酷いことをしたみたいだね」

 『嫌だな。酷い事なんて。僕はアスモデウスにお世話になったからお礼をしただけさ』

 「どこがだよ!?」

 『とにかく、ルーカスの件は拓也君には言わないでね。ルーカスも気を使うし』


 言えるわけがないだろう。ルーカスを助けたいなどとほざいている甘ちゃんに。リーンハルトが馬鹿な奴とため息をついてタブレットに再び視線を戻す。聞きたいことは聞けた。これ以上ここに留まる必要はない。そう思い、立ち上がろうとした瞬間だった。バティンから衝撃的な言葉を聞いたのは。


 『そういえば、中谷 章吾君。彼、人間界に戻ってきてるね』

 「……中谷が?」


 どういうことだ?中谷が人間界にいる?あいつは殺されて天界に行ったはずだ。それが人間の世界に?ならばなぜ俺たちに会いに来ない、家族の元に帰らないんだ!?

 

 バティンに掴みかかり詳細を聞く。嘘を言っているのならこの場で斬り殺す。それくらいは分かっているはずだ。リーンハルトがタブレットを置いて手を構えたが、バティンがそれを制止し、されるがままになっている。


 「どこにいる。居場所を吐け」

 『あはは!君もそんなに必死になるんだ。羨ましいなあ。偵察に行かせてた部下からの報告だよ。ただ、ヴァチカンにいるね。君たちが会いに行ける場所ではない』


 ヴァチカンに、中谷がいる?


 『神の使徒と言われているらしい。それもそうか。ラファエルの依り代だ』

 「天使の依り代……」


 セーレが顔を真っ青にしている。つまり、中谷が俺たちの敵になっていると言いたいのか?中谷がヴァチカンについたと。人間を先導しようとしている?そんな馬鹿なことはありえない。あいつは、主と光太郎の親友だ。あいつは他人を裏切ることは絶対にしない。


 「おい、イスラエルはいつ向かう」

 『そうだよね。ヴァチカンに今は攻め入れない。ならば先にイスラエルだよね。ジョシュアからの連絡待ちだよ。彼は今、別の仕事をしていてね、それが終わり次第だ』


 天界に向かうことはなくなったか?いや、それでも天使の使徒として降臨しているとなると天界に帰ることも容易だ。どのみちメタトロンとサンダルフォンとの戦いは避けれないか。


 『このことは拓也君と光太郎君には?』

 「まだ告げるつもりはない。お前達も注意しておけ」

 『おっけー。佐奈もこのことは知らないから、あの子にもこのままでいってもらうかな』


 ヴォラクにもまだ告げるには早い。どのみちイスラエルを陥落させてからだ。ヴァチカンを制圧すればイルミナティとの共闘は終わりだ。こいつらとは敵になる。中谷を連れ戻したいのは山々だが、まだこちらが有利な状況ではない。奴らの戦力を削りながら中谷を連れ戻す。それが俺の仕事だ。


 「帰るぞセーレ」

 「あ、うん。その……(コーヒーどうも)」


 律儀に礼を言っているセーレにアニカは少しだけ戸惑いながらも手を振った。マルコシアスが玄関まで俺たちを見張るように送り、背中を向ける。


 『中谷という子供はそれほどに大切か』


 マルコシアスから問われ、振り返る。あいつは背中を向けており表情は分からない。


 「……太陽のような少年だった。幸せにならなければならない」

 『そうか』


 それだけ返事をして去っていったマルコシアスを見て俺も踵を返す。やるべきことを先にしなければならない。どのみちまだイスラエルは攻めれない。今は一刻も早く、イルミナティ以外の悪魔を全て討伐したい。奴らとの全面対決も遠くない。


 「中谷、変わってないといいな」


 ポツリとセーレが呟き、それに同意する。変わっていないさ。あいつが変わるはずがない。あいつは何があっても主と光太郎の親友であり続けるはずだ。





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