第6話 偽りの愛情
「うえ~授業ってこんなにきつかったのかぁ……」
「そりゃお前、夏休みあんだけ休んでりゃ学校嫌になんのも無理ねえよ」
オーラルの先生が黒板に教科書の文章に載ってる慣用句の訳を書いていっている。
それをさっさと写し終わり、後ろの席の上野に振り返って話しかければ、上野は笑って返事をした。
6 偽りの愛情
夏休みの補講で結構範囲が進んでいたようで、やっている内容がいまいち理解できない。
光太郎にもらったノートを見直しながら何とかついて行ってるけど……こりゃちゃんと勉強しなきゃどうしようもないな。ノートの隅っこに落書きをしながらチャイムが鳴るのを待つ。
この教科さえ終われば今日の補講は終わりだ。帰りにパイモン達がいるマンション行く予定なんだけどね。
タイミング良く授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、先生が残りの内容を早口で言って授業が終わった。授業が終わり次第、帰りのHRも無しで学校は終わりだ。置き勉する教科書を机に入れて、何冊かの教科書をカバンに詰めて席を立ちあがる。
「帰んのか?」
「うん」
「そっか、明後日で補講終わっからさ、八月終わる前に皆で遊ぼうな」
「おー遊びてえな!遊ぼうや」
上野とそんな会話をしてカバンを背負って光太郎の席に向かった。光太郎は毎年受ける夏期講習を今年は受けなかったそうだ。俺と中谷を探す為に時間を割いてくれてたらしい。
光太郎の家は親父さんが大きな会社を経営してて、光太郎に会社を継いでもらうため、勉強にとてもうるさいし厳しい。そんな親父さんを説得してまで俺達を助けようと頑張ってくれてたんだ。
そんな事本人は一言も言わないんだからな……光太郎はそんな奴だ。
光太郎もカバンを手に持ち、席を立って藤森達に手を振った。
***
「結局悪魔探しまた始めんだってな」
マンションに寄る為に歩いている道で光太郎がぽつりと呟いた。まぁそうだろうな、最後の審判を止める為には結局は悪魔を倒さないといけないんだもんな。また振り出しに戻ったとしても、ソロモン七十二柱の悪魔も残り半分を切ってるんだ。言うなれば今からが後半戦だ。
光太郎は少しだけ眉を下げて、真っ直ぐ前を見つめた。
「こないだお前がさ、アスモデウスと話してる時、パイモンが言ってた。今までは前哨戦だって。これからは今までよりももっと血生臭くなるっつってた」
「光太郎?」
「これからさ、ソロモン七十二柱の六大公って奴らが恐らく俺達を襲ってくるって。そいつらはソロモンの悪魔の中で最強だって……」
その話はストラスから聞いた。ソロモンの悪魔の中で最強の奴らって。悪魔の王を意味するサタネルの称号を持つ奴だっているらしい。俺達はその六大公に入っていない悪魔フォカロルにコテンパンに負かされた。その結果、俺は地獄に連れて行かれて一緒に今まで戦ってくれた中谷を殺された。それよりも強い奴と戦わなくちゃいけないんだ。その話を聞くだけで背筋に寒気が走る。
でも地獄で他のサタネルの称号を持つ悪魔達に襲われたときだってアスモデウスの力を借りてだけど、何とかなったんだ。今回もきっと何とかなる。
最後にはハッピーエンドが待ってるはずなんだ、だからそれを目指して行けばいいんだ。
光太郎と話をしている内にマンションが見えてきた。俺達はマンションの中に入り、インターホンを押した。
「拓也、光太郎、いらっしゃぁい!」
玄関を開けて飛び込んできたヴアルを受け止めてマンション内に侵入する。ヴアルをそのままズルズル引きずった形になったけど小さな女の子だ、重いはずもない。
パイモンがこっちに視線を向けて挨拶して、アスモデウスも軽く頭を下げた。
アスモデウスはまだ澪と契約するのを止める気はないんだろうか。アスモデウスは強い、あいつの力があったら悪魔を倒すのだってうまくいきそうなのに……澪を巻き込みたくないから必然的に澪と契約してるアスモデウスを連れて行くのだって困難になるはずだ。
渋い顔をした俺が何を考えているか気付いたのか、アスモデウスはこっちに視線を寄こした。
視線を逸らした俺にあいつがどんな表情をしていたかは分からない。その気まずい空気を壊すかのように、パイモンがパソコンを閉じた。
「悪魔見つかったのか?」
「怪しいと思っている物ならば」
「教えて」
「先週、フィンランドの大富豪であるオラヴィ・ハールスの息子のラウリ・ハールスが一般女性と婚姻したと言う情報がフィンランドの地元情報局で話題になっています。このオラヴィ・ハールスはフィンランドでも有数の貿易会社の社長です」
フィンランドの大富豪の息子が一般女性と結婚……急に言われたら頭に?が浮かぶけど、一つ一つ整理していく。
結婚って事は犯人の悪魔はヴアルやシトリーみたいに恋愛系の悪魔って事なのかな?
シトリーは相手に好意を持たせる力、ヴアルも好きな人間を振り向かせる力を持ってる。今回もそういう類の能力を持ってる悪魔なのか?でも一体どっちが契約してるんだろう。親父の方か?それとも息子の方か?話をもう少し聞かなきゃ分からないよな。
「息子のラウリ・ハールスが結婚した女性はレイラ・ハンスキ。オラヴィの会社で働く女性だったみたいですね。半年の同棲を経てのスピード婚だったみたいです」
「へぇ……」
「しかしレイラはラウリの事を快く思っていなかったという情報が同僚達から多く聴き取れ、買収されたのではないのか?そう騒ぎたてるメディアが多いようです。なんにせよ、調べてみなければ分かりませんが」
フィンランドか。また遠いなぁ……えーと北欧だろ?って事はこの季節だから白夜って事になんのかな。
二か月前くらいにデンマーク行って、数日前に中国だったのに、今度はフィンランドか。なんだか本当に世界行脚だな。自分の手をまじまじと見つめる。こうやって見てても自分が悪魔になっていっているなんて信じられない。もちろんパイモン達だってパッと見ても悪魔の様には見えない。
俺もそうなっていってるんだろうか……
そう考えれば考えるほど恐ろしくて、すぐに思考を停止させた。
***
まだ確定ではないため詳しい事はまた連絡すると言われて、やる事もなかったので光太郎とそのまま大人しく帰路に付く。その間、会話は少ない。
どことなく光太郎は俺に何か遠慮しているように感じるが、その理由が分からない。
「なぁ拓也」
「ん?」
立ち止まった光太郎に視線を向ける。少しだけ震えながらも光太郎は俺を見つめていた。
夕日に照らされているお陰で表情までは眩しくて確認できない。でも気まずそうにしている、それだけは分かった。
「わりい、何でもない」
「光太郎?」
「何でもないんだ……何でも」
良く分からない。光太郎は明らかに無理をして笑って、横を通り過ぎてしまった。
後から聞いても答えてくれない。一体光太郎が何を言いたかったのか、結局分からないままだった。
家に帰りついて、ベッドに横になる。なんだかこんな当たり前の生活さえ数週間前までは出来なかったんだと思うと恐ろしくなる。
『拓也、帰っていたのですか』
部屋に顔をのぞかせたストラスが俺の腹によじ登る。もうこいつの特等席になっている感じだ。腹の上でベスポジを見つけたストラスは横になり、相変わらずグータラしている。
母さんが飯を作っていて、鼻を刺激するいい匂いが室内に入ってくる。もうそんな時間なのか。でもその匂いもテレビの喧騒も、なんだか遠い世界の様に感じる。目の前にあるのに届かない世界の様な……
「不思議なんだ」
ポツリと呟いたその言葉にストラスが顔をあげた。
「やっと帰ってきたんだ、元の世界に。ずっと帰りたかった、でも俺にはこの世界が相応しくない気がする。ずっと人間の池上拓也として生きてきたのに」
ストラスは黙ってい聞いている。肯定する訳でもなく、否定する訳でもない。丸い目が俺を見つめているだけだ。
「あの昏い世界に吸い込まれるのが、一番いい終わりなんじゃないのかって思う」
想像して言ってるだけだから、まだ冷静で客観的に言えるけど、実際その時が来たら俺は泣いて嫌がるんだろうな。でも思うんだ、全てが終わったとしても俺はもうサタナエルの子どもで人間じゃない。そんな俺が人間の世界にいてもいいのかなって思う。
『……では全てが終わった時、私と共に地獄に向かいますか?』
「え?」
『私は貴方と共にどこまでも向かいましょう。人間の世界以外の場所ならば……悠久の時を過ごすのは、相棒がいなければ辛い物です』
「それもいいかもな」
嘘、本当は嫌だ。行きたくなんかない。
でももう分からなくなってしまった。自分自身の存在も何もかも。直に俺はサタナエルの力が増幅されて天使の力が使えなくなる。そしてそれは自分が完全に悪魔になってしまったことの証明になる。
その時、意識までも持っていかれてしまうのか?そう考えると怖くなってきた。
黙った俺にストラスはどこか寂しそうに、遠くを見つめるように声を出した。
『変わりましたね貴方は』
「そう?」
『ええ、過去の様に恐怖に泣き叫ぶ事も無くなった。一年前は戦うのが怖い、痛い思いをしたくないと泣いてばかりだったのに。今も戦いを恐れて隠れる癖は変わりませんが』
「泣き叫ばないのはいい事なんじゃない?」
『そうですね。ですが……少し人間味が無くなったようにも感じます』
そうなんじゃないのかな。だってもう俺は沢山の人や悪魔を傷つけてきた、大怪我を負わせてきた。
普通の世界なら逮捕されて死刑になってもいいんじゃないかってぐらい、色んな人を傷つけた。そして生まれて初めて人を殺した。
でもそれをしなければいけないって事になっているんだ。あの子を殺しても誰も責めることはなかった、仕方ないって皆が励まして同情してくれた。そんな中の中心に居れば人間味が無くなっても無理はない。
元々人間味が何かすら、俺には分からなくなってきたよ。
「兄ちゃん、ご飯だって」
扉が開いて直哉が扉から顔をのぞかせる。そっか、飯できたんだな。
ソロモンの指輪を手に入れて一年が経って、小五だった直哉はもう小六だ。来年になれば中学生になる。それまで俺は生きている事が出来るのかな。この世界は崩壊したりしないんだろうか。
たった三週間程度しか顔を合わせていなかっただけなのに、直哉はこんなにも大人っぽくなったのかな。
考えると抜けられなくなりそうで、頭を振って思考を追いやり笑顔で接してリビングに向かう。考えたって今は答えなんか出やしない。
***
次の日、土曜で休みだった事もあり、パイモン達と夕方に一度フィンランドに向かう事にした。まだ契約者を探すだけだからアスモデウスは付いて行く気も無いらしい。
その結果、いつものメンバーだな。俺と契約してるストラス、パイモンとセーレ、一人で行動が出来るヴォラクで行く事になった。見送ってくれたヴアルに手を振って、俺達はフィンランドに向かった。
やっぱり八月と言うこともあり、日照時間が日本に比べたら異様に長いフィンランドは太陽がさんさんと照り付けて快晴とも呼べる天気だった。フィンランドってあれだよな。ムーミンの国。ユーロさえ持ってれば澪にお土産買えたんだけどなあああ!!澪ムーミン好きだし!
それにしても今からどうするつもりなんだろうな。
「パイモン、来たのはいいけど、やる事あるのか?」
「今からヘルシンキのエスプラナディ公園と言う場所でオラヴィの演説会があるそうです。それに息子のラウリも出席すると聞きました。そこに行ってみましょう」
どうやって調べたのかはわかんねえけど、やっぱパイモンはすげえな。パイモンがいなかったら悪魔探しは成り立たないだろうな。
ジェダイトが着陸した場所はその何とか公園の近くだったらしく、徒歩三十分程度で目的の公園に辿り着いた。でもそこには沢山のギャラリー。やっぱ大物の演説会なだけあって、メディアも注目してるんだろうな。
立ち見だった為、いい場所を取れなかったけど何とか見えるって場所をゲットした。背の小さいヴォラクはセーレにおんぶしてもらって眺めている。
その時、六十代くらいのおっさんが特設ステージに上がり拍手が起こる。その後ろには女の人と男が立っている。もしかしてあれがそうなのか?
パイモンが素早く双眼鏡を手にして、装備する。
「え、何それ持ってきたの?」
「そうですね。相手が相手だけに中々近寄れませんから、すみませんが一つしかないので我慢してください」
「あ、あぁいいよ。そこまで見たい訳じゃねえし俺」
おっさんはフィンランド語で何かを話してる。でもフィンランド語が勿論分からないから、さっぱり分からん。他の人はうんうんと頷いてるけど、言葉の壁は厚いよなぁ……頷きたくても内容が分かんないんだもん。なんだか暇だなぁ……
この公園てヘルシンキの中心地らしいから、俺だけ観光しちゃダメかなあ。街を散策させてもらえるだけでいいんだけどな。
ボケーっと一人でいい天気だと思いながら空を見上げていると、パイモンが双眼鏡を目から離し、考え込んだ。
「パイモン?」
「主、やはりラウリと言う男、契約していますね。契約石であるオニキスのバングルを身につけています」
「それってどんな悪魔なんだ?」
「悪魔はゼパールと言う悪魔です。主もお察しの通り女性を恋愛で自分の虜に出来ると言う能力があります。足を引きずった兵士の姿をしている悪魔です」
その話を聞く限り、ある程度戦闘ができるってことになる。兵士とか騎士って今まで戦った経験上、上位の悪魔で強い奴が多い。じゃあやっぱりあの女の人は操られてる、その可能性が高いんだな。恋愛面の能力的にはシトリーの方が上らしく、女性限定の能力らしい。それでも手に入れた男は無敵だけどな。
でもパイモンは渋い顔をしたままだ。
「早く助けないと女の人レイラさんだっけ?危ないのか?」
「それなんですが……私が見る限りでは彼女は悪魔の魔術にかかっていないように感じます」
訳が分からなく手首をかしげた。
だってゼパールって悪魔は女性に恋愛感情を植えつけることが出来る悪魔で、レイラさんがラウリって奴を嫌ってるって話を同僚達が話してて……その話を繋げると、ゼパールがラウリの命令を受けてレイラさんを操っている結論にしかならない。
でもパイモンはレイラさんが操られてないって言う。
「彼女は至って正常の様に見えるんです。おかしな話ですが……」
「じゃあ違う女に力使ってるって事?」
「でもそれだったら話しが合わないだろ?レイラって人はラウリって男が嫌いってパイモンも言ってたじゃん」
「主、今回はヴォラクの仮説が正解だと思います。とにかくあの女にはゼパールの力はかかっていない。これだけは言えます」
良く分からない。じゃあレイラさんは自分の意志で結婚してるのか?嫌いって言う噂が嘘なのか?
ヴォラクの言うとおりだったとしたらラウリはどうしてレイラさんと結婚したんだよ。他の女に力使うんなら、レイラさんじゃなくて、その人と結婚するはずだ。手に入れたい女性がいるとしたら結婚しているレイラさんじゃなかったのか?時期だってぴったりだ。
どうしてレイラさんと……政略結婚って言う訳でもなさそうだし。一体どうなってるんだ?
ステージ上ではラウリはレイラさんを気遣っており、その姿は誰が見ても優しい夫その物だ。
でも何かが違うとパイモンは言っている。ここからじゃ遠すぎて良く見えなくて分からない。分かるのはラウリって奴が契約をしているって事だけ。
「ストラス、何か分かるか?」
『いえ、私には何も……とにかく調べる必要はありそうですね』
その時は気付かなかった。
世界は少しずつ異変に気づいていたと言う事に。
***
シトリーside -
「シトリー大変だ!」
「なんだよ光太郎、人を呼びだしておいて」
光太郎に呼び出されてスタバで待ち合わせたのはいいけど、肝心の光太郎はかなり慌てている。まぁそれもそうだ、こいつは遅刻してきたからな。自分から呼び出しておいて遅刻とは、いいご身分なこった。今日はてめーのおごりだからな。俺様の貴重な時間を浪費させやがって。
その手には携帯が握られており、まさかこいつソシャゲで遊んでて遅れたなんて言わねえよな。なんて思いで睨みつけたら、光太郎は携帯の画面を見せてきた。マジのゲームかと思いながら手に入れたキャラを見てやろうと画面を見ると、そこには某掲示板のスレッドが立ち上がっていた。
「世界の終焉のカウントダウンをするスレ……なんだこりゃ。しかも五十スレって結構いってんな」
「この中身だよ!」
光太郎がスレッドをクリックし、中身を開く。この店ってWi-Fi繋がってんのか。
変な所に感心して茶化していたけれど、それも束の間だった。
「……なんだよこれ」
そう言うしかなかった。そのスレッドの内容は最後の審判についての考察、そして俺達ソロモンの悪魔に対する内容だった。
内容は俺達ソロモンの悪魔が世界を荒らしまわり、そして最後の審判が近々下るというものだった。余りにも的確な内容に動揺する。どうして人間がこの事を知っている?神話や悪魔、オカルトが好きな奴らが作ったスレだったとしても、どこから情報が漏れた!?
“イエス・キリストがもうじき降臨する。俺達は皆死ぬんだよ”
“悪魔とか信じてなかったけど去年の上尾の連続殺人事件ってソロモンの悪魔の仕業なんだろ?どの悪魔なんだ?”
“悪魔マルファス。調べた結論は確かこいつだった。例のブログにもそう書かれてたよ”
“胸熱だな!悪魔信者な俺のとこにも来てくんねえかな”
“こいつが悪魔に殺されますように(笑)でも本当ならマジぱねえな。最後の審判っていつ下るんだ?”
“知るか馬鹿。でもどっかの外国のサイトじゃ日本が一番最初に滅亡って話聞いた。日本に一番ソロモンの悪魔がいるんじゃねえのかってよ”
“荷物まとめて外国に移住します”
“いてら”
「この情報……」
「掲示板内のスレだけどさ、海外の掲示板でも一部の奴らがスレッド作って盛り上がってんだよ。それに、ソロモンの悪魔の情報載せたブログとかも流行ってるらしくて……SNSも専用タグが作られてる」
「騒がせとけよ。どうせ情報も無いんだ」
「そう言う訳にはいかねえんだよ……」
光太郎が次に見せてきたのは掲示板に投稿されていた写真。それはマルファス、フルフル、シャックスの写真だった。
どこでこれを手に入れたんだ!?どこの誰かが悪魔の写真を隠し撮ってネットに晒した。その結果、ここまで一部で盛り上がる状態になっちまったんだろう。幸い、俺達の写真は確認されなかったが、これは一大事だ。これからは周囲の目も気をつけなきゃ、俺達が晒される番なのかもしれねえ。
「下らねえ事するな。くそっ……」
「どうすんだよ……」
「どうするもこうするもねえだろ。暫くは様子見だ。変な行動はしないに越したことは無い」
「そうだけど……」
この写真がどこで漏れたのかは分からないが、スレッドの奴らが言うには情報源があるらしい。ネットで検索をかけるとソロモンの悪魔を紹介するサイトがわんさか出てきて、その中に特徴や見た目を予想しているようなイラストを載せているサイトすらある。
確かに特徴掴んでるが、俺はもっとイケメンなんですがねえ!
「まあ、俺らが普通に生活しててバレることはねえよ。ただ、どこで誰が聞いてるかは分からねえ。それだけは注意しとけ」
いつかは俺達の存在もバレる日が来るのかもしれない。そうなったら、光太郎や拓也をどう守ればいいんだろうな。不特定多数の目からは守り切れない。
解決策が見つからないまま、この掲示板のコメントは伸びていっていた。