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第50話 マリオネッター

 パイモンside -


 「悪魔見つかったんだって?」


 トーマスの件が終わり、休む間もなく悪魔の情報を調べている俺の前にコーヒーが置かれ口をつける。置いた本人は後ろに回り込んで画面をのぞき込み、映っている映像を見て感嘆の声をあげた。


 「うわーすごいね。前の契約者って劇団員だったんだけどさ、こういう演目を担当している人いたよ。でも君も遊んでいるだけじゃないか」

 「遊んではいない。昨今はなんでも動画をアップする暇人に溢れている。これが、何を意味しているか知りもせず呑気なものだ」


 アモンとの決着をやっとつけて他に調べることはいくらでもあるのに残念というか幸運というか……正直もう少し休みたかったのだが悪魔の情報を見つけてしまったからには行くしかない。フランスのエクサンプロヴァンスと言う田舎町の人形劇がすごいと話題になっている。


 現地のニュースには本物の人間に糸をつけて行っているのではないかと揶揄する程のパフォーマンスをする若者が記事にされており、海外旅行客の口コミから話題となり、フランスのローカルニュースに出てきてくれた事で調べる事ができた。

Y

 outubeで動画も拝見させてもらったが、本当に異常とも取れるぐらい完成度の高いものだった。人形も本物と思えるぐらいリアルで、生きているか死んでいるかも分からないぐらい精巧な作り。確かにこれほどまで完璧な作りであれば、人形であっても人間を使っていると称賛されてもいいのかもしれない。


 「また面倒そうな奴が来たようだ。アモンを倒した次にこれだ」

 「俺達に休める時間はないってことだね」

 「そうだな」


 エクサンプロヴァンス。


 南フランス、プロヴァンス地方に位置する学生都市。観光でもプロヴァンス地方の拠点でもあるこの街は人形劇の劇団もあり、人形劇が盛んな街でもあった。


 そこに住んでいる一人の青年が今、街中で有名になっている。



 50 マリオネッター



 ?side -


 ロトンド大噴水を中心とするミラボー大通り。エクサンプロヴァンスの中心部でもあるこの大通りには色んな人間が行き交う。会社員、主婦、学生、旅行者。そんな者たちの目を奪うのが広場に集まる大道芸人たちだった。


 それぞれが魅力的な大道芸を行い、観客は歓喜の声を上げる。その中でも一際大きな歓声を浴びているのは金色の髪の毛を揺らしながら自分と同じぐらいの大きな人形を操っている青年だった。


 彼の操る人形はまるで魂が宿っているかのように動き回り、観客の目を奪っていく。


 本日も大歓声の中、彼は演技を終えて人のいい笑みを浮かべた。そんな彼の目の前に置かれている箱には観光客からのおひねりが入っている。他にも写真を撮っている者も多く、彼がこの近辺の大道芸人の中でも有名であることを物語っていた。


 「Incroyable.(すごいわ)Vous respectable Mario Netter.(貴方がこんな立派なマリオネッターになるなんて)Votre père ni mère je vais joie.(きっとお父様もお母様も喜ぶわ)」


 芸が終わった青年に近寄った高齢の女性はまるで自分の事の様に嬉しそうに手を叩き、それを見た青年も柔らかい笑みを浮かべた。


 「Cours.(当然さ)Ils sont l'âme sourde du père et de la mère.(この子達には父さんと母さんの魂が籠ってるんだから)」


 そう言って人形の汚れを拭く青年はただの大道芸人ではなかった。エクサンプロヴァンスでも有名な人形劇団で若いながらも活躍する本物の人形師だった。


 父親と母親もその劇団の出身で、青年も父と母の気持ちを受け継いで劇団の試験に合格して一員になり、青年の表情は希望に満ちて輝かんとしていた。


 青年の専門は人形と人間との喜劇。人形を本物の人間のように操って、人形師である人間とスムーズに会話を行いながら劇をする物だった。


 人形劇の主役は勿論人形。その事から人形師の顔は観衆の目には余り記憶に残るものではないらしく、青年が稽古と称してこうやって大道芸人に紛れて芸をしても観客のメイン層は観光客ということもあり、青年を知る者は少ない。


 だから大きな混乱もなく青年はここで劇をやれるのだ。


 ***


 拓也side ―


 十一月が終わり、十に月に入る。


 アモンとの一件を終えてまだ一週間程度しか経過していない中の呼び出しに体は正直に悲鳴をあげた。今までで一番の大物との戦いが終わったばかりなのに、もう次だ。いつになったら休めるんだろうな。


 漏れた溜息は空気に溶けていき、放課後にざわめく教室内で一人憂鬱と戦いながらマンションに向かう準備をする。でも大丈夫だ、また救える。俺は誰かを救うことができたんだ。今回だってきっと……


 「行くか拓也」


 帰る準備を終えた光太郎と一緒にマンションに向かう。澪は今日はコマ数がこっちのクラスよりも一つ多いため、学校が終わり次第マンションに向かうらしい。澪の前で疲れた、休みたいなんて言えないや。頑張れ俺!好きな子には少しでも頼れる男らしいところを見せないと!


 あくびをする光太郎の隣で気合を入れて自分を鼓舞する。また始まる新しい悪魔探しの前の小さなリフレッシュだ。


 ***


 「いらっしゃーい!あれ澪は?」

 「まだ学校だよ。終わったらくるっつってた」

 「そうなんだ」


 学校が終わっていないことを説明すればヴアルは簡単に納得し、リビングに引っこんでいく。その後をついていき、お気に入りのソファの指定席に腰かけた。澪以外は揃っていて、パイモンとストラスが小声で何か話している。会話の節々にフランスって言葉が聞こえてくるんだけど……気のせいだよな、うん。


 さすがにもう海外は少しおなかいっぱいだよ。


 話にキリがついたのか、ストラスがテーブルの上に移動する。


 『澪はそろっていませんが、まぁいいでしょう。話を始めてよろしいですか?』

 「よろしいでーす」


 あ、ストラス少し不細工な顔になった。


 光太郎の少し茶化した言い方がムカついたのかな?自分はこんな話し方してないって。こいつ良く分かんない所で冗談通じなくなるんだよなー


 咳払いをして、その場を保ったストラスが説明に入る。


 『今回私たちが目をつけているのはフランスの南部に位置するエクサンプロヴァンスと言う州で活動している人形師です。彼の行う人形劇はまるで本当に生きている人間を操っているようだとも言われ、観光客のブログで紹介されて現在話題になっています』

 「ベルサイユ宮殿!?」

 『違います』

 「あ、それってyoutubeに載ってた奴?」

 『よく御存じで』

 「んーおすすめ載ってたから見た。友達も見た奴いたよ」


 フランスと言えばベルサイユ宮殿だろと言う俺にストラスは首を横に振って行きませんよと非情の勧告。なんだよ、少しくらいは許してくれたっていいじゃん。


 光太郎は思い当たる動画があるらしく、ストラスは光太郎の問いかけに肯定したから光太郎はすぐに話を理解するだろう。でも俺は理解できないまま。それがどうして悪魔と契約してるって話になるんだろう?全く良く分からない。とりあえずみんながそう思うなら調べてみるべきだとは思うけど……


 「お邪魔しまーす」


 説明を聞いている間に澪がマンションに着いて、再び軽くだけど今回の悪魔の件をストラスが最初から説明する。その間に一通り話を聞いていた俺は光太郎と一緒にその動画をyoutubeで調べていた。青年が操る人形は確かに生きているように軽快に動き喜劇のようなポップな劇を操っている青年と繰り広げている。フランス語だし、観光客も携帯かなんかで撮ったのだろう。雑音が所々に入っており劇の内容は分からないし角度も微妙だったけど、それでも素晴らしいパフォーマンスだった。


 動画を見終わった時にはストラスから澪への説明も終わっており、確認だけをとってきた。


 『まだ確信があるわけではありませんが、怪しいと言うのも事実です。なので調べてみようと思います』

 「あ、うん。わかった」


 本当は良く分からないけど、調べに行ったらなんとなくわかるだろうな。そんな深く考える必要はないか。


 パイモン達が調べた所、その人形師が大道芸をする日は結構ランダムらしくて、いついるかが分からない状況らしい。だからセーレ達が先にフランスに飛んで、いるっていうのが分かったら俺たちを連れていくと言う事らしい。


 一応期末試験や模試前であたふたしてるのを理解してくれてるみたいだ。そうそう、来週からテスト期間だから少し手加減してもらわなきゃね。とりあえず最近成績が下降気味で母さんに怒られてばっかりだから、今回はいい点とらなきゃな。


 それに今はネットで悪魔の話題が加速しているし、あんまり下手に動き回るわけにはいかないだろう。光太郎とシトリーも行動を制限してるんだ。俺たちも慎重にしなきゃ。


 あともう一つ、気になることがある。今日はそれも聞きたかったんだ。


 「パイモン、その……トーマスの件って大丈夫だったのかな?マフィアの騒動って収まったとか分かる?」


 日本ではマフィアの壊滅よりはアモンという存在の超常現象という形での報道が大きかったから、ネットで調べてもあまり細かいことは分からなかった。俺よりもずっとそういう情勢を調べているし詳しいパイモンの方がわかるだろう。次に会ったら聞こうってずっと思ってたんだ。トーマスは、リアは、大丈夫なのかな……


 「内部の幹部は散り散りになったようですね。主の知っている通り、事実上の壊滅です。所属マフィアと連携していたマフィアも足並みが乱れて新たなトップの座を奪うために抗争になっています。政府もこの状況を見逃すほど甘くはなく、軍隊を使って鎮圧を目指していると言う話です。泥沼化ですね。メキシコは今から内部紛争が加速していくでしょう」


 それって俺が無責任にトーマスを助けたせいなのかな。それを後悔する気なんて全くないけど、でも自分のせいで新しい争いを生み出したとなると俺は間接的に人殺しに加担しちゃったのかな。どうすれば一番いい終わりだったんだろう。トーマスしか見てなくて他を犠牲にしてしまったんだろうか……


 状況を察したんだろう、澪が傍に寄り添って手を握ってくれる。さっきまで情けないところを見せちゃいけないって思ってたのに結局これだもん。本当に駄目だなあ俺は。


 「落ち込むくらいならば、深入りはしないことです」


 強烈なパイモンの一撃に息が詰まる。きっとそれは最もだ。深入りしなきゃ何も感じない。トーマスの過去も、何もかも考えなければ全てが上手く収まったのかもしれない。結局自分がトーマスに恨まれるのが怖かっただけなのかもしれない。表面だけいい人を装って、その結果俺は何を残したんだろう。


 「貴方にこんなことを言っても無駄なことは今までの経験上わかっていますが、同情は貴方も相手も苦しめます。相手に甘いのは貴方の美徳なのでしょうが、それによって起こる事象も考えた方がいい」

 「パイモンさん、でも……」

 「所詮分かり合えないのですよ。伺いますが主、貴方は自分の通う学校のクラスメイトの何人と仲が良いのですか?全員ではないでしょう?同じ環境で生活している学友でもすべての人間とは分かり合えない。契約者の気持ちなど、それこそ理解しあえる方が少ないと思いますが」


 反論しようとした澪を押さえつけるかのように矢次に放たれた言葉に胸を抉られたのは俺だけじゃないと思う。核心をついた一撃に何も言い返せなかった。


 「いいじゃねえか。綺麗事言ってるうちが華だよ。俺たちみてえになっちまったら、それこそ人間捨てちまってるぞ」

 「……そんなこと言うな」


 黙って聞いていたシトリーが茶化して入れたフォローを苦い顔をして光太郎が言い返した。肩をすくめてそれ以上シトリーが話すことはなかったけど、二人の間に何かあったのかもしれない。なんだか、上手くいかないことばっかりだ。俺はもう少し感傷的にならないようにしないといけないんだろうな。


 「どちらにせよ、トーマスが引き起こした事件は私たちがどうやっても取り返せないスケールだった。あなた一人の行動はただの誤差に過ぎない。今回の件に関しては気負うことはありません」

 「拓也は何も悪くないよ。だって助けなきゃあの子たちはアメリカに行けなかった。拓也は優しい人だったんだよ」


 パイモンの総合評価が下された後に澪が俺の肩に頭を乗せて、小さな声で語りかけるように囁く。握られた手を握り返して息を吸った。周りに言われただけでまだ頑張れるって思うなんて単純だ。でも、まだ大丈夫。


 とりあえず今日のところは悪魔の情報だけを聞いて、あとはセーレたちがフランスに向かうということでお開きになった。悪魔の情報を見つけてきてくれるといいんだけど……今回は危険な悪魔じゃないといいな。それ以前に正直テスト前は勘弁してほしいな。


 ***


 「拓也、あの人形師の情報がある程度割れたらしいよ」


 三日後、パイモンに勉強を教えてもらおうと思ってマンションに向かえば、真っ先にそれを言われた。


 え、本当に困る。テスト前だから本当に……悪魔を地獄のに返すのも大変だけどさ、テストも大変なの。分かる?学生の本分は勉強なの。今回悪い成績取ったら、一週間は自家発電できるんじゃないかって程の雷を母さんから食らうことになる。


 『母上の雷はフルフルの雷より怖い』

 「おお、名言」


 ストラスは怒った母さんの怒りがすさまじいか分かっているようで、俺を擁護した。


 でもそんなのパイモン達には関係ないんだよなぁ……今日フランスから帰ったら、ちゃんと勉強しよう。ソファに座って繕いでいるヴォラクに近づいて声をかける。ここにいるってことは今回はついてきてくれるってことだよな?


 「行くの?」

 「みたいだね。詳しい話は向こうに着いてから話すんだってさ」


 そりゃまた急な話ね。

 奥でパイモンとセーレが何か難しい話をしてる。今から行くのはもう確定事項みたいだ。そんなに遅くならずに帰ってこれるといいけど……


 ***


 「なんだ、田舎町かと思ってたら案外ちゃんとしてるとこだな」

 「一応先進国ですからね」


 そりゃそうだ。


 エクサンプロヴァンスは大学や学校が多く、学生の街って言われているらしい。その事もあってか確かに学生っぽい若い人たちが多い。少し観光気分で歩く事二十分で大きな通りに出た。この通りにその人形師がいるって話だけど、本当かな?賑やかな大通りに不自然に人が集まっている箇所がある。パイモン達がそっちに向かって行ってしまい、俺とヴォラクも慌てて追いかけた。


 「間違いない、あいつですね」


 あの人が……


 人と人の隙間から見えたのは、恐ろしいほど精巧な作りの人形を糸で操っている青年だった。人形はただでさえ完璧な作りなのに、青年の手で、まるで本物の人間の様に踊ったり回ったりステップを踏んだりして見せる。大きな拍手と歓声が聞こえるから、芸はもう終わって挨拶してるんだろうな。できればもう少し見たかったな……それほどにすごいから。呆けている俺と違って、パイモンとセーレとヴォラクは目を光らせている。


 「皆なんか怖いよ。なんなの?」

 「あの人形……人間の魂が縫い付けられてる」


 え、何その恐ろしい発言は。


 丹精込めて作った物に魂を入れ込んでる、とか言う人はテレビでよく見る。でもヴォラク達の視線の鋭さからそういう意味ではなく、本当に魂そのものが入れ込まれてるんだろう。


 カメラを片手に芸を見ていた人たちも、終わってしまった後は大道芸人の人に何かを話しかけて笑顔で輪から離れていく。そして二十分も経てば、青年の前にできていた人だかりはすっかり無くなっていた。俺たちの前にいる大道芸人の青年は芸に使った人形を丹念に布で拭いてあげており、その目つきは優しく、人形相手なのにまるで自分の体を拭く事ができない子供にしてあげているように慈悲に満ちていた。本当にこんな人が悪魔と契約してるんだろうか。


 「あ、あの……」


 勇気をもって話しかければ、青年は顔をあげてこっちを見た。多分この人から見たら、俺たちはただの観光に来た東洋人だと思うだろう。

 青年は愛想のいい笑みを浮かべてフランス語で話しかけてきてくれた。


 「Ne vois-moi mon show? Merci à partir d'un endroit éloigné(僕のショーを見に来てくれたのですか?)Vous êtes japonais?(君は日本人かな?)Merci à partir d'un endroit éloigné(わざわざ遠い所からありがとう)」


 何を言っているかは分からないけど、口調と表情で悪い事は言っていないと言う事だけは感じる。


 フランス語が話せない俺が先陣切って話しかけたって会話が成立するわけないじゃない。そろそろとヴォラクの後ろに避難。続きはパイモンがやってくれるだろう。


 「Quelle est la poupée?(その人形は?)」

 「Mon partenaire précieux.(大切な俺のパートナー)Vous ne devez pas prendre soin. Elle est importante à mes enfants.(大事にしなくちゃな。この子は大切な俺の子供だから)」

 「Est-ce vrai.(そうだろうな)Qu'est-ce que vous mettez en elle?(お前、その中に何を埋め込んでいる?)」


 鋭い目つきのままパイモンが棘の刺さった口調で何かを伝えれば、青年はパイモンの顔を凝視した。


 「Tu as l'air?(見えるのかい?)」

 「Bien. Qu'est-ce que vous avez mis sur la poupée(ああ、その人形に何を埋め込んでいる)」


 青年の表情もまとっている空気も何も壊れない。


 パイモンがかなり強い口調で問いただしてるのにビクともしないし、反応だって焦っておらず、大らかさを失わない。悪魔と契約していなかったとしたら、いきなりこんな事言われたら焦っちゃうはずなのに……本当に契約してても今までの契約者は悪魔の話を出せば表情が変わった。ばれた!って顔をしてたのに。


 なんでこの人はそんな平気そうなままなんだ。


 「Est l'âme d'une personne est étouffé. Très important.(ある人の魂が籠ってる。大事な大事な)」

 「Est-il bon dans mon interprétation?(その意味、俺がいいように捉えていいんだな?)」

 「(ご自由に。君の事は知ってるよ。多分パイモンって悪魔だろう?綺麗な女性の見た目をした男性の悪魔だって聞いてるから)」


 ヴォラクとセーレの目つきが変わる。

 やっぱりこの人が契約してたんだ……よく分からないけど、どうしよう!


 「あいつ、なんであんなに飄々としてるんだ?パイモンの名前も知ってる」

 「ヴォラク?」


 パイモンの事を知ってる?


 なんであの人がパイモンの事を分かるんだ。会ったこともないはずだ。契約してた悪魔に話を聞いてたのかな?それならなおさらどうしてそんな平気でいられるんだ。言ってみれば、自分を責める人間がやってきたって言うのに。


 人形を拭く手を青年は止めず、表情も仕草も何も変化がない。こんな不気味な人は初めてだ。


 穏やかな笑みを浮かべた青年の目は笑ってなく、この人が何を考えているかが茶色い目からは何も理解できなかった。


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