その毒見、癖でしております
初夏の庭園に、白いテーブルクロスがかけられた茶会の席が設けられていた。招待客たちの談笑の声が、爽やかな風に乗って流れてくる。
「お嬢様、本日の紅茶でございます」
侍女がティーカップを差し出すと、フィリシア様は当然のようにそれを一度、傍らの侍女へと押しやった。
「毒見をお願いね」
フィリシア様は、いつもと変わらない朗らかな笑顔でそう言った。招待客の一人が、その光景を見て小さく目を丸くしていたが、すぐに何事もなかったように談笑に戻った。この屋敷を訪れた者は、大抵一度は驚くが、二度目にはもう慣れてしまうものらしい。
「かしこまりました」
侍女が一口含む。何事もなければ、フィリシア様はようやくカップに口をつける。もう十年以上続いている、いつもの光景だ。初めてこの屋敷に来た客人は決まって驚くが、この家の使用人にとっては、もはや当たり前の儀式になっていた。
私はヴァイエル伯爵家に仕える護衛騎士、ロイドという。今日もまた、庭園の隅からこの茶会を見守っていた。剣を携え、任務として警戒を続けているつもりだったが、実際に役に立った試しは、あまりない。
視界の端に、従兄のアルフレート様が立っていた。ちょうど紅茶のポットに何かを――おそらく粉末のようなものを――さりげなく落とし込んだのを、私は見ていた。
だが、フィリシア様の毒見の習慣は、アルフレート様よりも早く始まっている。
結果、毒見役の侍女が「あら、少し苦い気がしますね」と首をかしげ、ポットごと下げられて終わった。フィリシア様は、紅茶が変わっただけとしか思っていない様子だった。
「あら、今日のお茶は口に合わなかったかしら。厨房に新しいものをお願いしてくださる?」
「かしこまりました」
新しいポットが運ばれてくると、フィリシア様はまた楽しそうに紅茶を飲み始めた。先ほどの騒ぎなど、まるで気にしていない様子だった。招待客の一人が「令嬢様は本当にお優しいですね、侍女の体調まで気にかけて」と感心していたが、その認識は少しばかり的外れだった。
アルフレート様は、遠くの生垣の陰で頭を抱えていた。隣にいた従者らしき男に、何やらぶつぶつと言い訳めいたことを呟いているのが、風に乗って微かに聞こえてきた。
「な、なぜだ……侍女に毒見をさせる令嬢など、そういるものではないだろう……」
私は、それには全く同意できなかった。この屋敷では、毒見は挨拶と同じくらい当たり前の習慣だったからだ。
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これで、何度目だろうか。
私が記憶している限り、この半年で少なくとも七度、フィリシア様の命を狙ったと思しき出来事があった。そのいずれもが、フィリシア様の何気ない習慣によって、事件として認識されることすらなく終わっている。
最初の頃、私は真剣に危機感を抱いていた。伯爵に報告すべきかと、何度も思い悩んだ。だが、証拠と呼べるものは常に「なんとなく変だった」程度のもので、正式に訴え出るには弱すぎた。何より、当のフィリシア様がまるで気にしていないのだから、こちらだけが気を揉んでいるのも馬鹿らしく思えてくる。
それでも、私は騎士としての職務上、記録だけは欠かさずつけていた。フィリシア様の記録癖に、いつの間にか感化されていたのかもしれない。
一週間後、遠出の予定があった。
出発前、フィリシア様は馬丁に断ってから、自ら馬車の車輪を一つ一つ確かめて回った。これも、幼い頃から続く習慣だ。
「あら、こちらの車輪、少し緩んでいるみたい」
フィリシア様が首をかしげる。馬丁が確認すると、たしかに車軸の留め具が緩められていた。事故を起こすには十分な緩みだった。
「最近、緩みやすいのかしら。前にも一度あった気がするわ」
フィリシア様は、そう呑気に言って、修理を頼んだだけだった。
少し離れた馬車小屋の陰で、アルフレート様とその母マグダレーナ様が、青ざめた顔で何やら囁き合っていた。
「お、おかしいわ。あの馬丁は間違いなく、車軸を緩めたと言っていたのに」
マグダレーナ様の声が、動揺で震えていた。
「母上、まさかフィリシアは、毎回車輪を確かめる習慣でもあるんじゃ……」
「まさか。そんな令嬢、聞いたことがないわ」
私は、二人の会話を物陰で聞きながら、内心で「いえ、まさにそういう令嬢です」と呟いた。もちろん、口には出さなかった。
旅程は結局、無事に終わった。フィリシア様は道中、車窓から見える景色をずっと楽しそうに眺めていた。緩められていた車軸のことなど、とうに忘れているようだった。
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二週間ほど、屋敷は平穏だった。私は少し拍子抜けしていたが、平穏な日々こそ、次の企みの仕込み時間だったのかもしれない。
「フィリシア、これを見て。とても綺麗なブローチが手に入ったの。あなたに差し上げようと思って」
マグダレーナ様が、宝石箱を差し出した。中には、見るからに繊細な細工のブローチが収まっている。
「まあ、嬉しいですわ、叔母様」
フィリシア様は、素直に喜んだ。だが、すぐに侍女へと目配せをした。
「鑑定士のところへ持っていってくださる? 着ける前に、一応」
これも習慣だ。フィリシア様は、贈られた宝飾品を必ず鑑定に通す。
鑑定士から戻ってきた報告は、「内部に不安定な魔力痕あり。着用は危険」というものだった。魔力薬で偽装された、いわば小型の呪具だったらしい。
「そんな、危険な品だったなんて……マグダレーナ様がわざわざ選んでくださったのに、申し訳ないことをしましたわ」
フィリシア様は、むしろマグダレーナ様に気を遣うような口ぶりで、そう続けた。
「まあ、危ないところでしたわ。素敵な品ほど、扱いには気をつけなければいけませんわね」
フィリシア様は、そう言ってブローチを丁重に返却させた。マグダレーナ様の作った渾身の一品は、鑑定士の手で無害化された後、静かに処分された。
私は、この半年の企みを頭の中で数えていた。毒、馬車、そして今度は呪具。手口は毎回違うのに、結果はいつも同じだった。
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二ヶ月後、今度は思いがけない形で企みがやってきた。
フィリシア様の誕生日を祝う晩餐会の席、アルフレート様が「今宵は特別な料理を」と言って、自ら厨房に手配した一品が運ばれてきた。見た目は美しい魚料理だったが、私は配膳の直前、アルフレート様が給仕係に何かを耳打ちしているのを見逃さなかった。
「フィリシア様、こちらのお料理は珍しい香草を使っておりますので、念のため……」
私が声をかけるより早く、フィリシア様自身が皿を毒見役へと押しやっていた。もはや条件反射のようなものだった。
毒見役の侍女が一口食べた瞬間、顔色を変えて口元を押さえた。すぐに解毒剤が用意され、大事には至らなかったが、その香草には微量の麻痺毒が仕込まれていたことが後で判明した。
「あら、大変。お夕食は別のものをいただくわね」
フィリシア様は、それだけ言って、何事もなかったかのように別の料理に箸をつけた。周囲の招待客も、毒見役の侍女が体調を崩しただけと思っている様子で、特に騒ぎにはならなかった。
私だけが、厨房の裏口から慌てて立ち去る人影を目撃していた。おそらく、香草に毒を仕込んだ下働きだろう。後で調べたところ、その人物はアルフレート様から多額の金を受け取っていたことが分かった。もっとも、その事実が明らかになるのは、もう少し後のことだ。
アルフレート様は、青い顔で自室に引き上げていった。
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三ヶ月後、家督継承の内定を祝う式典が開かれた。
大広間に主だった親族が集まる中、アルフレート様が突然、一枚の書類を掲げて声を張り上げた。
「フィリシア、お前は先月、領地の資金を私的に流用していただろう! この会計記録がその証拠だ!」
会場がどよめいた。フィリシア様は、驚いた顔をしただけで、特に慌てる様子もなかった。
「先月……ですか」
「そうだ、十四日の夜、お前は書庫で資金台帳を書き換えていたはずだ! 証人もいる!」
アルフレート様が指し示した方向には、見知らぬ使用人風の男が一人、居心地悪そうに立っていた。おそらく、金で雇われた偽の証人なのだろう。男は視線を泳がせ、誰とも目を合わせようとしなかった。
フィリシア様は、少し考えてから、懐から小さな手帳を取り出した。子供の頃からの習慣で、毎日の行動をずっと記録し続けている手控えだった。
「十四日でしたら、私は一日中、病院の慰問に行っておりましたわ。朝八時に出発して、戻ったのは夜の九時過ぎでした。同行した侍女と、慰問先の院長先生にも確認いただけます」
手帳のページを開いて見せる。几帳面な字で、その日の行動が分単位で記されていた。
会場の空気が、一変した。先ほどまでアルフレート様に同情的だった数人の親族の表情にも、明らかな疑念が浮かび始めていた。
「そ、それに、その証人も、金で雇われたのではありませんの?」
招待客の一人、恰幅の良い伯爵夫人が、扇の陰から鋭くそう指摘した。件の証人風の男は、いよいよ顔を伏せて後ずさりを始めていた。
「わ、私は、何も存じません……失礼いたします」
男は青ざめた顔で、震える声を絞り出した。
男はそう呟くと、人混みに紛れるようにして大広間を後にした。誰も、それを引き留めようとはしなかった。後日、この男もまた、口を割ることになる。
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「そ、そんな手帳、後から書いたものだろう!」
アルフレート様が、なおも声を張った。だが、その声にはもう力がなかった。
「毎日つけている習慣なので、後から辻褄を合わせることはいたしません。それに、その日は慰問先の孤児院で、子供たちに絵本を読んで差し上げましたの。とても喜んでくれて、覚えている限り書き留めておりますわ」
フィリシア様は、手帳をめくりながら、当時のことを懐かしそうに語り始めた。
「たしか、末っ子のミミという女の子が、私の隣にぴったりくっついて離れなかったのです。絵本の続きをせがまれて、予定より一時間も長く滞在してしまいました。院長先生には随分ご迷惑をおかけしたと思いますわ」
その場にいた誰もが、これが後付けの言い訳ではないと、直感的に理解したようだった。
フィリシア様は、手帳の該当ページを指し示しながら、朗らかにそう続けた。子供たちの名前まで几帳面に記されているのを見て、会場の何人かが小さくどよめいた。
「毎日欠かさずつけておりますので、以前の分もお見せできますが」
フィリシア様が、悪びれもせず手帳をめくり続ける。何ヶ月も遡って、几帳面な記録がずらりと並んでいた。
私は、この時とばかりに一歩前へ出た。
「僭越ながら、申し上げます」
私はこれまでの半年間の出来事――毒、馬車、呪具のブローチ、そして誕生日の晩餐会での一件――を、淡々と述べ始めた。アルフレート様とマグダレーナ様の顔が、みるみる青ざめていく。
「いずれも事件化されておりませんでしたが、フィリシア様の日頃のご習慣がなければ、取り返しのつかない結果になっていたはずです。私は騎士としての職務上、これらの経緯を全て記録しております。ここに、日付・状況・関係者を記した控えがございます。伯爵閣下にご確認いただければ、事実であることは容易にお分かりいただけるかと存じます」
私は懐から自分の手帳を取り出した。フィリシア様の記録癖に感化されて、いつの間にか自分もつけるようになっていたものだった。まさか、こんな形で役に立つとは思っていなかった。
「ろ、ロイド、お前まで妙な記録癖があったのか……」
アルフレート様は、隠しきれない動揺を滲ませながら、呆然とした様子で呟いた。
「お嬢様の傍付きを長く務めておりますと、自然と身につくものでございます」
会場は静まり返った。誰かが小さく咳払いをする音だけが響いた。
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大広間に集まった親族たちが、息を潜めて見守る中、伯爵――フィリシア様の父君――は、厳しい顔で二人を見据えた。
「アルフレート、マグダレーナ。これらの証言が事実であれば、由々しき事態だ」
伯爵の声は、静かだったが、これまで聞いたことのないほど重かった。会場の親族たちも、固唾を呑んで成り行きを見守っている。
「お、伯父上、これは全て誤解です。誰かが我々を陥れようと……」
アルフレート様は、なおも往生際悪く言い訳を重ねようとした。だが、居並ぶ証人たちの視線の冷たさに、その声はどんどん小さくなっていった。
「ち、違います、これは何かの誤解で……」
マグダレーナ様が、なおも取り繕おうとした。だが、車輪の細工を担当した馬丁が、正式な調査の中で証言を翻すのに、そう時間はかからなかった。
馬丁は、涙ながらに調査官に語った。
「アルフレート様に、口止め料をいただいておりました。まさか、こんな大事になるとは思わず……」
その証言を皮切りに、毒を仕込んだ厨房の下働き、呪具のブローチを手配した闇の道具商との繋がりまで、次々と明らかになっていった。杜撰な計画の裏には、それぞれ杜撰な共犯者がいたわけで、調査は思いのほか早く進んだ。
結局、アルフレート様とマグダレーナ様は、遠方の分家預かりという厳重な処分を受けることになった。伯爵家の後継から完全に外れ、二度と社交界の表舞台に立つことは許されないだろうと、誰もが噂していた。
フィリシア様は、その一部始終を、どこか他人事のような顔で見ていた。
「アルフレートお兄様たち、遠くにいらっしゃるのね。寂しくなりますわ」
その言葉に、悪意は微塵も感じられなかった。私は、何と答えたものか分からず、ただ曖昧に頭を下げた。
「ロイド、どうかしたの?」
「いえ、何でもございません」
「そう? なら良いのだけれど」
フィリシア様は、それ以上追及することなく、庭の花を眺め始めた。この方は、本当に何も気づいていない。半年に及ぶ命がけの攻防が、たった今、幕を閉じたことすらも。
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式典の後、家令のハンスが、私にそっと声をかけてきた。
「ロイド様、フィリシア様のご習慣の由来を、ご存知でしょうか」
「いえ、詳しくは」
「フィリシア様は、幼い頃、たいそう病弱でいらっしゃいました。侍医の指導で、毒見、乗り物の点検、贈り物の鑑定、行動の記録――全て、ご自身の身を守るために身につけられた習慣です。今ではすっかりお元気になられましたが、習慣だけは、ずっと残っておられるのですよ」
私は、しばらく言葉を失った。
「では、今回のことも……」
「はい。危険を察知されていたわけではございません。ただ、昔からの習慣を、いつも通りに続けておられただけです」
ハンスは、そう言って静かに微笑んだ。
「先代の奥様――フィリシア様の亡きお母上も、同じように用心深い方でいらっしゃいました。娘があのように育ったのは、母君の教えの賜物でもあるのでしょう」
私は、書庫の窓から差し込む夕陽を眺めながら、静かに尋ねた。
「奥様も、毒見や記録の習慣をお持ちだったのですか」
「はい。奥様は、ご実家で似たような目に遭われたことがあると伺っております。詳しくは存じませんが、それ以来、身を守る術を徹底なさっていたようです。フィリシア様がお生まれになってからは、その術を、そのまま娘御にも教え込まれました」
私は、その話に静かに耳を傾けた。フィリシア様の朗らかな習慣の一つ一つに、そんな重みがあったとは、これまで考えたこともなかった。
「そうでしたか」
「面白いもので、フィリシア様ご自身は、その教えを『危険から身を守るため』とは考えておられません。ただ『お母様に教わった、大切な習慣』として続けておられるだけなのです」
「それは……存じませんでした」
「私も、長くこの家に仕えておりますが、フィリシア様ご本人にお伝えしたことは一度もございません。お知りになれば、きっと重く受け止めてしまわれるでしょうから」
「ロイド様も、どうかこのままお胸にお納めください」
私は、静かに頷いた。フィリシア様が最後まで悪意に気づかなかったのは、鈍いからではない。むしろ、危機感よりも先に、大切な人との思い出を優先する方だったからなのだろう。フィリシア様が今のまま、無邪気に習慣を続けてくださる方が、この家にとっても、彼女自身にとっても、きっと良いのだろうと思った。
◇◇◇
それから数年が過ぎた。
フィリシア様は、変わらず紅茶の前には毒見を、遠出の前には車輪の点検を、贈り物には鑑定を、そして毎日の行動には記録を欠かさない。
「ロイド、今日のお茶、少し味が違う気がするのだけれど、気のせいかしら」
「……念のため、毒見をお願いいたします」
「そうね、いつも通り」
フィリシア様は、そう言って笑った。今日も何事もなく、いつもの習慣が繰り返される。窓の外では、庭師が丹精込めて手入れをした薔薇が、今年も見事に咲き誇っていた。
アルフレート様たちの一件から、屋敷の中で新たな企みが起きることはなくなった。それでも、フィリシア様は習慣をやめようとはしなかった。
ある晴れた午後、庭園でお茶を飲みながら、私は思い切って尋ねてみた。
「危なくないなら、もうおやめになっても良いのではございませんか」
フィリシア様は、少し驚いた顔をしてから、穏やかに答えた。
「これは、危ないからやっているわけではないの。お母様に教わった、大切なことだから続けているだけ。だから、これからもやめないわ」
フィリシア様は、そう言って、少しだけ寂しそうな顔をした。
「お母様が亡くなって、もう十年になるけれど、こうしていると、まだ傍にいてくださる気がするの。変かしら」
「いいえ。少しも、変ではございません」
私は、そう答えるのが精一杯だった。喉の奥が、妙に狭くなるのを覚えた。
フィリシア様は、それきり何も言わず、静かに紅茶を口に運んだ。庭園の薔薇が、初夏の風に揺れていた。
結果として、フィリシア様の身を守り続けてきたのは、恐れではなく、亡き母君との思い出だったのかもしれない。私は、そんなことをぼんやりと考えながら、今日も彼女の傍らに控えている。
もし、この屋敷にまた誰かが良からぬことを企てたとしても、フィリシア様はきっと今日と変わらず、いつもの習慣を続けるだけなのだろう。そして、その習慣が、また誰かの企みを、静かに、そして滑稽なほどあっけなく打ち砕くに違いない。企む側にとっては、これほど厄介な相手もいないはずだ。
私はそう確信しながら、今日も主の背後で、変わらぬ職務についている。この平穏な日々が、これからも長く続くことを願うばかりだ。
お嬢様を守っているのは、私ではない。お嬢様ご自身の、何気ない暮らし方なのだと、私は今では、そう思っている。
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