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悪魔の匂い。
季節の変わり目のせいだろうか。
心が酷く傷を負って、とてもじゃないけど、外に出る予定にならない。
いや、その言い方は語弊か。
学校や、アルバイトに行く気になれないのだ。
外に出るのは、案外好きだ。
今だって、優しい珈琲の匂いに包まれながら、カフェチェーン店で文字を綴っている。
…電車に乗る時間はとうに過ぎているというのとに。
周りからは、珈琲を飲みながら、一息ついてるただの学生に見えるだろう。
だが、僕からすれば優雅なひと時を過ごす、社会不適合な、サボり魔なのだ。
知り合いが、誰も来ないといいのだけれど。
なんてたって、ここは家の近所のカフェ。
こんな時間であれ、誰が来てもおかしくない状況だ。
(…暇だなぁ。)
心で呟いてみたけど、暇ではない。
予定が迫っているのだ。
このまま学校から逃げ続けていれば、いつか単位を落として、卒業できなくなる。
そう分かっているのに、何故か今はこの時間がとても大切なんだ。
「…さて。」
珈琲の匂いに包まれながら、僕は今日も、スマホを手に取った。




