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あまのじゃく
久々に巻いた包帯は、衰えることを知らずに、綺麗に太腿へと巻き付いていく。
何年ぶりの衝動だろうか。
入浴中、突然、刃物を自分に向けたくなったのだ。
痛いと思う反面、誰かに気付いてほしい思いが募って、深く刻んでしまった赤い線は、数日経った今も、消える気配がない。
棚の上に置いてある写真立てを、虚ろな目で見つめていた。
…あぁ、苦しいなぁ。こんな時、あの人が居ればなぁ。
遺影のように飾ってある写真は、死人の顔ではなく、数年前に僕の前から去っていった恩人だ。
優しくて、笑顔が素敵で、捻くれ者だけどそこが魅力で。
また、貴方に救われて、貴方の居ない現実に殺されて。
この生活は、一体いつまで続くのだろうか。
僕が死ぬまで、終わりを告げられることはないのかな。
そんなことを考えながら、いつの間にか瞼を下ろしていた。




