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戦国日本を世界一豊かな国へ!  作者: わびさびわさび


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第52話 河越合戦

1545年(天文14年) 8月中旬 武蔵国 河越 



「連合軍は随分と、数を減らしましたな。」


「儂は未だ3万近く残っておるのに、驚いておるわ。」


俺に同行している参謀局の軍師、勘助と定満の話が聞こえてくる。


長尾軍が陣を構えた丘の先には、既に陣を敷き、戦の準備を整えた関東連合軍の姿が見える。その数はおおよそ3万ほどだ。当初は8万を超える大軍だったのが、今や半分以下にまで減っている。定満の言う通り、それだけの兵が残っていることの方が驚きかもしれないが。


「中将ど…いや、殿。河越城の救援、重ね重ね御礼申し上げる。」


口髭を蓄え、鋭い目付きのダンディな中年の男は北条家当主の氏康だ。此度の河越城の戦には、伊豆で今川と対峙していた北条の本軍1万も、長尾軍に合流して参戦している。仲間の救出のための戦とあって、北条軍の士気は高い。今回、氏康が俺の近くにいるのは人質ではない。


氏康の帯刀も認めているし、むしろ『北条家を信頼しているからね』と云う、俺の意思表示でもある。

最も、俺の側近である美雪なんかは、未だ警戒している様子で、いつでも抜刀できる位置にいる。『そんなに心配しなくても良いから』とは、伝えてあるんだがな。


そんな氏康だが


名前:北条氏康 男

・統率:91/96

・武力:85/88

・知略:90/91

・政治:96/98

・器用:80/85

・魅力:85/88

適性:政務 統率 軍略 算術


やはり、とんでもなく優秀な方である。政務官としても軍司令官としても超一流の能力を備えている。遥々関東までやって来た甲斐があった。もちろん、局長待遇で雇わしてもらう。是非頑張って欲しい。


「家臣となった者を救うのは、当然のことよ。それより、相模守は敵勢をどう見る?」


「やはり、敵勢の士気は高い様には見えませぬ。しかし、敵の右翼……あれは西上野勢の動きが解せませんな。少し戦場から離れすぎている気がしますが。」


確かに、3千程の兵が戦場の西側、予想される戦場の位置から少し離れた場所に陣取っている。


「ああ、先日、山内上杉家の当主・憲政と重臣・長野業正が軍議にて激しくやり合ったそうだ。その結果、主戦場から干されたのであろうな。」


「よく御存知ですな。余程優れた目と耳をお持ちのようですな。流石でございます。」


氏康に褒められたが、戦に限らず情報を集めるのは当然だと思っている。此度の動乱で俺が関東に放った忍びは2千を超える。その中には当然、関東連合の陣内に堂々と味方として乗り込み、情報収集に務めている者もいる。敵勢の情報はすべて筒抜けと言って良い状況だ。


うん。もう少し防諜対策とか考えた方が良いと思うぞ。


「唯でさえ、こちらとは兵力差があるというのに、愚かなことだな。」


「とは言え、名将と名高い業正が参戦しないとは、こちらとしては助かりますな。北条も奴には随分と煮え湯を飲まされました。最も、あの曲者のこと、関東管領殿とやり合ったのも、全て計算ずくでのことやもしれませぬ。」


確かに。この戦は勝てぬ。と踏んで、当主とやり合うことで主戦場から離れた。

十分に有り得る話だが、長尾家にとっては損になる話ではない。


現状、長尾軍と関東連合軍の戦力差は圧倒的と言っても良い程だ。北条家を吸収し、更に数を増やした長尾家は、最早15万に届く大軍となっている。対する関東連合軍は、当初の8万を超える大軍は今や見る影も無く、良いところが3万といったところだ。


正直、未だ抵抗の構えを見せているのが、不思議に思えるほどの戦力差と言って良いのだが、向こうにも名門の意地やらプライドやら、色々とあるのだろう。

何より、此度、俺は山内、扇谷、古河公方の3家に対して宣戦布告をした。この3家としては、逃げて個別で籠城し、磨り潰されるよりも、連合を維持して3家で協力して長尾家と対峙した方が、多少なりとも勝算があると踏んだのであろう。


そういった諸々のものを含めて、古き名門の威信をこの地で粉々に打ち砕いてやるとしよう。


「殿、左翼、右翼部隊戦の準備、整った様でございます。どうか御下知を。」


勘助からの催促だ。この戦の長尾軍の陣形は、信濃勢を中心とし、それに関東の国人衆を加えた古賀京志郎率いる4万、左翼に越中勢を中心としてそれに北条勢を加えた4万を柿崎景家が率いる。そして中央の俺の近衛部隊、越後勢を中心とした5万を千代が率いる形となる。千代も随分と成長した。

仮にも軍神様なんだから、そろそろ1軍の指揮を任せても良いだろう。


俺は高く軍扇を掲げ


「目指すは河越城!窮地の同胞を救い出す!邪魔する者は蹴散らせぇ!!」


軍扇を振り下ろした。


「「「おおおおおおおおおぉぉ!」」」


大地を揺るがすような、鬨の声と共に10万を超える大軍が関東連合軍に向け前進を始める。流石に10万を超える軍勢の鬨の声は凄まじい。

それだけで、敵陣に動揺が走ったのが判る。


ゆっくりと整然と進む我軍、敵勢との距離はまだ少し離れている


「良く鍛えられた兵達で御座いますな。やはり、さっさと長尾家に降ったのは正解で御座いました。」


「こちらとしても、北条を相手にせずに済んで安堵しておる所よ。」


「御冗談と、受け取っておきます。」


氏康さんと会話中に、ふと近くから視線を感じた。美雪である。


はいはい、判りましたよ。あなたも、出陣したいんですよね。


「美雪。此処は大丈夫だから行ってこい。手柄を立てて来るといいぞ。」


パッと花の様な笑顔を俺に向けた後、颯爽と旗下の白龍隊を率いて前線に向かう。

出陣間際に、同じく俺の近衛部隊である黒龍隊を率いる小島弥太郎に


『此処は任せましたよ。新様に何かあったら許しませんから。』


そう目配せををしてから、陣を後にする。その後ろ姿は随分と楽しそうだ。

あまり、やり過ぎ無いようにな。


「すまんな…家の嫁が。」


「いえ。良く出来た奥方です。」


一応氏康さんには謝って置いた。未だに美雪は氏康さんを疑っている、と云うより警戒しているみたいだからな。本当、心配し過ぎである。


美雪が率いる白龍隊は1千は、女性ばかりの隊であり全員が軽鎧を纏った騎馬兵だ。

力では男には勝てないが、その身軽さでスピ-ドは他の部隊を遥かに凌駕している。


今も見る間に、前線部隊を追い越し敵勢の弓の射程外である、200メートル程の位置にまで達した所で、敵陣に対して横一列に展開した。


敵勢は呆気に取られている様だ


そんな真面に弓も届かない距離から何をするのか?


それは、判らないだろうな。彼女達が行おうとしているのは…


白龍隊は隊列を素早く整えると、鞍から長い筒を取り出し敵勢に向ける

そして、美雪の号令の後に


バア----ン!!


と云う、雷鳴の様な轟音が戦場に轟いた


そうだ。白龍隊が行ったのは、おそらくは世界初であるであろう


鉄砲の集団運用である。


 日本にポルトガルから火縄銃が持ち込まれて既に2年となる。

そろそろ日本の戦でも、本格的に火縄銃が使用される事となるだろう。

そこで俺は、糸魚川時代から研究していた銃の配備を決めた。

ある程度の実用性と安全性の目途が付いたからだ。


この戦で使用された銃は、フリントロック式の物となる。

火縄では無く、代わりにフリント・燧石ひうちいし)が取り付けられており火種を使わず、さらに火蓋を閉じたまま射撃体勢にかかることが出来る為、発射の間隔も短い上、天候の影響も小さく、雨天での運用も可能な優れモノだ。


火薬の黒煙が風に流され、視界が開くと関東連合側の惨状が、露わとなった


最前線に居た数百の兵が倒れている。

無事だった者も何が起きたか判らず動揺し、腰を抜かしてしまっている者までいる。


なんの備えも知識も無い状況で鉄砲と対峙したならそうなる

この時代、未だ鉄砲は多くの日本人にとって未知の兵器だ。


そんな、阿鼻叫喚と云える状況の連合軍に対して美雪は容赦なく第二射を放つ。

その、発射間隔は30秒程か、美雪はまだ遅い、「15秒位はいける!」と言っていた。

彼女がそう言うなら訓練次第で短縮できそうだ


凄まじい轟音と共にバタバタと連合軍が倒れていく


「…あれが噂に聞く種子島なる物で御座いますか?凄まじい威力ですな。」


「少し違うが、まあ。似たような物だな。」


そんな一方的な射撃を5射まで繰り返した後、美雪は次には火薬の煙に紛れる形で敵陣に向かい、今度は石弓による斉射により、ミドルレンジからの攻撃に移行した


騎馬のスピ-ドを生かし敵勢を翻弄し、次々に敵兵を討ち取っていく


「見事で御座いますな。敵陣を切り裂き大穴を開け、其処に…」


千代が率いる長尾勢の本軍が突撃した。


その動きに右翼の京志郎、左翼の景家の軍も連動していく


敵の前線は既に崩壊した。


早くも戦の趨勢が定まり、総崩れの様相を呈する関東連合軍の背後を

薄まった河越城の包囲を突破した、北条綱成率いる3千が連合軍を背後より急襲、それがトドメとなった。


此処で、関東連合は壊滅した。

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