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戦国日本を世界一豊かな国へ!  作者: わびさびわさび


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第49話 名声

1545年(天文14年)7月上旬 武蔵国


【護国護民 豊国豊穣】の俺の旗印を掲げた軍勢が、街道を往く。

流石に10万もの兵の進軍となると、その行列は壮大で、どこまでも続く兵の波は圧巻である。行軍する兵士たちの動きは澱みなく整然としている。

見る者が見れば、それが良く鍛えられた強兵だとすぐにわかるだろう。


その軍勢の数は、関東に入ってから更に増えてきている。

長尾家の大軍を見て「長尾家の陣営で参戦しよう」と、関東の諸将が次々と長尾家の軍列に馳せ参じてきているのだ。

信濃で起きた事と同じだ。所詮、国人衆は強き方に靡く。


今回の戦で最強の家はどこか?

最も勝ち残る可能性の高い家はどこか?

味方して最も利がありそうなのはどこか?


そんな即物的思考は、時に権威や義理といったものを簡単に凌駕する。

そりゃ、自分や一族の命から先祖伝来の土地やら、色々背負っているのだ。

気持ちは良くわかる。


「殿、先の村で300ほどの兵が狼藉を働いているようですが、如何いたしますか?旗印から察するに扇谷上杉家の兵かと。」


情報局長の段蔵からの報告だ。

今回の関東出征において、俺は大軍を率いて圧倒的に優位な立場に立っているわけだが、こちら側が兵力において優位な時に最も注意すべきは、敵の奇襲だ。

不利な敵側としては、それしか勝つ術がないのだから、夜襲、朝駆け等の奇襲を必ず狙ってくる。俺ならそうする。

それを防ぐには、なんといっても情報網の構築である。俺はこの戦で情報局から2千を超える忍びを動員し関東に放っている。

そんな忍びの集めた情報が絶えず段蔵から俺に伝えられている。

今の長尾家の軍勢に奇襲を仕掛けることは不可能と言って良いだろう。


にしても……


「扇谷の当主は阿呆か。これから自分の手に入れる予定の土地の民を襲って、どうすると言うのだ。」


「大方、参戦した兵への恩賞として、乱取りを許可なさったのでしょう。愚かなことです。それで中将様、如何なされますか?」


「決まっている。兵を出して追い払え。抵抗するなら切り捨てても構わん。」


「一応はお味方ですが、よろしいので?」


「構わん勘助、どうせ何も言えん。言ってきたとしても、賊だと思った。とでも言っておく。」


「流石、中将様です♪」


「ならば、私が出ましょう。罪の無い民を襲うとは許せません。」


「新様、私も出ますわ。白龍隊の訓練に丁度良いわ。」


千代と美雪だ。彼女たちの心配は必要なさそうだが、やり過ぎないかは心配である。


「あぁ、じゃあ頼む。気をつけてな。くれぐれも、やり過ぎないようにな!」


2人の嫁は颯爽と騎馬に跨り、2千ほどの騎馬を率いて軍列を離れて行った。


「段蔵。『扇谷上杉家が武蔵で乱取りを行い、罪の無い民を襲っている』と噂を流して置け。多少の誇張を混ぜても構わん」


「ウフフフ。中将様、その噂に『上杉家の非道から長尾家が民を救った。』というお話も追加しておきましょう。」


「お。いいね諏訪ちゃん。段蔵それも追加で頼む。」


武蔵の北条領に入ってから、こうした民を襲う略奪行為、乱取りが頻繁にみられる様になっている。先程の様に兵を派遣して救ったり、攫われて運ばれる者達を保護したりと出来る事はしているが、正直、全てに手が回らない状況だ。

なんと言っても乱取りを行っているのはほとんどが、一応は味方となる関東連合だからだ。


いっその事、北条側に鞍替えし、乱取りを行う様な連中全てを、台湾か蝦夷に送り強制労働にでも従事させてやろうか?

その方が余程日本の為に成るだろう。


そんな感情が沸々と湧いてくる。


しかし、問題の根本は乱取りを行っている兵士達では無い。

それを是としている統治者達だ。

知識、能力、倫理観、統治者に必要な様々なものが欠落した者が、権力を握り権勢をを振るった結果が、現状のこの乱世だ。

先ずは日本の上を変革する。


長尾家も随分、大きくなった……

この戦が無事終わったら、一度上洛を考えるか



2時間程で救助に向かった嫁達も帰って来た

やはり、扇谷上杉軍の兵士だったようで、ボコボコにして追い払った様だ。


ちゃんと、死者を出さずに済まして来たそうなので、取り敢えず褒めておいた

こうして、徐々に倫理観と云うモノを育てていく。

地道だが、この行動が将来きっと生きて来るはずだと思っている。


扇谷上杉家から抗議の使者が来たが


『当方は罪無き民を襲う、賊共を追い払ったまで。』


そう言って、適当に追い返しておいた


そうして、北条方の籠る河越城に程近い関東連合軍が陣を置く、砂久保の地まで間もなくという頃、出していた物見から急報が届いた


「連合軍の一部にて、我軍に敵対する動きあり!注意されたし!」


先程、『間もなく到着する。』と先触れの使者も出した


敵と誤認したと云う事は無いだろう


「ふん。向かって来るなら、踏み潰せば良かろう。」


「ほう、面白い!我等と敵対する心算の様じゃ!」


武闘派軍長、古賀京志郎と柿崎景家の発言だ


その発言に多くの賛同の声が上がる。

その中に勿論、俺の武闘派の嫁2人も入っている。


元々長尾家は武闘派の集まりである。


困ったものだと、思わなくも無いが……


此度に関しては、俺はここで関東連合軍と開戦になっても、構わないと考えている


俺は名声は重んじるが、別に権威に対しては、それ程重きを置いている訳では無い。

名声が高まれば、其処に人が集い従い、それはやがて新たな権威となる。

【悪名は無名に勝る】と言うが、その悪名は名声には勝てない


名声を上げる上で、権威が役立つと云うなら、有り難く利用させて貰うが、権威を振り翳すだけの無能に、利用される心算は端から無い。


此度の出征で連合方に付いたのも、先に北条を潰した方が

『多少人死にが少なくなるだろう』程度の理由だ。

あくまで多少に過ぎない。誤差の範囲だ。


此処で退くと、逆に武家としての長尾家の名声が下がる。


どの道、北条も関東の旧勢力も潰す。


その順が変わろうと俺は構わない。



「戦の準備を急げ!関東の者達に、お主等の力を存分に見せ付けてやれ!」


行軍を止め。慌ただしく陣形を整え、戦の準備をはじめる

その動きは、とても滑らかで規律あるものだ。日頃の訓練の成果だな。


そんな物々しい、我軍の下に関東連合軍より使者が訪れたのは


戦の準備を万端に整え、俺が進軍を命じ様とした、その時であった。


下記に史実での河越の戦いの参戦武将を記しておきました。

ウィキペディア参照のモノですが、よろしければ参考にしてください。

史実と言われてるものですから、当然拙作と齟齬はでますがその辺はスル-してくださいませ。



北条軍

本隊

北条氏康

多目元忠ため もとただ

大道寺盛昌(『鎌倉九代後記』『北条記』『関八州古戦録』)

河越城

北条綱成

福島勝広(『鎌倉九代後記』『北条記』『関八州古戦録』)

北条幻庵(太田資武書状)



山内上杉軍

上杉憲政

小野因幡守(戦死、『鎌倉九代後記』『北条記』)

本間近江守(戦死、『鎌倉九代後記』『北条記』『関八州古戦録』)

倉賀野三河守(戦死、『鎌倉九代後記』『北条記』『関八州古戦録』)

本庄藤九郎(戦死、『関八州古戦録』)

長野業正

長野吉業(戦傷死、『長野系図』)

上泉信綱

小幡憲重おばた のりしげ国峯城城主

赤堀上野介(戦死、上杉憲政書状)

三田みた) 綱秀つなひで)勝沼城主



扇谷上杉軍

上杉朝定(戦死、『関八州古戦録』)

難波田弾正(戦死、『鎌倉九代後記』『北条記』『北条五代記』『関八州古戦録』)

難波田隼人正(戦死、『鎌倉九代後記』『北条記』『北条五代記』『関八州古戦録』)

大石おおいし 定久さだひさ武蔵国守護代。滝山城主。

太田資正おおた すけまさ(太田資武書状)

成田長泰なりた ながやす

上田政広(『関八州古戦録』)

上田朝直うえだ ともなお武蔵国松山城主

藤田康邦(『鎌倉九代後記』『北条記』天神山城主


足利軍

足利晴氏

小田政治



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

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