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625.決戦!大怪獣ズボラ?!

なんぼなんでもこのサブタイは酷くないですか?

え?今に始まったこっちゃない?はい。

 王宮の建物から神殿に繋がる方の通路に出たら、通路の半分から先が見事にぶち壊されていた。


 神殿だった瓦礫の真ん中には、黒々とした巨大な物体が蠢きながら屹立している。


 既に人型ではない、なんか不定形のぶよぶよした真っ黒い、スライムめいた……


 いやこの世界のスライム、丸くてかわいいのしか見た事ないからちょっとイメージ的にないな、これはなんて言えばいいんだ……


 ぶよぶよしているのが遠目でも判るのは、人喰い魔物特有の、飛び出すヒトの手足類似物質が弛んだ皮目っぽい部分から見え隠れするせいだ。


 うむ、完全に魔物だコレ!

 人生初体験の海のスタンピードで見たボス格よりでっかい魔物は初めてですね!


「うーん、スライムっていうよりウーズとかブロブとかそんな感じ?」

「それにしてもでかすぎる。表面溶けてる感じだし、正直臭そう」

「俊敏さがなさげというか、あれ移動能力あるんですかね?」

 三人組が口々に言いたい放題だけど、正直あたしとしても同意しかない。


「……ふむ。確かにアレが本体だな。逃げも隠れもしねえってか」

 レガリオン神との契約の繋がりからあれこれ辿って結論を出したのはアンダル氏だ。


「そういやその繋がってんの大丈夫なのか」

「直じゃないうえに、レガリオンの奴自体が現在隔離済みだ。

 そもそも神器の機能を介してしか繋がらないから、奴がちょっかいを掛けることができたとしても迅速に俺の餌だぞ?」

 そして、アンダル氏が思った以上に無敵モードだった。


 最悪彼を突っ込んだらそれで終わるまであり得る。


 いや、でもそれはないな。

 奴は生存本能だけはえげつないほど発揮するタイプだから、アンダル氏を乗っ取ろうとする可能性は、高い。


 とはいえ、そこまでさせる気はこっちにもない。


「まずは手始めにいつもの乱射から」

 一応宣言だけして、マルチロックで限界数までライトレーザーをぶっ放す。


 おお、カンストした!


「……おねーさんがドヤ顔になったから何かカンストしたっぽい」

 同じくマルチロックに複層詠唱まで付けてフレイムレーザーを乱射したカナデ君がこちらを見て言う。


 え?あたしそんなにドヤ顔してた?


「ええ、[シューティングマイスターEX]ですって。

 ……狩人と間違われそうな気がして、ずっと隠蔽してたんだけど」

「隠蔽の理由が雑ぅ!」

「そうかな?気持ちは判るぜ?」

 あたしの説明した称号隠蔽理由で即ツッコミにきたカナデ君に対し、アスカ君は何か思うところがあるようで、うんうんと頷いている。


 なお魔法の結果は、まあまあ、といったところだ。

 全体の質量は少し減ったけど、これってまた、ランガンドの時みたいに地道に削らないとだめな奴?


「かなり削らないとだめかなあ」

「いやでも撃たなくても高さが徐々に減ってないかあれ?」

 カナデ君の疑問に、アスカ君が別の疑念をお出しして……げっ!


「まずい、土壌に浸透しようとしてる。国土全域を取り込んで、更に巨大化するつもりかも」

 若しくは、国土そのものを餌として、エネルギー補完と大地を盾とする方向か。


 どっちにしても、潜られてしまうのは、まずい。

 何故なら、この世界の魔法、物理遮蔽がある程度有効なのだ。


 いや、貫通系魔法は地面と相性の悪いウィンドエッジ以外は通るんですけどね、効率が落ちるのよ!


「まあしょうがないか。〈アブソリュート・ゼロ〉」

 そしてカナデ君が容赦なく氷超級を放つ。


 この間ヤール氏が見せてくれたのとは違い、雹は降ってこなかったけど、ズボラの居る辺りが完全に凍結しているらしいのが見える。


 ただ、恐らくダメージは入っていない。

 氷雪神イースレッドの存在を取り込んだ時に、権能も確保してしまったせいだろうか。


「これも効果可変だったの?」

「うん、そこらへんの術式が見ないと判らなくてね!龍のお兄さんに会えて本当に良かったよ」

 効果の違いに関して質問したら、その通りだという解答。


 やっぱり氷と雷の超級、他のより特殊なんだな。


(氷と雷は地元人類には使えないから、デチューンして利用帯域を絞る必要がないもんなあ)

 そして、モルテット氏が思いもかけない事を言う。デチューン?


「あ、やっぱりそうなんだ。

 さっきのおじさん達のメイルシュトローム、イルルさんのより大分威力が低いとは思ったんだけど、そういうことかぁ」

 そしてカナデ君はそれにも気が付いていました、という言葉。


 あたし?判んなかった。


《いや、判る方がおかしいです。

 あんな儀式化複合魔法状態のものをきっちり測れる人類っていませんから》

 あー、移譲された権能が仕事しちゃってる奴かぁ。


 つまり、カナデ君、完全に神の力、使いこなしてるのか。


《元々相性がいいんでしょうね。遭遇時からずっと、完全に魔法特化でしたし》

 それはそう。なるべくしてなった感は確かにあるわね。


 あれ?でもズボラの方、神々を食って権能も我が物にしてるなら、他の神の権能とか……


 ……あれえ?そういうの一切持ってませんって技能判定が出るんだけど!?


「炎熱神の手足で炎耐性でも付いてるかと思ったのにないってことは、氷と相殺してゼロに近い数値まで落ちてるんだな、耐性」

 氷はダメージ通らないから食った分量の違いのせいかなぁ、とカナデ君。


「むしろ、それまでに食ったモノの権能とかは一切残ってないのに、なぜ氷耐性は残ったの?」

(単に時間が経過すると消化されて消失するだけだね!)

 あたしの疑問には、モルテット氏が明快な回答をくれた。


 うへえ、各神が権能の欠片とか遺してくれてなかったら、本当に世界丸ごと詰む話だった!


「ともあれ時間稼いでる間に、ちょっと足止めしなおしたい、かな……〈バーストブレイクダウン〉」

 そして流れる様に再び雷超級を、今度はどうやらダメージ全振りで撃ったカナデ君だけど……


「おねーさん、これ潜ろうとしてるんじゃない、多分最初から大地と同化してる。雷半減した」

 なんですって?


「国神ってのは大地に縛られた存在だ。さもありなんというところか」

(あー、国神の縛りを受けたまま堕ちた上に、完全に自我を喪失したんだな。ならそうなるや)

 レガリオン神との契約で国神というものの本質を把握しているアンダル氏が頷き、モルテット氏も原因がはっきりした事象だと述べる。


「え?どうすんだ、神じゃなくて魔物なら討伐、楽だろうと思ってたのに」

 サーシャちゃんが珍しく焦った様子を見せる。


「ねーさん、隠し玉ある?」

 アスカ君の方は、あたしが驚きはしたものの、それ以外は平常モードなのに気付いてこっちを見ている。


「隠してないけど、どうやら使いどころが来たみたい」

「うん、リストのロックが外れた。準備でき次第技能使うね」

 アスカ君への回答と同時に、カナデ君から準備がほぼ整ったという宣言が来た。


「おっけー。こっちも準備整ったみたい。魔法名が解放されたわ」

 それにしたって、ちょっとこれ、消費魔力えげつなくない?


「ワカバ、アスカ君、悪いけどここから詠唱が終わるまで、結界フルで組んで。

 僕とおねーさん完全無防備になるから」

「カスミさん、マルジンさん、警戒宜しくね。

 サーシャちゃんも警戒技能フル回転でよろしく。あたしも詠唱中は他の技能全部止まるから」

 光超級の仕様で一番ヤバいのはこれだ。


 スキルはおろか、他のパッシブ技能も全部一時的に、停まる。

 異世界人ですら、自分の全てを懸けないと使えない、正に大魔法だ。


「なるほど、オレらの本当の存在意義は、そこか」

「ねーちゃんの警戒が消えるのきっついなぁ、まあ俺がフル回転で多少は?」

「俺も見てやるよ、サーシャは魔力系の防御に難があるからな」

 アスカ君とサーシャちゃん、それにアンダル氏も請け負ってくれたので、安心して準備に入れる。


 そう、詠唱開始までの準備にもまあまあてこずるやつなんですよ。


「じゃあまず魔力練り……これは何時もの解放ぶんくらいでよさそうかな?」

 技能を最初に使うのかと思ったら、魔力を練る作業からだったりね。


「あともう三分、技能の効果時間が長いなら、練るとこから使うんだけど」

 丁度詠唱時間程度の効果時間しかないんだよね、とカナデ君がぼやく。


 三分なんて贅沢言わない。もう一分欲しい感じだけど……

 まあ事故らなきゃ間に合う、はずだ。


 さあ、一世一代の大魔法のお目見えよ?覚悟なさい、ズボラ!

でかくなっても表面ずるずるのどろどろ。

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