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624.見た目の段階で無理。

最初の連想がランガンドの時点でダメな感じの奴。結果サブタイもダメな感じに。

「ククク……エサ……メガ……ミズカラ、ヤッテ、キタカ」

 扉が開いた途端、なんだかお約束、としか言えない台詞が飛んで来る。


 但しその発音は、異様にぎこちない。


 あ、無理。


 一旦直視してしまった相手から、秒で目を逸らしたら、同じように目を逸らすみんなと目が合った。

 やだ、あたし達気が合い過ぎ?


 いやだってさあ。

 ランガンドを思い出させるとはいえ、流れるような、見事な真っすぐで、床に拡がる程に長い金髪は、確かに綺麗と思えなくもなかったんだけどさあ……


 顔は勿論、見える範囲の身体も、全て真っ黒に染まり、輪郭もずるずると崩れかけ、到底、元の容貌など判らない。

 辛うじて、白目だけは、まだ白いので、顔としての機能はまだありそうだな、などと思う。


 純白と金だったらしい、高位神官のものであっただろう衣装は、血と肉片の跡、それに自らの身から崩れ落ちる断片で、赤茶色と黒に汚れ、見る影もなく。


 この国では、白地に金の装飾の衣装は最高神官兼国王にしか許されないものだと聞いている。

 元々は創世神の御座の国でだけの習慣だったものを、ズボラがこの国に持ち込んだんだそうだけど。


(変質しすぎていて判りづれぇが、あの身体は王のもののようだな)

 モルテット氏が、あたしの技能判定と大体同じことを言う。


 そう わがみを じぶんでいじするのを やめたときから おうのからだを うばっている


 その魂は、当然のように本体の維持に突っ込まれ、毀れ、消失したのだろう。


 このせかいのひとは かみにかてぬゆえ あらがうことすら できなんだが 

 かのおうは せいれんなひとであったゆえ そのごの ひがいを ずいぶんと へらしたはず


 過去をやや懐かしむような、天の声。

 そうか、最後の王、その人自身は、真っ当な方だったのね。


「クイノコシドモ ガ ヘラズグチヲ タタイテイル ヨウダナ」

 む、ズボラのくせに、こっちの念話とかそこら辺の何か、傍受してる?


 さすがに われは さっちされている はず


 あー天の声限定か。それは判らなくもないな。

 乗っ取られた本体と完全に切れているという訳でもないようだし。


 切り離されているのは、ズボラが堕ちた結果による汚染からの影響だけ、だからなあ。


 だから、このまま奴を本体ごと倒してしまえば、天の声とあたしとの繋がりは、恐らく消える。


 そもそもそうしないと、メリエン様の巫女として就任できないので、既定路線ではあるのだけどね。


「こいつ、どう処すんだ?」

 アンダル氏はあたし達と違って、相手の容貌に特に思うところはないらしく、そう尋ねて来る。


「普通に魔法攻撃でいいはず」

 実は、現在のズボラ、防御力若しくはそれに類する機能が、ない。


 メリエン様によって世界から切り離されたから、ダメージの肩代わり先がないんですよね。

 というか、ダメージ軽減手段をそれしか用意してなかったという事実にびっくりだよ!


(それしかない、というより、それしか残らなかった、じゃねえかなあ)

 モルテット氏の指摘が、恐らく正解なんだろう。


 そんな訳で、いつも通りマルチロックでライトレーザーだ。

 もう詠唱してやる気遣いも要らないよね、と無詠唱でぶっぱなす。


 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア


「おお、叫び声は派手だな!微妙に三下臭いけど!」

 アスカ君の言い分が酷い。あたしも同感だけど!


「ねーちゃんマジ流れる様に攻撃入れるよなぁ」

「だってコレと会話するの、絶対的に時間の無駄よ?」

 サーシャちゃんが呆れるのに、簡単に理由を説明する。


 だってこれ、それっぽい事言ってるけど、恐らく、思考能力自体が殆ど残ってないし。


 ライトレーザー数十発を撃ち込まれたズボラの思考体は、床に溶け拡がるように転げまわり、悶絶している。


 しかし流石腐ってるけど元神、依代ですら一斉射では落ちないかー。


 無論、相手だって無抵抗ではない。


 ただ、髪の毛やら黒く染まった冒涜的な触手的な何かやらを伸ばしてくるその抵抗は、ワカバちゃん一人の結界だけで、完全に防がれている。


「思ったよりぬるいですが……本体じゃないならこんなもんなんですかね?」

 そのワカバちゃんの言葉は、相手を挑発する意図を込めている。


 キシャアアアア!!


 言語を紡ぐ事を止め、ダメージから一旦立ち直ったズボラが突っ込んできたけど、がちん!と結界に阻まれる。


 んー?


「あ、なんだ、もう本体側に逃げたんだ。これヌケガラだわ」

 技能判定のままに言葉を紡ぎ、更にライトレーザーをぶち込む。


 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァ……


「なんかもう全部ねーちゃんだけでいいんじゃないか」

「まず何よりも、食事が確保しきれないから無理だからね、それ」

 壊れ、消えていくズボラの依代を眺めてサーシャちゃんがぼやくので、即答する。


「それにさっきワカバちゃんが言った通りよ。この後が、本番」

 そう言いながら、魔力相殺で周囲の空間を浄化する。


 カナデ君も同様に手伝ってくれたので、王宮側は結構綺麗になった。


 とはいえ、ここは長年瘴気を産生し続けた場所になってしまったから、すぐに何処からともなく、瘴気が再生産されていくのが判る。


「ところで、誰がトドメを刺すとかそういうのは決まってんの?」

 アスカ君が軽く目を細めながらそんなことを言い出したので、首を傾げる。


「いや別に……あたしには予定があるから、それ以外の人かな、くらいには思ってるけど」

 神に至る道のフラグは、あたしには必要ない。


 そう、今回の討伐では、恐らくランガンド討伐の時と同様に、とどめを刺した人に神化フラグが確定で付く。

 それ自体は、事前の情報共有の段階で、全員に伝えてある。


「オレも今後の事を考えると要らないかなー。わざわざ不老不死そのために捨てたんだし」

 アスカ君も要らないと宣言。まあそこも予想通りだ。


「やっぱ無難なのは俺じゃねえか?

 まあ俺の自認は神じゃなく魔神だが、この堕ちっぷりなら似たようなもんだろうし」

 そして最初に伝えた時と同様に、アンダル氏が軽い調子でそう述べる。


「それはまあそうなんだが、ネットワークの変質が怖いなぁ」

 サーシャちゃんが珍しく、弱気な様子を見せているけど、ワカバちゃんとカナデ君はそうかな?と首を傾げているだけだ。


 ただ、あたしの技能は、何故かは判らないけど、そうはならない、という判定をしている。


 アンダル氏がとどめを刺すのが理想的な気はしてるんだけどなあ。

 今の彼は、元から持っているという破壊系の権能以外にも、最終的に創世系に育てられる生産系技能、持ってる訳だし。


 なんでも、創世系の権能は、制作系と破壊系、両方の権能を持たないとだめらしいんだ。

 これは……


 ……ってあれ?これどこで出てきた知識?出典、ないぞ?


《妙ですね、書庫に収録されていない知識ですよ、そんな大仰なもの……》

 シエラも首を傾げる謎事態だ。


 まあこういうのは得てして他の神々からこっそり送られた情報だったりとかする奴だから、今は出処は考えない方がいい気はする。



 そんな感じで、妙なというか人を食ったというか、ぶっちゃけ相手ズボラをちょっと、いやかなりナメた相談をしていたら、突然ズゴゴゴゴ、と地鳴りが発生した。


 続けて、ガラガラと何か巨大なものが壊れ、崩れる音。

 但し、この建物本体ではない。こっちも揺れてるけど、現状では破壊されている様子はない。


「もしかして巨大化でもした?」

「もともと神体は巨大よ?」

 サーシャちゃんの疑問には、元々神の本体はでかいという話で返す。


「あー、そういやレガリオン神とか大きかったっぽいし、ディアロス神の頭も大きかったね」

 カナデ君が本体を見た事のある辺りに言及して頷く。


 いや、現状、のんびり喋ってる場合じゃないんだけどね?


「取りあえず向かいましょう。建物ごと叩き潰されるのは脱出がめんどくさいわ」

 結界は常に誰かが起動してるから、潰れるのは建物だけであたし達自身は無傷ほぼ確定だとはいえ、瓦礫の山から出られないとか、的になるようなものだから、できれば回避したいですよねって!

思ったよりズボラの劣化が酷くて碌に喋ってくれない。

いやあいつに言わせたいこともあんまりないけど。

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― 新着の感想 ―
これもしかしてマジでズボラがやらかした巫女って主人公とのつながりが極めて高い人物だったか……? 彼女が取り込まれた際に流入した知識とかが繋がりを通じて流れてきてるとかなら理解はできるし
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