表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
660/676

ex10.称号の仕様がやっぱり謎な件。

はい本日は称号回と番外編です。サブタイがビミョいのは仕様です。


 王都マルエンサカスは、大通りの一本以上裏に入った通りが商店街だ。

 大通りに近い程、格式高い大店が並び、離れる程に庶民向けの商店が増えていく。


「優秀な収納魔法をお持ちの方だと、旅行者向けの保存食より、生鮮食品の方がお勧めでしょうかねえ」

 なんと、買い出しに付き合ってくれているのは、エンメルケル家の長男、トレルバイド氏だ。


《トレルお兄様は義姉様とよく買い物に出ておられましたからね》

 トレルバイド氏の奥様は、オラルディ国の伯爵家の出の人だそうで、観光旅行に来た伯爵一家を接待したら、奥様の父である先代伯爵にこの上なく気に入られて、君が長男で婿に来れないのなら娘をやる、という、ある意味貴族らしい経緯で国を跨いでお嫁に来た人なのだそう。


 その父君は例のオラルディ国王宮でのロベール四世の大暴れで亡くなったらしい。

 ホーエンデ伯爵って言われたけど、ちょっと記憶には残ってなかった。


 流石にあの国での死者は総数しか知らないからなあ。

 生き残った人達の方は治療のあれこれもあって、それなりに記憶したけど。


 さて買い物の方はというと、食べ物素材を売る店の店先に並ぶものは乾物が多い。

 大通りにも、裏通りにも水路はあるんだけど、その程度では乾燥をどうにかできるわけじゃないから、らしいよ。


「トカゲの干物……?」

「砂漠産の砂トカゲの肉を現地で干したもの、だったかな」

 サーシャちゃんが初見の食品を見て興味深げにしているので、ちょっと説明を加えてみる。


「ええ、よくご存じですね」

「以前トカゲ類の在来種だの外来種だのって話をしていた時に出てきたので」

 確かここの砂トカゲは在来種で、他国ならそこら辺の岩の下にいるイワシタトカゲが外来種だって話をしてたはず?


「ああ、漂着系外来種は割合食べられないものが多いですよね、特に小動物」

 なるほど、地元民だとそういうイメージなのか。


 トカゲの干物だけじゃなく、サボテンを切干しにしたものとか、更にその果実を干したもの、柔らかい椰子の実を干したもの、殻の固い、水分をたっぷり蓄えた椰子の実なども買い込む。


 そういえばここにある椰子の実も種類が多いけど、国境城塞の近くにある椰子たちとは全部種類が違うわねえ。やっぱりあっちのは漂着種っぽいなー。


 あとは水分を蓄えたヒョウタンもサーシャちゃんが買っていた。


「飲むの?」

「いや、主に研究用」

 サーシャちゃんはさらりと答える。

 まあ水出せる人は複数いるからね、ヒョウタンがなくても問題ないはず。


 そして雑貨屋さんでは、ヘチマのたわしをたくさん買い込むサーシャちゃん。

 今年育ててた奴じゃ足りないらしい。


 そんな感じで色々買い物をして神殿に戻る。

 あたしはエルフっ子達のお土産用に、カクタスシルクという布地の薄いストールを購入した。


 カクタスシルクという名称だけど、要するにサボテンの一種の繊維を紡いで織ったものね。

 結構いい艶加減ではあったし、色目が優しくてあの子達に似合いそうだったから。



 今日も神殿にお泊まりだ。サーシャちゃん提供の夕飯のあとは、男女別でお風呂で騒いでから、それぞれの寝室に解散して就寝、なのだけど。


 今のうちに称号はきちんと確認すべきよね?


《そうですねえ……また妙な事になっていますし》

 はいはいまたですね……


〈称号管理:一覧〉


[落ち来りし者]

[大魔王級魔力保持者EX]←Up

[龍の友+]

[聖獣の盟友]

[中級召喚師++++++]

[上級治癒師EX]←Up

[上級魔法師:光限定++]

[シューティングマスター+++](隠蔽中)

[スタンピード制圧者]

[境界の巫女](隠蔽中)

[解放せし者]

[もふもふマスター+]

[中級護法師++++]←Up

[魔法開発者★★]

[銀枝の裁定者]←Up

[聖獣の庇護者+]

[誠心の医療従事者]←Up

[新たな神を鎮めし者+](隠蔽中)

[異世界人同盟+++]

[狐の盟友]

[神滅を観測した者]

[魔を威圧せし者]

[調伏せし者]

[海を救いし者]

[海神の友誼を得し者]

[調停者を支えし者]

[内外の仲介者](実態は[小月の加護])

[山華姫の信任を得し者]

[鼠婦の友]

[四天王攻略リーチ]

[草原姫の加護]

[技芸姫の加護]

[天馬の庇護者]

[異聖を宥めし者]

[真龍の盟友]←Up

[友垣の輪]

[霊鶴の認可]

[霊鯨の友誼]

[大聖女補佐見習い]←Up

[神を癒せし者]←New!

[数多の縁を結いし者]←New!


 なるほど、ゲマルサイト神の治療の時にカンストしたのは治癒師称号と魔力かぁ……


 メリサイト国に来る前に増えてたのが霊鶴の認可と霊鯨の友誼なのは覚えてる。

 真龍が盟友になったのがこのタイミングなのは、ヤール氏の真名を知ってしまった辺りかな?


 裁定者称号と医療従事者の称号が上がるのも想定内。

 医療従事者の方は特にマークは付けられてないけど、実はこれもカンストだったりする。


 って事は称号を得る発端自体は、多くの人に報酬抜きで治癒魔法を使う事だったけど、称号そのものが表しているのは医療系技能の習熟度なんですね、恐らく。


 補佐見習いは……これアップマーク付いてるけど、あたしの技量が上がったんじゃなくてトリィが正式に大聖女になったから、よねえ……


 とはいえ、今後あたしがトリィと積極的につるんで何かする、なんてことは早々ないはずだ。

 ズボラ決戦が終わったら、魔物発生は確定で減るから、スタンピードもそう簡単には起こらない、はずなのよ。


 親友には違いないけど、所属国も別だからね。あたしはこの称号だけはずっと見習いでいい。


《龍の友がひっそりプラスになっていますね?》

 ああ、それもこの国に移動してくる前だったはずだから、多分水晶龍様ね……


 それよりもですね、最後に増えてる[数多の縁を結いし者]。なにこれ。


《……神々の加護を一定数受けると称号が統合されて[数多の友誼を結ぶもの]に変わる、はずだったのですが、加護とは違う称号が複数あるため、この称号になった、と上から……》

 ああはいイレギュラー……ってこれ友垣の輪のせいってこと?


《裁定者と鼠婦の友も変更要因だそうです、言われてみれば、そうじゃないと数が合わないですね。

 あとメリエン様の称号も付加はされたものの、[境界の巫女]に内包されてしまっているそうなので、これも重要な要因でしょうねえ》

 ……いや待って?鼠婦の友?その称号、確かダンゴムシよね???


 いや、そうだ。

 以前夢で見た、というか聞いたじゃない。でっかいぴっかぴかのダンゴムシの彼は、元はそんな存在じゃなかったのだと。


 小さきながら、かつて神の座にあった者だったのだ、と。


 そして、あの時あたしが視点を借りる恰好になっていた、恐らくは最初の彼の旅の連れは。


《はい、フォルヘッセナーレ神で間違いない、そうです。といっても国神を引き受けるより、大分前の時代の話だそうですけど》

 ああ、だからフォルヘッセナーレ神からの称号が『友垣』なのね。

 友達の友達はーって奴。


「……皆で広げよう、友達の輪!ってか?」

 思わずぽろっと口から零れたけど、何のフレーズだったっけ?これ。


【ヤグスが先日似たような事を言っていたのう。あるじ様、それは非魔法文明系の異世界では一般的な言葉なのでございますかね?】

 テーブルの上に置いてもらった、寝床用の箱の中身のクッションを整えていたマルジンさんが、あたしの呟きを聞きつけて首を傾げている。


「カナデさんも、確か先ほどのお嬢様の台詞と同じ言葉を口にしていたことがございますね。確か、ワカバさんがいいとも、などと答えていたかと」

 カスミさんも情報を付け加えてくれる。うん、その返しにもなんか覚えがなくもないわね。


 そっか、カナデ君達が知ってる系か。ということは……


「そのパターンだと三人組の世界が本家の気配がするわね。あたしの方はどこかで見た、くらいの印象しかないから、コピペ引用かなにかでしか知らない奴だと思うわ」

 こんなしょうもない事に技能判定とかしてどうするの感はあるけど、しちゃったもんはしょうがない。


 それにしても、裁定者称号、若枝の次が銀枝なんだ。って事は次は金枝なんだろうな、取れる日が来るかどうかは謎だけど。


 まあ、謎が解けたらそこまで胡散臭い称号は増えてなかったから、良しとしよう。


[神を癒せし者]は隠蔽候補かなぁと思わなくもないんだけど、隠蔽用の枠、足りないしなー。

言う程謎じゃなかったというか謎が大体解明されちゃったというか。

次は番外編。お兄ちゃんたちの話→

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
お昼休みはウキウキウォッチ…?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ