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552.フラマリア国にお邪魔する。

きな臭い話まとめ回。

 第四次巡行は、二泊しただけであっさりと終了だ。


 だって、本当に何も困った事、なかったし。

 王都カルムナエには行く用事、なかったし。


 女神様によれば、グラニク殿下が主体となって行っている、雷属性持ちの採用は上手く行っていないらしいけど。

 私の属性と合わないですからねえ、とこぼされてしまった。


「あーうん、植物属性と雷属性って、火属性相手ほどじゃないけど、あんま相性良くないよね」

 カナデ君が頷いていたので、どうやらグラニク殿下の苦労だけは、当分続きそうだ。


 帰りものんびり空輸されて、ヘッセン国では神殿まで戻ってから解散するのがいつもの流れ。

 次回はフラマリア国ときっちり決まってるので、相談する部分も特にないしね。


 まあ、我々は今回フラマリア国に先乗りするんですがね!!!



「ちぃーっす!タコパしにきたぞ!」

 サーシャちゃん、そうじゃない、そりゃそれも当然するけど!


 この国では三年ルールとは関係なく、神殿では初回の面通しが済んでいる異世界人は、基本奥まで顔パスだ。


 だもんで、メッセニア港まで迎えに来てくれたランディさん共々、アフルミアの神殿にのりこめー!しましたよ!


「えー、小豆の生産、マッサイトのお陰で急激に伸びてるから、今ならたい焼き祭りもできるよー?」

 そして答える自称勇者様、ことフラマリア国国神ケンタロウ氏も食い気最優先だ。


「甘いもののほうは聖女様も一緒の時がいいかなって」

 カナデ君の説明に、それはそうか、と納得するのが早い。


「それはそうと巫女ちゃん、サンファンの方の出産の大騒動は色々済まなかったね。

 今後を考えるとあの産婆さんはともかく、医師の派遣を毎回やるのは無理があったから、初回だけはあの子の自力で頑張って貰いたかったんだ」

 そしてまず、あたしに対してそんな言葉が降ってくる。


「いえ、あたしの技能判定でもそれしかないな、って感じでしたから、あれは不可抗力です。

 むしろ、あたしとしては、巡行の直前の予定変更で、スケジュールがかなりギリギリになって焦ったほうがですね」

「う、それは……確かに止めきれなかった僕にも責任は、あるね……すまない……」

 取りあえず、言っておきたかったことだけは真っ先に言っておく。

 いや多分食べ物出されると忘れるんで、我々……


 ってかやっぱりあのリスケ、自称勇者様じゃなくて王様の方が出処だったのか……


「ねーさん……なんで神様相手にそこまで強気なん……」

 背後でアスカ君が呆れているけど、君だってやればできる範囲よ、コレ?


「まあ僕は神様以前に異世界人のフラグの方が強いからね、元勇者君もあまり気にしなくていいよ」

「その元勇者って言い方、できたらそろそろやめてもらいたいー」

「ごめんよ、フラグとはほぼ無関係に、直接本名呼んじゃうと、流石に不味いんだ」

 元勇者呼ばわりはそろそろ卒業したいらしいアスカ君だけど、残念ながら、この世界の神々は人間の名前を不用意に呼んではならないことになっている。

 例外は、その場にいない人だけだ。


 理由?異世界人フラグすっ飛ばして影響が及びます。

 我々だってそう言うのは望んでない、はず。


「で、ここまでの聖女巡行、どうだった?

 今回の聖女ちゃんは大聖女目指せるんじゃないかって噂だけは聞いているけど」

 そして話は本題に及ぶ。


 うん、実は事前に此処までの巡行の内容を直接確認したいからって呼び出されたんすよ、あたし達。


「ええ、あとは魔力の底上げだけですね。

 1ランクとプラス二つ上げるのは、結構きついとは思うんですけど、魔力解放による瘴気払いを教えることができましたから、最も遅れたとしても、カウントダウンには間に合うんじゃないかなって。

 それまでにあたしの指導の経験値が溜まるかどうかの方が怪しいかも」

 特に問題なし、に近い内容だけど説明はする。これも仕事だからだ。


 魔力を練って属性を載せて解放する、という、言葉だけだと単純な作業が今までさっぱり使われてこなかったのは、できるできないの相性問題もさることながら、魔力効率が一般人の使える範囲での最悪を通り越しているからだ。


 ええ、ベネレイト村のジェラールさん、あの人、〈耕転〉を覚えた時に特訓したそうだから、魔力自体は地元民としては結構多いんですよ。

 だから彼は実行自体はできた。


 後で聞いたら村で解放までできた人、基本の開放ができる、つまり攻撃魔法習ったことある人達の中で、半分も居なかったってよ?


 あとはカナデ君が実験した通り、光属性以外でやるのは更に効率が悪いから、ね。

 この世界、本来なら光属性持ちは、そんなにいっぱいいるわけじゃないのだ。


「人格的にもねーちゃんが入れ込んでるだけあって、いいひとだよね。

 そのくせ王妃って立場でものを見て行動できるだけの知性と教養を備え、肝も据わってる」

 サーシャちゃんが傍目からの感想を述べる。


 そう、今回の聖女巡行、あたし以外の異世界人組は、聖女の為人の見極めも仕事だったんだ。


 あたしは元から親友で、えこひいきフィルター掛かってるだろうからって、その話を聞いたのは此処に来る途中でだよ!!


 くそぅ、反論できない。


 ともあれ、今回の巡行行事前半と、聖女様本人には、問題なしの判定が下った。

 むしろトラブルの数が丁度いいくらいで完璧、とまで言われたのは、やや解せぬ。


「そうすると後はうちと、サンファン、それにメリサイトだね。

 ……でも巫女ちゃんもそうだけど、メリサイト入りしちゃうと、多分あいつに聖女ちゃんの存在、ばれるよなあ」

「むしろ今の状態でばれてないとかあるんですか」


 いやちょっと待って?聖女って世界が定めて世界に通知するから、存在がバレるとかいう話に、なり得るの?


「境界の姫が眷属共々かなり頑張ってくれててね。

 聖女というのは、世界のシステム上、基本的に常時存在しているものだから、そこはどうにもできないけど、所在の方はずっと隠せているんだ。

 奴は他国に潜入している呪術師の下っ端とは直接繋がっていないから、そこから情報が遡上していかないのがラッキーだったよね」


「というか、そもそもあの連中、そんなにしっかり本国と連絡取ってないですよね?」

 あたしの疑問はそこだ。

 組織的に動いている、とは余り言い難いのよね、ライゼル勢の下っ端って。


「バレた時に本国とは無関係を通さなければいけない都合上、あのメダルくらいしか繋がりのない状態で他国に挑んでいるようだね。

 それ以前に、呪術師というのは極めれば極める程に排他的になる職だ。

 儀式魔法を多人数で行わねば成果を出せない下っ端はともかく、その上にいる連中は、上下意識こそあるけど、仲間意識ってのが全くないんだよね……」

 これはまだ僕が人間やってた頃の知見だけどね、と、自称勇者様が宣う。


 あー、それで時々やってることがちぐはぐになるのか、あいつら。


「たまに同類に補給を試みてますよね、あれは?」

 ワカバちゃんからの質問に、自称勇者様の眼がちょっと開く。


「そんな事案が最近あったのかい?

 横の連携が取れている系の報告は暫く……そう、五十年くらいは聞いてないなあ」


「視察団の時のオラルディ分団に潜入していた輩がそんな感じだったんですよ。

 ただ推定補給先は、そいつらが辿り着けただろう時間より前に壊滅してましたから、そこまでしっかりとは連絡取れてなかったんじゃないかな感はありますね」

 そういえば、あの時の食料補給に失敗して壊滅してた連中の報告、ちゃんとしたっけ?


 いや、報告書には直接書いてないな、そっちの顛末は黒鳥に聞いただけで、直接見てないんだったわ。


「あ、サンファン国内のマイサラス方面の山中で死んでた連中か。

 あっちの行政府の方から話が上がってきてたんで別件かと思ってたよ、いかんなー、うっかりだ。

 うん、下っ端同士で、食料や術具の融通自体はしてなくもない、らしいね。

 ただ、これも呪術師のよしみって程度の話で、組織だってやっているものではない、らしい」


「ああ、そういえばオラルディ国の過去の案件でもそんな話を聞きましたね……」

 言われて思い出したけど、現ベルタルダ伯爵夫人の、実の生家が皆殺しにされた案件で似た話を聞いた記憶がある。


 狭間の術しか使わない家系だったのに、呪術師として服従し協力しろと言われて、断ったら殲滅されたという事件ね。


 その時も従えとは言われたものの、何処からの命令で来た、みたいな話はされていないらしい、という事だった。


 まあ当事者全員墓の下なんで、推測と、あたしとベルタルダ伯爵夫人の技能判定だけが頼りの話だけど。


 そういったちょっときな臭い情報の交換のあとは、お待ちかねのタコパですよ!


「業務用サイズ、使いやすいなコレ……帰ったら作ってもらうかあ」

「え?作れる奴いるの?予備が欲しいから発注していい?」

 たこ焼き奉行と化したサーシャちゃんが、アンダル氏にでっかいたこ焼き台を作らせる決意を固め、それを聞いた自称勇者様が、これまた発注しようとしている。


 アンダル氏、暫く調理器具作成から解放されなさそうだなあ。

聖女様と一緒でええやん?と思ってたら側近様からストップがかかりましてな。

<美食は程々に!

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