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518.マイサラス国への上陸。

無事一か所目到着。

 船旅ではこれといった事案もなく、無事マイサラス国へ上陸だ。


 入出国の手続きだけは、嘘は書けないけど、貴賓室扱いにして貰うことで、ある程度の秘密は保たれる。

 貴賓室扱いは、王侯貴族だけでなく、国際商人なども利用できるので、今回はその枠を一旦借りる事になる。


「はい、確かにお手続きは完了致しました。ええっとですね、カーラ様とサーシャ様には、もし御来訪頂いたなら、という条件付きでの書状がございますのですが、お渡ししてよろしいでしょうか?」

 そして係員さんから謎の指名を受けるあたしとサーシャちゃん。


「まあ、カーラさん有名人なんですのね」

 トリィは素直に感心してくれている。


「有名なんじゃなくて、知り合いがいるだけね」

 状況的に、サーシャちゃんにも指名がある以上、差出人はこの国の王女のひとり、パルミナ殿下のはずだ。

 王太女であるメリザンド殿下も顔くらいは知ってるけど、彼女の方にはサーシャちゃんとの接点がないからね!


 流石に王族からの手紙を保留するのは失礼だろう、と、二人とも受け取りを選択する。

 とはいえ、いきなりこの場で読む気はないけど。


 マイサラス国のこの港は、マイサラス国の海岸線のど真ん中にある、コルマリアンという名の港湾都市だ。

 ここから王都であるマティレクには、乗合幻獣車で向かう事になる。


 はずだったんだけど。


「これはお忍び旅として、正しいのでしょうか……」

 真顔で悩むトリィがとってもかわいい。


「呼ばれたのはあたしとサーシャちゃんで、トリィたちは便乗になるから多分セーフ?」

「そう、ですね……主賓でないなら問題ないかと……」

 取りあえずこちらの感想を提示したら、ディスティスさんにも肯定はされた。


 ええ、お迎えの幻獣車が配置されてました。多分これ女神様辺りからチクりがあった奴では?


《あー、そうかもしれませんね……》

 マイサラスの女神様、パルミナ殿下を通しての感じだと、あの頃からあたし達に割と興味がありそうな感じだったのよね。

 だからってここまで準備万端にして待ち構えているとは思わなかったんだけど。


 正直この国の方がオラルディ国より治安がいいって聞いてたから、本格的庶民モードの訓練をやっておきたかったんだけど!


 ちなみに車両種別を幻獣車、と判定したけど、実は牽いているのは幻獣ではない。

 筋肉質な人の上半身に、天馬達よりもがっちりした印象のある馬の下半身。

 つまり、ケンタウロイ族だ。彼らは幻獣聖獣じゃなくて、異世界出身の異種族人類、に分類されているよ。


 上半身にはきっちり軍服っぽい衣装を着こみ、下半身も輓具だけではなく、布や鎖の装飾具を付けていて、足と尾は見せているけど、それ以外の部分はあまり露出は多くない。

 ふたりとも顔立ちは壮年の男性ね。


「ケンタウロイ族が曳く車は、王族と彼らに認められた者しか乗れないものだそうですよ」

 カスミさんが後追い解説。うはあ、悪目立ちィ!


「お嬢さんがた、準備がいいなら出発致しますぞ」

 全員乗り込んだところで、より年かさであるらしいおじさんがそう声をかけてきたので、お願いします、と伝える。


 ……市街地を抜けた瞬間からの全力高速移動は、想定していませんでした。おうっふ。


(ううう、不覚に、ございます……)

 ええ、カスミさんがダウンしました。カナデ君もちょっと怪しそうだったけど、こちらは耐えきった。トリィはあらあらまあまあ、と、全く動じる気配がなかった。大物だわ……!


「おおっと、先を急ぎ過ぎました、申し訳ない。侍女殿は狐のお人でござったか」

 もう一人のおじさんにカスミさんが気遣われる。


「そうなのよ、最初から狐姿で乗っていれば酔わなくて済んだんだけど」

 狐姿なら乗り物酔いはしないのだ、カスミさんも。

 ただ、今回は人目の多い場所での乗車になったので、そこまで気を遣ってあげられなかった。ほんとマジでごめん。


「いや、そもそも未知の客人載せて全力疾走しちゃだめだろ。今に始まったこっちゃないけど、ほんと君らのスピード狂振りは直らないなあ」

 そしてアスカ君はどうやら以前にもケンタウロイ族との接触経験があるようで、小言を述べている。


「面目ござらん……どうにもいい所を見せたい、と思うと本能が顔を出すらしく」

 スピード全振りになりがちなのは馬的な本能、と彼ら自身は判断しているらしい。


 彼らが立ち止まったここは、どうやら主にケンタウロイ族の為の休憩所であるらしい。

 普通の幻獣車も端っこに止まっているけど、ケンタウロイ族の人が他にも何人かいる。


 だけど、彼らはこちらには近付いてこない。どうしてだろうと思ったら、制服を着て業務中の者には話しかけないルールなんだって。

 あたし達の車を牽いてくれている人達とは別の、もっとシンプルな制服の人達もいて、彼らも自分達だけで何かを確認しているけど、当然こちらには近付いてこない。


「ああ、あの緑の制服は郵便事業の者たちですね。この国は、郵便と宅配事業が特に盛んですので。あの者達は普通貨物便を請け負っておりますよ」

 マイサラス国では、他国では乗合馬車が副業的に請け負っている郵便や荷物の配送を、ケンタウロイ族が行う事で、効率的に運用しているのだそう。


 そうねー、この人たちなら、強盗には強そうだしね。


 この世界にも、山賊やら強盗やらはそれなりに出現する。

 多くの場合は、さっさと捕縛される運命なんだけど、それを切り抜けてガチめの盗賊団になる事案も、たまにはある。まあ大体汚職とかライゼル勢の暗躍がセットなんですけども。


 例外は海だ。三百年ちょっと前だったかの大討伐で、海賊は概念ごと絶滅したといっていい。

 それでも海に面した大半の国で、海賊対策としての海軍は今も重要視されている訳だけど。


 それ以前に、スタンピードでも出ない限り、現代の海というのは、この世界では食うに困らない場所であるらしい。

 食べるに困らず、漁師たちが船や装備の更新も順次できる程度に、魚市場はどの国でも活力と経済力があって。そんな環境だと海賊でもやるか、みたいな気風は発達しにくい。


 この状況は、地上の流通の発展や、加工技術の進展によって改善されてきたものだ。

 つまり、そうなる前は結構漁村は貧しくて、その結果正道からドロップアウトして海賊行為に手を染める輩がいたって訳ですね……


 そして実は、ライゼル勢は、海に出ることができない。


 これはあの国に不凍港がない、という話とは別だ。

 彼らの、特にメダルを持っている連中は、不思議なくらい海を厭うのだそうだ。

 以前のレガリアーナの軍船の件?あれ、船にはメダル持ちは乗ってなかったらしいよ。


 多分海神様がなんかしてるやつ?と思った事もあるんだけど、どうもそうでもないらしい。


 実はこの世界、海神様達と太陽にいる太陽神だけは、ズボラの干渉を受けないという特性を持っている。

 以前のレガリオン神は、その事にも助けられていた。海神様から借りた権能がなければ、恐らく、あたし達は間に合っていなかったので。


 多分メリエン様もその特性は所持している。海神様が二人いらっしゃるから、四柱の神が干渉を回避しているのかな?


《太陽神様も月の神様とセットで生まれて、それぞれ干渉を受けないそうですから、五柱ということになりますね》

 ほー。案外多いんだな。


 自然神的な存在の五柱は、最初期に創られた事もあって、力が強い。他の国神様がたとは比べ物にならない程度に。


 ただ、地上に干渉する事も殆どない。メリエン様は国神としての縛りを受けている上に境界神として忙しいので、他の事をする余裕がない、ということになっているけどね。


 ……もしかして、メリエン様って本来なら大地母神として創られたのでは?という疑惑はないでもない。ズボラが天空属性でも持ってたら創世神話としては完璧だろうし。


《どうでしょう、ズボラにそういうのはなかったような気がしますが》

 奴はあくまでも光の神的な存在であって、天空、のような属性はサブでも持っていないという事らしい。


 まああくまでも他世界の創世神話とか物語的なものからの類推、むしろ妄想に近いものだからねえ。当たっても嬉しくない、いやむしろ当たらなくて良かった系かもしれないけどね。


 話は戻って、乗合幻獣車での旅でも、強盗が出ないわけではない。

 あたしは幸い遭遇したことはないし、そもそもあたし達が乗客だったら基本返り討ちだろうけど。


 どうやらこの国ではその心配はしなくていいらしいよ。頼もしいなケンタウロイ族?

当たらずとも遠からずライクな話でしたが実はズボラ討伐には別に必要じゃない情報。

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