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499.晴れの日、準備万端。

ちょいと時間が飛びますよ。

 その後も数回関係各国を訪問して、まず無事にそれぞれの婚約が正式に締結され、そして気が付けば、フラマリアからリミナリス殿下が嫁ぐ日がやってきていた。時の流れ、早いな!?


 なお各国訪問の際は、エルフっ子達をずっと連れて行っていた。どうせならフラマリアも見ておいてもらおうかなって。

 案の定屋台グルメにハマってしまって、連れて行かない時にはお土産に欲しいとまでいうようになってしまったけど。


 あれは現地で食べるから美味しいんだよー?って言おうとしたけど、何気に持ち帰って食べても普通に美味しかったので、ある意味完敗でしたね……


 ヘッセン国の方では、子供たちが特定の誰かに懐く、なんてことはなかったんだけど、フラマリア国の方では、何故かレンビュールさんに懐いた。ケンタロウ氏じゃないんだ?


「あの子達が懐く相手って、変わった話を知っている人、が基本な気がする」

 カナデ君の感想はこれで、なるほど確かにそうかもしれない。

 レンビュールさんもあたし達やこの世界とは違う文明の出身だから、そういう別世界の話を聞くのが楽しいんだな、多分。


《貴方方は異世界人な上に感化されて、というよりシンプルに慣れてしまってますけど、普通のこの世界の人間は、神様に気安く懐くのは難しいんじゃないでしょうか》

 アッハイ、それもそうね……。


 サンファン国では、やっぱり先王陛下の処に入り浸っている。またもやおじいちゃんと孫コースだ。

 それ以外だと、メルマイア嬢が意外と受けがいい。まあ彼女を嫌い、もしくは苦手、って人、あんまり見ない気はするけど。


 今回のお式は、当然ながらサンファン国の王宮で行うので、子供たちも連れてきたけど、流石に出席はさせられないので、これまたおじいちゃんの相手をして貰っている。

 流石に先王陛下の現在の体調だと、結婚式の儀式に直接参加は難しい、という判定になりましてね……


 あたしは当然ながら司会役、というか神官枠の仕事を振られているので、がっつり最初から最後まで参加だ。新郎新婦の目の前に立つという意味では特等席だね!


 なお、どこから話を聞きつけてきたのか、サクシュカさんがフレオネールさんのお式の時に使った衣装のグレードアップ版を仕立てて送り付けてきた。

 いや待って、今回の衣装、蜘蛛絹なうえに、刺繍と装飾が凄くて、これ下手すると花嫁さん霞むんじゃ?!


 流石にそんなことはなかった。リミナリス殿下のお衣装もなかなか大変な事になっててね!


 この世界のウェディングドレスは、概念こそ異世界からあれこれ持ち込まれたけど、王侯貴族は基本的に白以外の色だ。

 というのも、この世界の大半の国の上流階級では、白ベースの衣装は上級神官以上がいる場所で着るものではない、という暗黙の了解があるのね。

 平民は下級神官くらいまでしか頻繁に接触しないのが普通なので、そこまで気にしないけど。


 例外はオラルディ国で、あの国は王の色が白、神官の色が下っ端が薄い灰色、上に行くほど濃い色合いで色の方もカラフルだったりする。


 これがハルマナート国だと、神殿がないからその辺は完全フリーで、着る人の色合いを選ばないという事で、異世界式の白ドレスが一番人気になるんだけど、他国からの招待客が多い王族の結婚では、そこは配慮してやっぱり色物を着るらしい。

 但し、新婦の衣装のヴェールとトレーン、そして長い手袋だけは、絶対に白だ。これは王族でも平民でも変わらない。

 やっぱり結婚式っていうのはこの世界でも特別、なんだろうね。


 話は戻って試着時に拝見したリミナリス殿下の衣装だ。

 濃い目の藤色から淡いブルーグレイに、そして腰の下から徐々に裾に向けて濃い、鮮やかな瑠璃色にグラデーションしていくマーメイドスタイルの艶やかかつシンプルなドレスに、白いレースの長手袋。

 その上に淡いピンクに刺繍と宝石を散りばめた、これも総レースのハイネックカラー、これは肩先までレースが覆う、半ばケープに近いサイズの物を、大きな黄玉と、色の濃い少し小ぶりな藍玉の付いたブローチで留めて着用している。

 このブローチは夫君になるグランデール陛下の髪と瞳の色を表しているそうな。カラーの背中側には長いタッセルが付いていて、位置ずれしないようになっている。

 腰から下はこれも裾に刺繍と宝石を縫い留めた、白と銀のチュールらしき生地を、複数枚重ねる事でふんわりとボリュームを出している。腰の方は古風な、垂れさがる金の飾りベルトで留めているみたい。


 リミナリス殿下、万人が認めるタイプの華やかな美女だからね、凄く似合っている。


 一方のグランデール陛下は相変わらずの軍服姿、まあ流石に今回は第一種礼装とかいう、最も格式の高い装いではあるけども。

 こちらも首元にはリミナリス殿下の瞳の色に近い、紫色の翡翠のブローチを着用している。

 このブローチ、実はカスミさんのコレクションの一つを、今回結婚のお祝いにしたいと言われたので、敢えてあたし名義で差し上げたものだ。


 あたし自身の御祝儀?

 ちょうどいい機会ですよねって事で、今回陛下が着用している礼装、これを新調して頂きました。蜘蛛絹だよ!今のこの国だと多分国宝!

 カル君には、本来それって国の予算でやる事なんだが?って言われたけど、そんな予算ないでしょ、あっても食料調達か土壌改良か福祉に使っちゃうでしょ、と言い返したら黙った。


 実はリミナリス殿下もアデライード様も、衣装や新規に作る宝飾品のデザインをハルマナート国に発注して来たので、双方に合わせる形で作りやすいからどうよ?とサクシュカさんに唆されたんですよね!

 因みに素材の方はフラマリア国は持ち込みで、ヘッセン国はお任せだったので、その分の生地はフラマリアから取り寄せたらしい。


 これはフラマリア国が最高級布素材の産地、つまりアルケニアさんの集落を抱えているから、ですね。染色もフラマリア国が強いんですよね、そっちの理由は知らないけど。

 デザインは不思議とハルマナート国の方が強いとされている。いやハルマナート国、王族自らトレンド作るかーって気質の国ではあるんだけど。


 それにしても、サーラメイア様の本業が宝飾品デザイナーだったのは今回初めて知ったよ!

 最初の年に貰ったビジューも全部彼女のデザインだって!フルオーダーだと物凄いお金が飛ぶ人だってよ……!龍の王族の稼ぎ頭、軍人勢じゃなくてサーラメイア様だったよ……!


 で、カスミさんのコレクションの石が引っ張り出されたのも、デザイン関連で瞳の色を入れてきた話があったから、じゃあ国王陛下の方も合わせるか、格の合う紫の石ってどれだろう?って話題から出てきたのです。


 ともあれ、この種のお祝いに関しては、現状のこの国では現物支給に限るかなってのもありまして。国の予算足らん分は例の財宝からちょっと寄付、追加しますから!


 一応司会役として薄謝は頂いているけど、結局持ち出しの方が多い形だ。

 いいのよ、今年も治癒師活動とかで収入はがっつりあって、しかもそこに財宝の分け前が入ってきちゃったお陰で、慈善減免活用必須状態だから……

 収入額が財宝のせいで更に桁が変わっちゃったから、減免フル活用でも完全免税は不可能だけどね!


 三人組はあたしと違って財宝以外の収入が庶民よりちょっとあるかも?程度だから、寄付とか慈善減免活用すればギリギリセーフになりそうだけど。



 さて、今回の式場は王宮の大広間だった場所だ。改装で地味になったけど、ここも壁面は漆喰で仕上げ直されていている。

 その際、何か不便があった部分を改善するために壁を新たに作った場所があるそうで、以前より狭くなっているのだという。

 それでも充分広いんだけどね。恐らく以前が王宮の規模に対して広すぎたのかもしれない。


 現在の広間には色とりどりの花が飾られているから、地味な雰囲気って事はない。

 これはハルマナート国からのお祝いの品だ。流石に元戦勝国なので、余り金銭的に派手な事はできないという言い訳と共に、ランディさんが輸送を請け負った品ね。


 披露宴が日を改めての別立てなせいで、他国に招待状を出していない事もあって、参列者はあまり多くない。

 そもそもサンファン国側で参列基準を満たせる人員が余りいないし、遠方の国へ嫁ぐ場合は、母国からの参列者も少なくなるのが基本だそうだ。

 サンファン側は秘書室が総出で人数を水増ししている。実質政府の中核なので、格的にもまあ問題ないよねって判定だそうだ。


 リミナリス殿下は、輿入れに当たって、そこそこの人数の随員を引き連れて来た。これは官僚経験者や学者、専任侍女などで、サンファン国の、絶望的に足りない人手を補うものだ。

 今回は顔合わせも兼ねて、彼らも参列している。式が終わったらそのまま食事会になるのです。


 まあ逆にいえば、それ以外の参列者はいないのです。予算的にも大人数は呼べないからしょうがないのだ。


 ……って思ってたのに、なんかヘッセン国とオラルディ国から外交官が二人ずつ来ていた。

 ヘッセンは判る、判るんだけどオラルディ国、なんでー?

庶民に白が流行ってる理由が書いてても予想外だった。

あと流石に国王陛下の結婚式の日は記念日扱いで祝日ですね。

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