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486.今度のおじいちゃんは元王様?

偉かったんですよ?

 さて、もう収穫期も終わったであろう遥か南東の村のことは、一旦置いておくと決めたあたし達です。

 うん、流石に今の時期に慌てて出向くのも、こちらの用事が終わってから出向くのも、大差ないのよね、いろんな意味で。


 そんな感じで、翌日はまた王女様二人とエルフっ子達、それにいつも通りカスミさん、マルジンさん、そして今回はサーシャちゃんも付いて来て、朝食と野営の片づけを終えて出発しようとしていたグレンマール陛下御一行の元へ、アポなし訪問です!


 そう、子供たち以外の面子も翌日も行きます、って、言うの忘れてたんですよね。


「お邪魔しまーす。二人増えたけど気にしないで親交を深めてください!」

 王様相手にそう宣言したら、胡乱な目で見られましたが気にしたら負けです!


「まさか、王都に着くまで毎日……?」

 女性二人ににっこり微笑まれたグレンマール陛下が、ややおののいている。どうも昨日の事案は、彼自身にとっては反省一択だったようで、やや寝不足の顔をしておられる。


「流石にそれはないです。今日だけですね。子供たちの方はもう一回くらいはお邪魔するかもしれませんが、それも流石に明日ではない方が良さそうかなとは思ってます」

 そっちもできれば、王都に着いてからがいいんじゃないかな、とは思っている。流石に移動している集団に転移で追いつくの、面倒くさいらしいのよ。

 今日はタイセイ君がまだこっち側にいるので、彼をサーチすることで転移先を指定できたんだそうだけど。


「そうだな、恐らく転移の目標にされているボクも、今日で一旦帰る心づもりだから、次回はせめて君たちの都に帰還して、落ち着いてからの方がいいんだろう」

 えー。とあたしの言葉に秒で不満を顔に出したエルフっ子達を諭すように、タイセイ君が補足してくれる。


「よく判ったな。小娘の入れ知恵か?」

 ランディさんが軽く首を傾げてそう質問している。このタイセイ君、なんか微妙に謎が多いんだよなあ。存在自体が特殊なせいもあるけど。


「いや、転移魔法の目印にされているのは、なんとなく察知できるのだ。ボクに転移魔法は使えないが、空間属性自体は持っているせいだろう」

「俺もそうだよ、特にメリットもデメリットもないからあんま意識してなかったけど」

 タイセイ君の答えに、サーシャちゃんも同意する。


「ほう、そんなことになっているのか。地元民やそこの巫女などは、そういう認識自体できていなさそうだが」

「あたしは空間属性持ってないんだからそりゃ当然でしょう。地元の民も然りですね。龍の王族の皆なら判んないけど」

 さりげなくディスられた気がしないでもないけど、事実なので肯定しつつも突っ込み返す。

 だってそれは既知いまさらですから!


「おやおや、今日も来てくれたんだねえ。おじいちゃんとお話してくれるかい?」

 そこに、幻獣車から先王陛下の声がする。乗用の召喚獣と契約はしているけど、流石に年齢的に長時間の騎乗は厳しいんだとかで、先王陛下は今回は幻獣車での移動なんだそうだ。


「もちろん!そのために来たのよ!」

「本日もよろしくおねがいします」

 明るい顔で即答するシェミルちゃん、礼儀正しく挨拶するティスレ君。

 ふたりは早速幻獣車に招き入れられて、元王様のおじいちゃんとお話する構えだ。


 先王陛下が偉い人だったの自体は教えてあるけど、ふたりともその辺はあまり気にしてない様子なのよね。

 あたしはそれが悪い事だとは思わないし、先方も全く、微塵も気にしていない様子なので、特に注意はせず、そのままにしているのが現状だ。


 そんなふたりと入れ替わりに、先王陛下の侍従のおじさまが降りてきて、あたし達に一礼する。


 この人は王宮で先王陛下夫妻共々生き残っていた神官三人のうちの一人で、神殿自体がなくなった今は、残存資料の整理作業が終わったのを機に還俗して、先王陛下の侍従役を務めている。

 もう一人の元神官さんも還俗して、こちらは実家のお父さんが無事に家に残っていたので、今は帰郷し、家を継いで農業に励んでいるらしい。


「有難うございます。先王陛下におかれましても、年少ながら、気安く話せる友人ができたのが嬉しいらしく、昨日以降は、随分と機嫌がようございまして」

 そんな気難しいタイプには感じなかったけど、そうなんだ?


「父はここ暫く、少し体調を崩すことが増えていてね。

 当たり散らすようなことは決してされないのだが、流石に痛みや咳で、機嫌が良くないように見える事も多くなっていて。

 一応治癒師はついているのですが、初級では根本的な部分が手に負えないのだそうです」

 グレンマール陛下が小声で説明してくれる。あれ、思ったより状態良くないのか。


「あたしの技能だと……って今直接見えないから判んないですね……ごはん時にでも視ましょうか」

 先王陛下も長期間の呪詛とか食糧難とかで、結構身体に負担をかけていた人だからなあ。

 いや、呪詛の影響はあたしの魔法でほぼ消したはずだけども。


「そうですね、それがいいですわ。上級治癒師への依頼料は私が負担しましょう」

 グレンマール陛下と並走する為に、自前の召喚獣を呼び出していたリミナリス殿下がさらっと治癒師報酬を奢ると宣言する。彼女の騎獣は、緑色の羽根を持つ、走鳥よりスリムな嘴を持つ、これも飛ぶのは無理そう系の、足の太長い鳥類だ。


「それは宜しいですね!わたくしも、支援いたしましょう」

 アデライード様も召喚獣に騎乗している。こちらは白を基調として、所々に煌めく緑色の鱗や羽根を交えた華麗な色合いの羽毛竜だ。思ったより乗り物がアグレッシブですね姫君がた?


 あたしは相変わらず乗れる子とは契約していないので、ランディさんの呼んだディアトリマさんにタンデムです。


(おねーさん、おっひっさっしぶりでーす!二度あることは三度め!のご縁で契約しなーい?)

 え?いいの?君、随分あっけらかんとした性格だから気になってはいたんだけど。


「ふむ、ディアトリマなら其方でも一人で乗れん事もないし、こやつの性格と能力は我が保証できる。悪い選択ではないな。己が載せること叶わぬのだから、天馬も拗ねたりはせんだろうし」

 契約召喚獣同士でも、職務が被るとたまに拗ねる子とかいるらしい。


(おっけーおっけー、ぼくはフライステップ!今度もふもふしてねー!)

 するりと契約の繋がりが生まれる。って上級じゃんか君!!!


「また呼べない子……っていうか、ディアトリマ、天馬より強いんですか……」

 天馬のグリッター君、中級だから呼び出せるんですよねえ……ああ、またいつかリストばかりが増える……


「え?其方まだ上級に至っていなかったのか。そろそろだと思っていたのだが」

「プラスが増えました……」

 驚いた顔のランディさんに、じっとりめの声音で答える。

 いやだって、最近ジャッキーとケラエノーさん以外を呼び出す用事があんまりないんですよ!


 っていうか、中級から上級に上がるのって、呼び出し回数だけじゃないよね?

 それだったらとっくに上級に上がれる程度には、ケラエノーさんのことは呼んでるもの、あたし。


「……さては、熱帯鳥パエトーンばかり呼んでおるな?

 中級以降の召喚術は、呼び出し回数だけではなく、呼び出し種類の多さも必要なのだ。天敵を失った天馬め辺り、恐らく暇しておろうから、たまには呼んでやることだな」

 そしてランディさんは容赦ないツッコミと、貴重なアドバイスをくれた。

 そっか、なんとなくそんな気はしてたけど、やっぱり満遍なく呼ばないとだめなんだね……


「で、実際ディアトリマって強いのか?」

 こちらは平然と、走り出した騎乗勢に駆け足でついてくるサーシャちゃん。息切れどころか、その呼吸は乱れてもいない。


「むしろ今生き残っている天馬が例外的に弱いのだ。本来ならあのリーダー程度の能力を持つものが主体の種族だったのだよ。

 強さを過信して天敵であるヒポグリフに単身挑んで落ちた阿呆が多くてな、あの種族は……慎重派だけが残ったせいで、種族としては弱体化したという訳だ」

 そしてランディさんによる容赦ない天馬解説。予想以上に脳筋だったのか、あの子達……


 なお、ディアトリマ単体で薙ぎ払い鹿(キリングディア)の群れが余裕、らしいので、確かに彼ら、強いらしい。っつか薙ぎ払い鹿(キリングディア)、群れるレベルで沸く事あるのか。意外とやばいな?

 こないだ狩りまくった首狩り兎(リーピングヘア)が、薙ぎ払い鹿(キリングディア)には群れても勝てない感じなんだってよ?


 そんな訳で、せっかく騎乗できる子との契約をゲットしたけど、今回もタンデム継続です。たはは。

やっと主人公がまともに騎乗できる子と契約したのにクラスの壁ぇ!

なおキリングディア程度までだと魔獣肉うめー!たけー!で人や狼に頑張って狩られるのでよほどでかい群れになるまで放置されないと危険視までは実はされていない。単体の戦闘力は高いんだけどねえ。

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