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402.既知との遭遇?

いやほら海神様が報告するって約束しちゃってたからさあ<未知じゃない

 定刻通りに乗合幻獣車で到着したタブリサの港は、随分と賑やかだった。

 いや、賑やかというか、変にざわついている?この時間は朝市や朝競りはもう終わっていて、比較的静かな時間帯のはずなんだけどな。


「いやに騒がしいな。何か異変でもあった……いや、そういう雰囲気とも別だな?」

 ランディさんもあまり見ない様相だったようで、地味に首をかしげている。


「おお、皆様も到着されましたか。ちと騒がしくなっておりますが、なんでも変わった生き物、恐らく聖獣様らしき方が港に現れたそうですよ」

 こちらは流石に乗合など使わず、貸し切り幻獣車でさっくり先に到着していたレガリアーナの宰相閣下とその部下たちが、あたし達を出迎えてくれる体になる。実際のところ、我々も貸し切りで行くって話はあったんだけど、何故か全員が普通の乗合でいいです、って言っちゃったんだよね。なんでだろね。あたしは皆とのんびり移動したかったから乗合乗り継ぎでいいか、慣れてるし、くらいの気持ちだったんだけど。


「ほう?見慣れぬ聖獣、か。こちらの用事が済んだら確認しにいくとするか」

 超級召喚師であるランディさんは当然のように興味を示したけど、まずは本来の用事を先に片付ける方を選んだ。流石に大人の対応ですね!


 合流したレガリアーナ国一行と連れ立って、港の一角に係留された船団に近付く。これは軍船ではなく、貨客船だそうだ。そうね、冬のあの騒動の後だから、いかな高速であろうとも、軍船で持ってくるって訳には行かないというのは判る。今回はハルマナート国領海の手前までは軍船が護衛してきたけど、軍船だけそこで待機しているそうだ。


「……ん?」

 三隻編成の船団(全てに荷物を積んでいる訳じゃなく、国の面子的なものもあってこの数になったらしい)の全景が視界に入った辺りで、何故かサーシャちゃんが眉を寄せて立ち止まる。


「どうし……ん?なんだこれ?フレンド依頼通知?ネトゲ系機能死んでたんじゃ?」

 続いてカナデ君も同様に立ち止まって不思議そうな顔に。フレンド依頼通知?確か君たちの使ってる今のUIからは、オンゲ御用達要素の通信系は使えるはずもないからオミットされてるって、あたしも聞いた覚えがあるわよ?


「新規アクセス……あるはずねえだろ、いや、そうじゃないな、事前の情報自体はあったんだ、予測はして然るべき、か……タイセイ!どこにいる?取りあえず姿くらい見せろ!」

 暫く考えていたサーシャちゃんが、唐突にそう叫ぶ。あ、そうか、聖獣化したタイセイ君、もうここまで辿り着いたのか。


《随分と早いですねえ、遊泳速度特化タイプなのでしょうか》

 かもしれないわね。海中にそれらしき気配がある……ってあれ?気のせいか、知ってる気配のような気がしないでもないんだけど、なんでだろう?


【くっ、接近段階でばれただと……まあいい、久しぶりだなディギー、新しいボクを見てせいぜい驚くがいいさ!】

 そんな発話と共に、ざばんっと派手な水音、凪いでいた水面から勢いよくジャンプで飛び出してきたのは……


「……ぺん、ぎん……?」

「まあ、コウテイペンギンですね。ヒナなら可愛いんでしょうけど」

「……は?お前またなんでよりにもよってペンギンとか、イロモノが過ぎるぞ?」

 三人組がぽかんとした顔になりながらも、それぞれに勝手な感想を述べている。


 海からジャンプで飛び出して、でん!と腹ばいで着地し、ゆったりと落ち着いた様子で、だけど意外な程素早く立ち上がったのは、あたしの目から見ても、完全にコウテイペンギンだ。

 うん、同じ見た目の種が、あたしの世界にも多分いた。鳥類とはあんまり思えない見事な直立姿勢、翼ならぬフリッパー、黒い頭と濃灰色の背中、白いお腹、オレンジから黄色にグラデーションするような頬と胸元と下嘴の差し色、ああでもこの子は足の色もオレンジね。

 ただ、あたしの記憶もしくはあたしの世界での記述の基準に比べて、多分でっかい。サーシャちゃんがやや見上げるサイズになってるから、本来のそれより、二割増しくらい背が高い気がするな?


「あたしの知識でもこれはペンギンね……?なんか、気のせいでなければでかいけど」

 ランディさんが初めて見るらしき鳥類と三人組とを見比べてから無言であたしを見たので、一応断定しておく。


「なるほど、これがペンギン……以前教えられた知識の通りなら、現生最大種、というやつだったろうかね」

 どうにか自称勇者様から得た知識と現物を合致させたらしく、ランディさんがしきりと頷いている。


「ああ、ぶっちゃけそれより大分でかいけどな。ホンモノなら流石に俺より小さい筈だ」

 サーシャちゃんからも、やっぱりでかいと回答がある。デスヨネー。

 サーシャちゃん達の世界とあたしの元世界、割と似たとこ多いのよね、理由が謎、いや多分これあれだ、大元の世界設定のコピペ元がサーシャちゃん達の元の世界だったとかそんなんかも。共通点が半端に多すぎるのよね。


【おのれ、反応が薄いッ……まあいい、ディギー、お前のとこのネットワークに正規に噛ませてくれ、中途半端に影響されていて、このままだと肝心の化身機能が使えない】

 あまり驚かれなかったのがやや不満らしいペンギンが、推定サーシャちゃんに向かって何やら要求している。どうやらUIネットワークに中途半端に引っかかった状態でこの世界に漂着した為に、本来ならできる事ができない状態、であるらしい。


「えー?お前性格がめんどくせえからなあ、あとディギーってのは、あくまでもアバターネームの、しかも略称だ、俺の本名はサーシャな。あ、スペルはイス〇ンダルから来た方でもなければキリル文字で書く方でもねえぞ」

 嫌そうな顔を隠しもせずにサーシャちゃんがそれでも律義に回答している。ところでスペルのその説明は何のことです??


「え、違うんだ?!」

 そこに何故かカナデ君が反応している。多分名前のスペルの話だろう。戸籍申請絡みの書類で見たことあるけど、あれでなんでサーシャって発音になるのか、あたしにはよく判らなかったけども。


【あれでサーシャって読むんだ……スペルは知ってたが読み方が判らなかった……】

 どうやらペンギンのタイセイ君もあたしと同じ感想を抱いたクチだったらしい。そんなところで親近感は要らなかった感。


「マイナーランゲージの宿命か……まあだが状態は把握した、世界の崩壊時に近くにいたせいでお前を巻き込んだんだなこれ。幸か不幸か、ひっかけたのはお前ひとりのようだが……って、これ、咄嗟にオミットした機能の部分がまるっとお前に押し付けられてんのか……ネットワーク化はしょうがないからやるけど、修正と機能のすり合わせに時間がかかる、明日まで待て」

「んー?ああ、これか。これならオレの直下に付けとけばなんとかなるんじゃね?」

 サーシャちゃんが難しい顔で述べたところで、アンダル氏からの謎の提案が入る。


「いやどうせならUIは揃えた方がって、ああ!転生かましてこの世界の身体持ってるからコンソールとか使えないのか!……そうだな、お前さんの言う通りだ、一旦アンダルから直列直下に配置、こうかな?」

「ああ。あとはこっちで調整する。秘法とかをカットオフ、じゃ勿体ないからリソース変換して検索鑑定系と収納拡張辺りをパッチしてやればいいか」

 どうやら他人には見えないコンソールパネルか何かを出しているらしく、中空を睨みながらサーシャちゃんが唸り、アンダル氏は腕組みしながら、これも何か弄っているらしい。


【例の秘法使おうとしたら、なんかこの世界に穴が空くとヤバイからってこの世界式の転生をさせられたんだよ。おかげで七年かそこら、自分でコントロールできない生き物に押し込まれる羽目になったし。最近だとなんかでかい蛇みたいなのに頭どつかれたりしてさあ】

 ん?でかい蛇?頭?って、あ。


「えぇ……去年東航路で船にぶつかったワイマヌ、君だったの……?」

 なるほど道理で知ってる気配な気がするはずだ、初対面じゃなかったよ!!


「む?……?海竜の爺に捕獲されていたアレか……!言われてみれば、この気配、微かにだが記憶にあるな、其方そなたよく覚えておったな……?」

 ランディさんの方も、辛うじて記憶の片隅には残っていたようで、そう言いながらあたしを見てくる。


「記憶力だけは無駄に自信ありますからね」

 とはいえ記憶枠だったから、思い出すのにはそこそこ時間がかかったし、正直あれがそうだったからといって、多分、今後に何か影響がある訳でもないんだけどね。

まさかこんな早くPOPするとは思ってなかった推定ギャグ担当、タイセイ君。

実はサーシャの名前はゲール語なのでSaoirseと綴ります。

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やっぱペンギンだったかw
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