表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/628

170.彼らがチート化した理由?

おっさんくさい物言いの少女の正体とは?

 さてそろそろ寝ようかな、という時間になって、サーシャちゃんがやってきた。


「ちっと聞きたいことがあるんだが、今いいか?」

 身体的には十二歳なんだからはよ寝なさい、と言いたいところだけど、割とガチめに真剣な気配なので、はいはい、と寝室に入れる。


「ランディさんじゃなくあたしに聞きたいこと、って何かしら?」

 まあランディさんはこの時間にはいつも居ないけど。どうも、どこか適当な場所でコテージに引き籠って研究関連の書き物をしてるっぽいんだよね。あのコテージ、そんな使い方の為に持ち歩いてたのかー、と、気付いた時には感心したというか、呆れたというか。

 気付いたっていうか、サイ君が無駄話の途中でポロリしたんですけどね。


「ああ、君、この世界の人間じゃない上に、巫女、なんだろう?なんか在り方がダブってる感じもするけど……俺があの二人と『違う』のに、気付いてるんだろうと思って」

 異世界人なのは話したけど、巫女の話は……ああ、称号にツッコミ入れた時に、したわね。


「そうねえ、あの二人は所謂チート持ちではあるけど、本質的には普通の人間よね、きっと。で、君はどうも違うなー、程度には思ってるけど、その程度ね。取りあえず、君のナカノヒトって、十二歳じゃないよねえ?」

 別にだからといって何が変わるわけでもないけどね。この子が何者かなんてことまでは、特に考慮とかしていないし。この世界に落ちてきた時点で、多分、レイクさんのように変質してるんだと思うのよ。なので、そこは今考えても、もうしょうがないのよね、きっと。


「そこから攻めるのかあ。まあその通りだけど。で、あいつらにチート盛ったのも、俺だと言ったら?」

 サーシャちゃんが、ちょいと凄みを効かせようとして、見事に失敗した感じのボーイッシュなかわいい声で返してくる。凄みたいのは判るけど、肉体年齢考えようねー。かわいいだけだぞー?


「個人的には英断だと思う、と言っておくわ。そうじゃないと、二人ともこの世界で生き残れなかったでしょうからね」

 そう応えたら、想定外、という顔をされた。なんでだ。


「そこで英断、って言われるのはマジで想定外だよ?理由とか、なんでそんな真似ができるかとか、興味ないんすかおねーさん?」

 サーシャちゃんの言葉に、微妙に元気がない。あれ、スカしすぎましたかね。

 とはいえ、ねえ。


「何故できたのかにはあんまり興味がない、のは確かね。多分この世界に落ちた段階で変質して、今はそう言うことはできないだろうと推測しているからだけれど」

 レイクさんがそうだったように、恐らく、この世界に降り立った段階で、色んな要素が欠落してるんじゃないかな。


「……うわあ、御明察。まあ、主な原因はこの世界に降りたからじゃなく、脱出時にあいつらとこの身体それぞれにゲームのプレイデータっていうチートを無理やり盛ったせいだけどね」

 なんか絶対そうしないとヤバいって思ったんだけど、正解だったんだなあ、と、サーシャちゃんはぼやく。


「あいつらだけなんだよ、なんも先入観なしの、ただのディッギとして遊んでくれたの。

 だから、そう、世界の崩壊が発生したのが、偶然ゲーム中で、しかもふたりとパーティ組んでる時で、これなら俺に関連付けられてることにして、連れて逃げられる、と思ったら、我慢できなかった。

 ……壊れる世界にあいつらを置いてくなんて、できなかった」

 サーシャちゃんの、今にも泣き出しそうな声、でも表情は変わらず、平坦な雰囲気で。


「……俺、間違って、ないよな?あいつらを助けたつもりが、バラバラに、しかも、前からここに住んでるねーちゃんには悪いけど、こんな世界、に来ちゃってさ。カナデなんて、大怪我した跡があったし……」

 ああ、この子の不安は、そこか。そうよね、第三者、もしくは連れてこられた勢からすれば、一見、いきなり元の世界から拉致ったようにも、見えなくはないよね。

 しかも行先がどことも知れぬ異世界だし、はぐれちゃうし、か。無事再会できたことで、不安がぶりかえしちゃったのかな。

 あとどうでもいいけど、あたしも、この世界に愛着は特にないぞ、まだ半年弱しか住んでないし、創世神が割と(ピー!)だし!ってなんだこのピーって。


《流石にその例えはお下品が過ぎましてよ》

 わあシエラにアウト判定食らった!思考にピー音とか何かと思ったわ!すんません!


「……大丈夫よ。確かにカナデ君は、大怪我をしたしカジュアルに行き倒れてたりしたけど、それでも本来の彼より丈夫になってた身体のお陰で、生きて、今ちゃんと再会できたんでしょう?ワカバちゃんも、そのデータのお陰で、無事に真龍の人に保護して貰えたのよ。

 そして、再会を、友達皆で、心から、喜んだんでしょう?

 ――……なら、君のしたことは、間違ってないのよ」

 サーシャちゃんの頭を軽く撫でて、そう答える。あたしが思ってるのが半分、巫女さん技能がなんか余計な事を付け加えそうになってるの半分の、自分でも凄く微妙な感じの言葉だ。自分で言ってて照れくさいんですがコレ!?


「……うん」

 ぼそり、と小さな返事。精神は体に引っ張られることもあるというけど、今のこの子は、普通に子供だな、と感じる。


「あとぶっちゃけとくと、この世界が色んな意味で割とヤバめなのは否定できないから、皆で破局回避頑張ろうねー」

 そして返事に油断してたら、巫女さん技能がとうとう要らん事を言いましたハイ。この子らを巻き込めと申すか!?

 無言で目を丸くしてあたしを二度見するサーシャちゃん。ええ、気持ちは判ります。


「……え?破局予定あんの?なんで?いつ?」

 一気に真顔になって矢継ぎ早に質問してくるサーシャちゃん。ハハハ、流石に気になりますよね!


「いつ、に関してはどんなに早くても五十年以上後のはず?あたしの寿命とどっこいとかいう話だったし。なんで、の方は、ここの創世神がズボラすぎて、自分の本体をロストしたのが主原因ですね……」

 取りあえず今話しておくのはこのあたりくらいでいいだろう。どうせ世界に関しては、今すぐ何かを即やらないと破滅する、という話じゃないしねー。


「うわあ、本体ロストしてなお存在遺してるって、控えめに言って屑の気配……成程そりゃヤバめだわ……で、おねーさんの言い方だと、即何か行動しなきゃいけない訳じゃないな?」

 うん、流石に話が早いな!理解ちょっぱやなのは何よりです。


「そういうことね。現状準備の準備の準備中、みたいな感じで、即何かしなきゃ!って訳じゃないから、当面は三人でこの世界に慣れて、生活できるようになってくれれば、それでいいと思うわ」

 あとはそうねえ、いずれは連絡手段をなんとかしたほうがいいかなー、多分この三人、全員召喚術使えない気がするんですよねー。恐らく原因はこの世界の外部に居た段階でのチートの無茶盛りで、この世界特有の要素としての召喚術が入る隙間がない、そんな感じ。診断系技能と直感で判定してるけど、そこまで間違っちゃいないはず、多分。


「おっけー、慌てず騒がず生活基盤を確立するトコから、把握!……で、当面の支援はして貰えるのかな?」

 今度は一転してあざとかわいい笑顔でそう聞いてくるサーシャちゃん。


「それは当然。今だって、この世界の基本を教えてるところでしょう?あたしは近日中にハルマナート国に帰るけど、その時に一緒に来ても問題ないわよ」

 ……たぶん。まあ書類的にはエルフっ子たちのおまけに三人異世界人がついてきました、ってなりそうな気もするけど、そこは誤差ってやつだから、きっと問題ない。


「そうかー、なんかカナデがやけにあのちっこいエルフっ子達を保護したがってるから、あの子らも?」

 なんでそうなったかは、まだ聞いてないけど、とサーシャちゃんが首を傾げる。


「そうね、実はカナデ君を最初に拾って保護してたのが、あの子達のいた村だったんだけど、諸事情で難民化しててね。

 まあその辺も必要なら後で説明するわ。そろそろ結構いい時間だし、続きはまた今度のほうがいいかしらね」

 ええ、そろそろ寝ないと子供は明日起きられなくなるかもしれない。あたしは平気だけど、多分。


「あー、言われたら……気が抜けたかな……なんかすげえ眠い……一緒に寝ていい……?」

 いきなり電池でも切れたみたいにふにゃんと瞼が半分落ちるサーシャちゃん。おいこら君……まあいいか、中身がなんだろうと、今は確実に十二歳の女の子だし……


《セーフ、なんでしょうかねえ……?いやまあ、他意はなさそうですか》

 シエラが一応セーフ判定したので、一緒に寝たよ。


 ……子供って体温高いですね……暑かった……

といいつつ明確に出てはこないという。

あと主人公、君最低でもあと百年って前にその話題の時に……ああそこまで明言してなかった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ