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テロリスト or テストリスト

特報です。

昨夜にかけて、右国と左国が同時に独裁者からの解放を遂げました。

今後、冷戦がおさまる予定です。復活しつつあります。


髭面の男は、テレビの電源を消す。

そして、髭の下で微笑を浮かべた。

「やっぱり、つるぎを使って、

つるきを使って、やつにあの情報を

わたしたのは、正解だったな。

おかげで、SIROとKUROの支配力がゆるんだ。

天使と悪魔の戦争が終わる!

「にせものの俺」は喜んだ。


3日目

玄関のチャイムの音で目が覚めた。

デジタル時計は、朝の9時を示していた。

俺は、机の上にある100円玉に呼びかけた。

「円々姫、出てくれないか」

「私はいやです ぐー」

今日は平日だと言うのに、学校は休みだ。

昨日の爆発事故がテロだと判断され、

学校が厳重警戒されている。

まあ、そこらの生徒が、体育祭・文化祭はやら

せろと文句は言っているが。

「面倒くさいな。借りは、してもらう。」

俺は扉を開けた。そこには、俺らのボス、ひつじがいた。

明るい朝に暗いひつじの仮面とは、シュールだ。

「いや、カンニング 君」

「それが、俺の本名か?」

「そうですよね」

「正解だ」


昨夜の百金で、俺の体は6割が化け物で

4割が人間になったらしい。

俺を本名で呼ぶやつは、ほぼいない。

「カンニング様、ひつじが来たのですか」

いつの間にか、女性の姿の円々姫が俺の横にいた。

こんなくそ人間と価値ある金にひつじはどんな用だ。

「お前たち、テストを受ける気はないか」

「は?」なんで、こんな朝からテスト。

今日、会議室に匿名でこんな手紙が届いた。


「ーーー今日の午前11時、学校でお前たちがほしそうな情報をやろう。

代金としてテストを受けてもらう。

ーーやってくれるな」

神は、どれだけ、俺らの学校が好きなのだ。

「やっていいが、俺が、いつの間にか戦争に巻き込まれているのだか」

「良く分かったな」


「そういえば、0点男はどこにいる?」

円々姫がひつじに尋ねた。

たしかに、ようきはどこに?

「0点男は、休暇中だ」

ーーえ、ずる

「だから、今日のバディーは私だ。」

ーーえ、まじ

「もちろん、お前たちには、休みはない」

・ ・ ・

誰もいない学校 屋根が崩壊した学校

真夏の光が悲しく鉄骨を照らす学校

そんな学校で唯一生き残った2階の

「1-A」の教室の前に俺たちは、いた。

俺は着なれないスーツのネクタイをしめる。

「なんで、スーツ」

「今回は、フォーマルな仕事だからだ」

「俺の教室だぞ」

「カンニング様、似合ってますよ」

そんなことを言う円々姫は、スーツのおかげで

額の100が輝いて見える。

数分後、俺らを呼ぶ声が扉の向こうから聞こえた。

「どうぞ」

声が低い。全く明るさがない。

俺は、それを合図に扉を開けた。

先に視界に入ったのは、黒いマントに身を

包んだ子供たちだった。子供にしては、目に

色はなく、人間にしては感情を感じない。

真ん中にいるのは女子か?髪が長いのと

顔で判断した。

勘が鋭い俺だからこそ分かった。こいつらは、

死神だ。

円々姫もひつじも気付いているのだろう。少し

あせっている。

「お前らが手紙の主か」


ひつじが尋ねた。

口を開いたのは、あの女の子だった。

「そうだ」

女の声だが、子供じゃない。すべてを下に

見るようわからんねがな声だ。

「我々はSIROやKUROと違い、戦争を好まないテロ組織である」

SIROとKURO、昨夜の俺たちの行動を知っているようだ。

「その目的は この争いの要因の一つである

セ国の大統領を消すことだ」

その後、沈黙が流れた。

「え、これで終わりか」

もちろん、これを言ったのは、俺だ。たしかに、

組織の情報は重要だ。しかし、俺はこんな

情報を求めていない。テストを受ける気がしない。

「ここからが、お前のことだ」

「え、俺」

「その大統領の息子が お前らしいな」

「え」

「DNA検査結果、お前は大統領の親子だった」

俺の父が、セ国の大統領だと。

たしかに、テレビで大統領のことを見て、へそ

だなと親近感を感じたことはある。

しかし、その間に血の赤い糸でつながって

いたとは。あの記憶がフラッシュバックする。

俺の母を殺した父が身近にいる。

すぐそばに

「大統領をむやみに殺すのは良くないと

思い、そこでお前がテストで悪い点を取ったこ

とを理由に殺そうと思うのだ。

テストを受けてくれるな。」

俺の父を殺してくれる。

「ふっ、ふふふふふ、はっはははッ!」

笑えてくる。こんなくそな欲望がかなうなんて。



笑い涙が流れた俺の目は、殺意と

狂意で黒くなっていった。

ーーー0点を取ってやる!

そんな俺の耳に声が流れた。

「カンニング様、自分の手でしとめた

方が、爽快を感じますよ」

ずっと気付かなかった。円々姫が右耳に

迫っていたことを。

次にひつじの声が左から流れた。

「復讐相手を子供に奪われていいのか」

こいつらの言う通りかもしれない。

冷静さを失っていた。

俺は、死神の女の子に言う。

「100点を取ってやる!」

父は、俺が殺す。

父の死をかけたテストが、今始まる。




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