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子供は、ばか

13時25分、炎天下、全生徒、全職員、全熱気がここ運動場に集まっていた。

俺を含める体育派男子とと文化派男子の間に、暑苦しい火花が散る。その周りを体育派と文化派の全女子が見守る。

そんな暑々の中、体育派と文化派、それぞれに一段と見立つ存在がいた。生徒が担ぐおみこしのような物の上に立つ、自分らの支持行事が書かれた帽子をかぶる人物、行事代表委員長。

俺らの体育派代表委員長、筋肉、さわやか委長、3年リク先輩の宣言。

「俺らは今年も体育祭という帽子を守り文化祭という帽子を引っこ抜く!」

次、文化派代表委員長、髪染めソロギター男3年 ナイ先輩の宣言。

「僕らは今年こそ体育祭という帽子を取り優先権を獲得してみせる!」

帽子、帽子、帽子 その単語こそが優先権獲得の方法を示していた。騎馬戦。俺ら、下っ端生徒が敵の代表委員長ーー俺らはナイの帽子を取ったら優先権ゲット! ただし、下っ端生徒は、自らの足で敵に向かい、中心ぐらいで敵同士のぶつかり合いが始まる。

俺はとなりのようきとポケットの中の円々姫に話しかける。

「13時29分30秒、まだ情報交換場所は、分からないのか」

「もちろん、分かりませんよ、先輩」

「くそどもをバイバイさせましょ、カンニング様」

13時30分。 始まる。

審判の人が朝礼台の上に立つ。もちろん、生徒だ。

「今から、体育祭・文化祭優先権決定戦を開始する。ルールは、以下の通りである。

それではーー帽子を取ってこい!」

「おぉぉぉぉーーー!」

異声とともに、体育祭と文化祭が衝突する。

「おい、おい おい!」

俺の前にいたやつも、後ろにいたやつも、

一斉に敵にぶつかっていく。人間の本能を忘れた動物どもは、意欲のままに敵をなぐり飛ばし、けり倒し、頭突きをする。

「おりゃーー!」

「くらぇぇーーー!」

本能を忘れた猿というのは、文化派も同じだった。

猿と猿が中央でぶつかり、決定戦ではなく、ドロ沼戦だ。そんな戦いを、女子たちが歓喜,感嘆な声を、ギャー、ギャー、ワーワー、ア゛ーアーと叫んでいる。

数分ドロ沼戦が続き、リク先輩に転機が舞い降りた。

「突撃部隊前へ!」

本当に後ろがスポットライトに照らされたかと思った。

振り向くと、そこには ある男を前にした部隊が並んでいた。ある男は猿以下だった。

「ようき!お前、なんでそこに!」

「僕、リーダーだったこと忘れていました。いくぞ!」

ようきの叫びと同時に、部隊がこぶしをあげながら押し出る。 仲間を蹴散らし、中心に向かっている。

「この裏切り者!情報交換は、どうする! こうなったら、頼りはレイだ」

レイをはき出させれば、分かるはず。レイ、レイ、レイ!

見つけた時には、おそかった。

「なんで、レイまで部隊にいるんだよ!」

レイが部隊と一緒に走っていた。

ーーーーよし、考えよう。

なぜ、情報交換をこの時間にしたか。場所は。

全生徒、全職員、が今ここにいる。

学校は、ガラ空きだ。

「はぁ!」

見えた。校舎の4階の一番左奥の部屋にあかりが一つだけあった。そこは、さっき俺がいた「識員室」だ。

カンニングできたえた。観察力をなめるな。

俺は一番安全なリク先輩の場所にいく。

「おい、お前!戦いから逃げる気か!」

「逃げませよ、リク氏。殺す者が増えただけです」

俺は右ポケットから100円玉ーー円々姫を出す。

「やっとつかってくれますか!」

「ああ、つかってやるよ!」

俺は視線を人間の足へと移動する。一匹一匹の人間の足の行動を観察して分かった。

人間の足は単純だ。猿に化けた人間はもっと単純だ。

だから、人間は石なんかに転ぶんだよ。

左足を前に出し、体を横に向け、100円玉を右手の親指と人差し指に挟む。

プロフリスビー投げのポーズ(100円玉)

「何をするのですか!」

ーーー計画のじゃまなやつは、転倒させるのみ!

左ななめのポイントで、人間が右足を上げた。

左足がガラ空きだ。

俺は、体をひねる。親指と人差し指で、円々姫に回転をつける。

「人を転ばせる石となれ、円々姫!!」

「ーーーーッ!」

おりゃーと投げた円々姫は、ポイントの人間の左足に直撃した。

「ぎゃ!」

この声の主は、思っていたよりあった、足の肉の弾力にはじかれた円々姫か、それとも、 たった100円玉だけでバランスをくずした男か、俺には知る由もなかった。

くずした男は前の男にしがみつき立ち上がろうとするが倒れる。すると、倒れる男にしがみつけられた男は、また男にしがみつき倒れる。 男たちがある方向でドミノたおしのように倒れる。

一方、円々姫は、足にぶつかり、倒し、はじかれ、またぶつかるという行動を無造作にくり返す。

さすが、「意思」あり、「カ」あり、「変身ベルト」ありボーナスいっぱいの100円玉。そして、俺!

「これ、どういうことですか!」

まだ生き残っていた、ようきが叫ぶが後ろの人につかまれ倒れる。ざまあ見ろ。

円々姫もドミノたおしも走りを当まらない。

やつを倒すまでは。

一団体の女子のきゃーきゃーが一層高まる。

俺はやつを指差す。 そう、ナイ氏の帽子を。

「倒れろ、帽子!」

次の瞬間、めんどくさい意思を実感した。

円々姫は帽子に到達するどころか、急カーブをし、女子たちを蹴散らし、あの夜と同じ円々姫が俺につっこんできた。

「カンニング様ーーーッ!あなたの頭を飛ばす!」

ーーーこれは死ぬ!

100円玉が頭を飛ばす直前に、俺は頭を抱え、かがみ込んだ。 この選択は正しかったのか、100円玉は当たるどころか上昇した。

でも、この選択は間違っていた。

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁッーーー!」

なんだと、俺は振り向いた。そして、叫んだ。

「あ゛ぁぁ!」

とれた。とれてしまった。俺らの代表のリクの帽子が。

上昇した円々姫は、上昇したままリク氏の帽子

をとってしまった。リク氏は飛んでいく帽子に向かって体をそらしていたが、倒れた。

「円々姫!」

俺は落ちる100円玉をキャッチし、ジャンプし、そして投げた。

「俺はレイ氏の帽子をとりたいんだよ!」

数分後、俺はシャンパンからコルクせん抜いたときほどの英感を感じた。抜いたことはないが。

それでも、ストレート球100円玉は、レイ氏の帽子を飛ばした。次に、悲鳴というシャンパンがふき出した。

「ぎゃゃゃゃゃゃゃ!」

そして、リク氏と同じように倒れた。

レイ氏とリク氏は、白くなった。

ほぼ全員の人間が倒れたことで 今、校舎全部が見える。やっぱり、4階の一番左奥の部屋しか明りが付いていない。狙うのなら、そこしかない。

俺は着立し、転倒しているようきに叫ぶ。

「100円玉をあそこに送くれ!」

「あ、はい、先輩!」

ようきは、立ち上がり、レイ氏おみこしの後ろまで走り、円々姫の落下地点に足をおいた。そして、手を右ポケットにつっこみーーー銃を取り出した。

「僕の弾丸に運ばれなさい」

ようきは、4階の一番左奥の部屋に向かって撃つ。

100円玉は弾丸の位置を見据えて、金属

金属の固まりでつかむ。

円々姫を乗せた弾丸は、部屋へと送られた。

パリンという音がこの場に響く。

やっと我に返ったのか審判が宣言する。

「合点!」

叫び声も聞こえず 唯一2人のくそが立って、幕を閉じた。

俺は終了を宣言するように、ポケットに手を入れた。そして、手に何かがふれた

「あ、つるきのテスト、ここにつっこんでた」

俺はぐちゃぐちゃのテストを広げて、何かに気付く

「ん、裏に何か書いてある。

裏返すと、文字があった。

「・ ・ ・」

ーーこれは。

「つるき」

数秒後、4階の一番左奥の部屋が爆発した。

ぼろぼろの100円女が、笑顔で、ぐったりとしたつるきを抱えて、呆然とする俺の前に現れるのは、予想外だった。


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