100 × 100
「さらば、やつの家」
俺は、呆然と燃え続ける家を眺める。
学ランは、火の跡の楽になり、ぼろぼろになっている。
炎から逃げるので必死で、0点男と円々姫を見失った。
でも、こうやって破壊する建物を眺めていると、興奮が冷える。
まず、なんで、こんな俺のようなくそ人間が神の問題に手をつっこまないといけないんだ。
「あっ・」
俺の視界を、ある人影が通りすぎた。
それは、円々姫でも 無天男でもない。窓に映っていた人影 スパイの最だった。
俺には、スパイを追う気力は、残っていなかった。
スパイの体に抱きつく、もう一つの影を見るまでは
「0点男!」
0点男は、あいつの意図的にしがみついているらしかった。
その確証として、スパイは走りながら、虫けらをはらうように背中をぶんぶんと振っている。
しかし、そのぶんぶん祭は、次の上空からの影の登場で一度は止められた。
炎から現れた影は、軽やかに上空を跳び、着地する。
「円々姫!」
「スパイさん、逃げないでください」
言葉はていねいだが、その裏には、殺意が濃くうず回いていた。
炎とけむりが、俺たちを優しく、包みこんでいく。
だが、スパイは我に返ったのか、0点男を背中のまま 逃げた。
「待ってくださ~い」
円々姫は、逃げたスパイを追う。俺は、スパイを追う、円々姫を追う。
さすが、100円玉。
坂を猛スピードで転がるように、スパイとあいつ自身のきょりをどんどんと縮めていく。
しかし、楽な技術に身をまかせていた、くそ人間にとって
走るという活発的な運動は破滅だった。
俺が限界に達した時、車道が見えた。
信号が赤になったので、一時止まる。
これで、休けいができる。
俺の視界には、車、車、バイク、車、車、車、無天男にしかみつけられているスパイ、車、円々姫、車。
「おい、待て!あいつら、あほか!」
スパイは、車を何かの障害物たと勘違いでもしているのか、
車をジャングルジム級で登り、
けんけんぽなみでトラックに跳び 移る。
それを、円々姫が追いかける。だが、円々姫は
スパイとは違い、なんというか、美しかった。
通行人が少なく、人工的な光が目立つこの場所で
円々姫は暴力と美しさを合わせ、車の上で挑躍した。
時には、壊わす時もあったが。
スパイは、跳躍した後、地面に足はつけず、建物の
屋上に足をつけた。そして、駆けた。
円々姫も、続いて駆けた。
「俺、人間だぞ。」
信号が青になったので走り出す。
破壊された車どものことを知らないふりをしながら。
スパイは、スパイらしく屋根を駆け、円々姫はその後を追い、俺はくそ人間らしく地面をふらふらと走る。
ーーもう、無理だ
次の瞬間、陽気な声が上空から降った。
「由様〜!、いまこそ、変身する時です~」
夜だと言うのに汁をかく頭を手でぬぐいながら、
屋上を見る。そこには、陽気散乱な0点男がスパイにしがみつきなから、俺に手を振っていた。
俺は大声で言う。
「変身って、どういうことだ~ ッ!」
「知らなかったんですか。由様が人間だということを対処して知識の神が超人になれる100円玉をさずけたはずですが」
「は」
一瞬、転びそうになった。
待て、100円玉って、あいつか。俺は、スパイの後ろを走るあいつを見る。額に「100」と書かれた角生やし女を
「そうです!円々姫は、あなたの変身ベルトのようなものです」
あいつ、100円玉という価値しかないと思っていたが、変身ベルトという価値もあるのか。
今度は、円々姫に向けて、叫ぶ。
「変身ベルトーッ!俺のところに、来い!」
でも、次の言葉で俺は屈した。
「無理です」
「え」
「私とカンニング様をつなぐ、カンニングをしてやった高得点のテストがないと無理なのです。それに、私は・・・」
円々姫は、ひざを曲げ、屋根をけり、愉快そうに空を跳ぶ。
あいつの狙う的は、もう円々姫の視線の中に囚われていた。
円々姫は、夜空の下で、金属のように転生し、小さな円形になる。円形の表に、ある数字が浮かび上がる。
俺でも分かった。円々姫は、やっぱり、全だ。
「私は、スパイさんを食べたいです!」
「金ーーーーッ!」
円々姫は、天の神にバットでふられたのか、風を切り、
スパイに迫まる。円々姫の輪郭のぶれが、スパイの死を意味する。
ーーー待て、0点男を忘れるな!
しかし、金が肉を食いちぎる前に、金がーー
はき出した。
「え・」
きらきらと輝く泡ふくカエルが飛んでいくのは、
きっと俺のばか目が捉えた幻覚だろう。
でも、次の事故は、幻覚では、なかった。
円々姫が軌道を外れ、地面に向かって落下したのだ。
「うそだろ!」
きっと、あいつのことだ。地面に突撃しても、大丈夫じゃないのか。この時は、スパイを追いかけた方が無難ではないか。
どうする。俺!
でも、くそ人間にとって、この選択は簡単だった。
俺は、走り出す。
「由様、どこに行くんですか!」
そんな声が聞こえたが、俺は、無視する。そして、叫ぶ。
「金の方が、大事だ!」
俺はスパイとは反対方向に走る。
落下する宝に手を伸ばす。 それは、邪悪に輝いていた。
次の瞬間、俺の視界は真っ白になった。でも、俺の手には少しながら、重さを感じた。
ーーーやった!
と思ったつかの間、手の中の重さは、急激に増した。
それと同時に、視界は色を取り戻した。が今いる。
俺の状況を理解できなかった。
俺は、円々姫を手で抱えていた。
「なんで、女の姿になっているんだ!」
俺は、円々姫を放り投げる。
円々姫は、地面に着地し、
俺を見る。すべてを見透かしそうな黒さで。
そして、笑った。
「カンニング様、」
「あぁ」
「変身しましょ」
「は」
まぬけな声が出たのは、分かった。
でも、こんな空気の中で、こんなことを言うやつがいるか。
いや、こいつは金だった。
「でも、テストがないだろ」
「実は、あります」
円々姫がつき出してきたのは、一枚の紙だった。そこには、俺の名と100点という点数が記入されていた。
それに、日付けを見ると、俺がカンニングをし始めた頃の物だった。
「お前、これをどこで…」
「話は後です。手をつないでください」
「おおぉ…」
俺は、促されるまま、円々姫のもう片方の手を持つ。
人間的な温かさはなく、金属的な冷たさが体を走った。
それと同時に、俺の世界がゆがんだ感じがした。でも、
それは、一瞬だった。
いつの間にか、右手には、100円玉、左手には、テストという状況ができていた。
「カンニング様、頭上に向かって、コイントスしてください」
コイントスは、なぜか、得意だ。
俺は、100円玉を頭上に
向かって、コイントスをする。
「おぉ高い、 いや、そうしたら、テストを持ったまま腕を胸の前で交差して、言ってください。「百金」ひゃっきーんと」
俺は、腕を交差し、言う。
「百金!」
俺は、天から化け物に食われ、俺と化け物をテストという「欲」が結んでいた。俺を、夜とメテオが包んでいった。
ある一夜して、化け物が生まれた。ぼろぼろな学
ランを着た化け物は、手には、すべての銃を合成合体したかのような巨体武器が手として存在している。 金属音が化け物の頭から悲鳴のように聞こえる。
なぜなら、頭が巨大な100円玉だからだ。
100円玉化け物は一夜をかける。
「獲物ちゃん、見つけた」
まだ、屋上を走るスパイをやっと見つけた。0点男は、まだしがみついている。
ーー俺、どうしたんだろう。今、とても愉快だ。
頭が金属のように重いのも愉快だし、俺が円々姫の
一部になったみたいだ。
「ははは、やっほーッ!」
俺は建物の壁に沿って走り、スパイの後ろにつく。
すると、俺の脳裏に言葉が並ぶ。
『カンニング様 カンニングお願いします!』
俺は100という目をこらす。すると現れる、目の前の生物の点数。
「見えた、見えた!スパイさんの点数!」
-100。
それがスパイの背中から映像のように見える。
点数がどんな意味なのか分からないが、あほみたいに笑える。
だが、脳裏に並んだ言葉で真っ赤になった。
『カンニング様、その点数は0点男のものです』
「・・・ああ! 0点男、どけ!」
0点男が、俺の方を振り向く。
「由様が変身している!わぁ!」
力に限界がきたのか、0点男はスパイの背中から
はじきとばされ、落ちる寸前に屋根につかまった。
そんなやつを無視し、スピードを増そうとした俺に、スパイ
から甘ったるい突風が襲ってきた。
「うわ、なんだ、この甘ったるさは!」
おかしの甘さより甘ったるく 甘ったるい風にたえながら
その甘ったるい風の中、俺は見てしまった。スパイの点数を
♡×100
「うげー、こいつ、恋しているのか、プププププ」
恋しているならば、点数が見えてしまったならば、仕方ない。
お前のその甘ったるい点数、俺がカンニングしてやる。
俺は点数に向けて手の銃を構える。巨大銃は 血のように赤く光り、銃口に集中する。
「さらば、恋する点数」
俺は弾丸を放つ。弾丸は赤い線を描き、一直線に点数をつらぬいた。
スパイは、何者かに喰いつけられたかのように、バタリと倒れた。
「顔を見せろ!」
俺は、倒れているスパイの顔を銃で上げる。
そして、スパイの顔が明らかになった頃、俺は叫んでいた。
「赤井レイ!なんて、お前がここに!」
レイは、ぐちゃぐちゃに泣いていた。あの天才が泣くなんて
でも、俺には関係ない。俺は、100でにらむ。
「なんで、あんな真似ごとをしたんだ。誰にやとわれた!」
「俺は愛する人のためにやったまでだ!」
突如、上空からプロペラ音が鳴り響いた。
俺が空を見上げるとそこには、ヘリコプターが飛んでいた。そして、気がついた。運転席から伸びる、俺に向けられたロケット銃があることに。
「やばい!」
気付いたら、レイを背後にして、逃げていた。
後ろから連続しながら爆発音が響きながら、由様ーーーッ!
と言った。
0点男をにぎりながら、逃げた。
振り向いた時には、けむりと建物の残骸以外、何もなかった。
・・・
俺と0点男は、この場で別れた。
むなしい現実を背後に、俺は頭の100円玉を脱ぐ。。
俺は人間に戻り、最後には、手に、1000円玉と100点のテストがにぎられていた。
かっこいいと俺自信でも、分かっている。
しかし、そんな神言葉は、後ろから迫まった追い打ちで、一瞬に消えるだろう。
「あ、そうだ、明日はちゃんと学校に来てくださいね、先輩」
結果、俺は寝坊した。