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数値に喰いつけ

終戦から3日がたった。

セ国はあれから普通の海洋国に戻った。そして

この国は自立した国だと右国・左国に承認された。

だから、平和だ。

もちろん、俺も平和だ。大統領も辞退したしな。


「由さん」

「はい!」

思い出にひたっている場合ではなかった。

今はテスト返しだ。

実は終戦後、たまりにたまっていた小テストが

行われた。そして、今日がテスト返し。

ーー屋根がないから、青空教室みたいだ。

俺は教卓に立つつるきに近づく。

つるきは俺にテストを渡す。

「はい、どうぞ」

「どうも」

「今回はいい点数だったよ」

机に戻り、テストの点数を見る。

64点、78点、76点、63点、62点・・・

「・・・カンニングをしてないわりには普通だな。

努力のおかげかな。はっはっは!」

そう俺はカンニングをしなかった。

カンニングなしでも生きれると、気付いたから。

今さら。

「先輩」

なんと、ようきが近づいてきた。

何をたくらんでいるんだ。このにこにこ笑顔。

不気味だ。

「一緒に帰宅しませんか」

「・・・そんなことか」

「なんか予定があったんですか」

「ない。でも、ひましてるのではないぞ!

わざとひまであることを主張しているだけで・・・」

「じゃあ、その主張を尊重してあげる、僕が」

俺とようきの会話を聞いていた隣の席のレイ

はユメに話しかける。

「俺らも一緒に帰らないか」

「ユメはレイの方を向く。その顔は冷たかった。

「無理。ユメは独身を貫くことに決めたから。

じゃあね。」

ユメは女子グループの中に消えていった。

それを横で見ていた俺らはレイのメンタルが

心配になった。だけど、次の言葉で親近感がわいた。

「優しく目守ってやろう、俺の目で」

―こいつ、人間性があふれ出ている。


「大統領を辞退してしまうなんて、罪な男ですね」

「俺、権力に興味ないから」

学校が終わり、俺らは帰路についていた。

ビルに搭載されている巨大モニターから新しい

大統領の情報が流れていた。

なんか、寂しいと思った。

今になっても、円々姫が消えた理由が分からない。

ずっと、そばにいてくれば良かったのに。

「そうだ、先輩。もう一つ解決してないことが

ありますよ」

「え、なんだ」

「あなたの母の正体ですよ」

言われてみればそうだ。父は分かるけど、

母の正体が全く分からない

『これは、ジューだ。ハハから教えてもらったんだ』

ジュー。鬼とのじゃんけんの時も銃。

母を殺した武器も、銃。

こいつは、弾丸の神。

「そうだよ、由。僕が母だよ。」

「・・・まじかよ」

「円々姫が君を人間にしてくれたから

やっと名前を呼べたよ」

ーーそうだったのか、円々姫。

円々姫は俺に生きてほしかったのか。

泣けないよ。

泣いたら、情けないから。

俺はうつむいてしまった顔を上げる。

「これからもようきとして、俺のそばにいてくれ」

「え、母としてじゃなくて」

「俺らはくその仲間だろ」

ようきは笑ってくれた。

不気味でもない素直な顔だった。


「いいですね。それ!」

「それは良かった」

俺らはまた帰路につく。

本当は君の数値に喰いつきたかった、なんて

かっこいい言葉は言ってやらないよ、親友。


作中に登場する人物、団体名は全て架空のものです。

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