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破壊の力(ミ)

俺は昔から蚊が嫌いだ。

カンニングをする側として、

体の一部を奪われるのは負けた気分になる。

不快だ。

だから、蚊がしゃべった時はこの世界はイカレている。

「うわ、まっず!」

そんな声が俺の腕から聞こえた。腕に目線を配る。

そこには、顔から飛び出る口を足できれいにする羽虫がいた。

蚊だ。それも、しゃべる蚊だ。

俺の視線に気付いたのか、顔が俺の方を向く。

「あ、どうも。蚊です」

『ぎゃあああああー..!』

俺は叫んでいた。いや、俺以外もだ。

俺と重なる声。円々姫だ。

円々姫は腕をぶんぶんと振っていた。

「離れろ、私の腕から離れろ!」

「やめて、そんな手を振ったら、目が回るでしょ!」

その声は・・・もう一匹の蚊か。

「なんて、まずい「数」なんだ。金属を吸ってる気分だ」

「こっちなんて、見た目は人間なのに、「数」に味が

ないぞ!さっきの人間の方がましだ」

蚊は「数」と言ったか。俺がカンニングする「数」の

ことか。それに、さっきの人間って、レイのことか。

こいつらのせいで、レイは俺の足元で倒れているのか。

ーーということは、俺たちも倒れる!

「俺たちから離れろ、蚊!」

「もう、分かったよ」

二匹の蚊が俺たちの前に移動する。

「死ぬかと思いましたよ。蚊のせいで」

「蚊・蚊・蚊・うるさいけどね、俺たち血は吸わないから害はないぜ」

「じゃあ、何を吸うんだ」

「数だよ。吸われたやつは倒れる」

「害ありすぎじゃないか!」

「しょうがない。だって、100年に1度の子供の成長期だもの。数には、栄養がたっぷりあるから、ああやって

ためて、天にいる子供たちに送るの」

えげつない量の蚊が往復する所に、正方形の高さ

5m以上の物体があった。あれが、すべて数。

ーー恋しそうだ。

「蚊ども、「天」と言いましたよね。蚊じゃないよね、君たち」

円々姫が蚊?に問う。確かに、こいつらはただの蚊じゃない。

そういうことか!

破壊神の特徴は、姿を見たものはいない。

まあそうだよな。人間は反射的につぶして、

破壊神だって分からないよな。残るのは、血と死体だし。破壊神の正体が分かったなら、やることは一つ。

「走っていいか?」

レイが倒れている今がチャンス! 走れば、勝てる。

返事はOKだと思っていた。

でも、破壊神は子供をばか大切にしていた。

「まだ、栄養が足りない。だから、お前らの

血を吸ってやる!」

数十匹の蚊が俺の足、腕、顔の血を吸う。

こんなことになるから、山では肌を出さない方

が良いのだ。

なんて、考えている場合ではない!

「うわああああああーーッ!」

「何をそんなに叫んでいるのですか」

「なんで、お前はそんなに冷静でいられる!」

「だって、蚊が吐いているもん」

「は?」

円々姫の周りでは、蚊が口をおさえていた。

「うわ、なんとも言えない味」

「これは、血なのか」「溶けた金属」

「カンニング様も、ひどいと思いますよ。味が」

「うわ、こっちもなんとも言えない味」

「これは、血なのか」「ボンド入りパン」

破壊神が俺の体から離れていく。でも

無理して俺の血を吸う。

ーーなんか、悲しい。

血や数よりも、もっといい栄養があると思うのに。

決めた。俺はこいつらのために数をカンニング

してやる。

「円々姫、俺を投げろ」

「やったーッ! やっと、金の気持ちを分かってもら

える!」

円々姫は俺のえりを握り、左足を前に出し、

体を横に向ける。

人間投げのポーズ

「円々姫、カンニングで大切なことはなんだ」

円々姫は今は同じ高さの目線にいる俺を

見てほほえんだ。

「数に喰いつくことですね

円々姫が俺を投げる。俺は全身で正方形に

喰いつく。

卵の表面は数で構成されており

感触が複雑だった。優しく、強く、弱く、握り

頂点を目指す。

その間、蚊の相手は円々姫だ。

「私の数を吸ってみろ!破壊神!」


俺は頂点の面にたどり着いた。

すると、文字が浮かび上がる。

『あんた、誰?』

「カンニング様だ」

『何しに来た』

「数をカンニングしに来た」

『それなら、これを上回る真実を言いなさい。

ーー蚊は本当は数や血を吸いたくない。ーー』

「ーーー・・・なんて、すごい真実なんだ」

これは、世界の固定観念を崩すほどだ。

―ーこれを上回る真実があるのか

「じゃあ、カンニング様は別名である」『だめ』

「俺は化け物だ」『だめ〜』

「未来は明るい!」『だめ、だめ』

「何だったら、良いんだよ!」『だめ~』


その頃、円々姫は額の「100」を光らせていた。

「集まれ破壊神!」

蚊は光に集まると聞いたことがある。カンニング

様のためにも、「100」を強く光らせる。

蚊が私に近づく。

「あの光に行けば、救わせるぞ!」※イメージです

「あの光は、神の光だ!」※イメージです。

「よし、どんどん来い、破壊神!…ん?」

頭上から何かが降った気がした。それは、私の

足元に落ちる。白くて、小さい物体が

「雪?」

それは、空一面に降った。

「なんということでしょう!雪が降り始めました!」

「・・・雪だと?」

正方形の表面に白くて、小さい物体が落ちる。

でも、それが溶けることはなかった。繭みたいなこれは・・・

「これは、雪なんかじゃない。すべて、蚊の卵だ」

次の瞬間、正方形が上昇し始めた。

「何が起きている!?」

『私たちは天へと昇り、子供に食べられる』

「ちょっと、待て! 俺の真実を言うから」『だめ〜〜』

天に近づくにつれて、体が冷えていく。肺も苦しい。

これは、やばい。俺の、俺の真実を言わないと!

真実を叫べ、カンニング!

「俺はーーーーーッだ!」

『・・・・ぷっ』

数は膨張し 正方形は天寸前で破裂した。


カンニング様を乗せた正方形は空中で爆発した。

「カンニング様ーーーッ!」

けむりから無数の数が飛び出す。数は人間の

心に戻る。背後に倒れているレイも同類だった。

♡×10の温かい光がレイの心にしずむ。

でも、カンニング様は戻ってこない。

「この、くそ男ーーーッ!」

「円々姫!」

空から、-100という数にぶら下がったカンニング様ーー俺が降下する姿を見たと言う。

俺は円々姫の前に着地する。

「ありがとう、ようき」

-100はようきの所へ戻っていく。


目覚めた時には、ナイの足マクラの上で寝ていた。

「大丈夫か、ヒーロー?」

「はい、生きてますから」


「どうやって、あの数をカンニングしたんですか?」

言えない。

円々姫が好きだ。それが真実ということを。

「私たちの子供の栄養を奪ってくれたな!」

俺の背後で数千万匹の蚊が怒っていた。中には

泣いているやつもいた。

ーーずっと、考えていたんだ。お前らが楽に子供

を育てる方法を。そして、思いついた。

俺は蚊の眼前に一枚の紙をつきつける。

「これは なんだ?」

「俺の100点のテスト=(イコール)俺の100の数だ」

それも、父との出会いをくれた、つるきから返却

されたテストだ。

「マイナスがある数よりも、100の点数の方が

いいだろ。子供の栄養にしてくれ」

「いいのか。でも、なんで?」

「次、俺の血を吸う時、罪悪感をもたらせるためだ」

蚊はテストを受け取り、感謝される。

「本当にあほだな、カンニングは!私がゴール

してやるからな!」

「レイ、お前!」

復活したいが、ゴールに向かって、走っていた。

「じゃあな、破壊神!」

別れをつげて走り出そうとした瞬間、円々姫が

腕を握った。

「え、どうした」

「走る必要はありません。だって、あれを見てください」

円々姫が指示したのは、ゴールで白いテープを

持った二人の人間だった。いや、人間じゃないよな。

「そうです 死神です。それに、白いテープは

爆弾です。」

現在、レイはそれに突進している。

俺は、口角を上げる。

「一番のあほがあいつだったとは 」


死神二人は突進してくるレイを見たはずだ。

「レイ様、何をしているのですか!」

「早くどっか行ってください!これは、カンニング

のためのわなですよ!」

でも、レイは止まらない。

「ゴールは動くな!私がゴールするのだ!」

レイは白いテープに触れる。

そして、爆発した。


俺は黒い煙の中から姿を現す。

そして、ゴールの線を踏む。

「カンニング、ゴール!」

俺は100円玉を握った拳を突き上げた。

いつの間にか、雪はやんでいた。


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