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空に、飛ぶ

僕は蚊に倒された。

だけど、 人間が応援してくれる。

全観客がペンライトを振り、一人の化け物を

応援する。暗闇だとしても、応援する。

「頑張れ、ヒーロー!」

「負けるな、ヒーロー!」

「ヒーローを応援するぞー!」

「え」

いつの間にかナイは立ち上がり、ギターの弦を弾いた。

「ヒーローが負けることは…」

「ナイ!」

「落ち込むことはあるとして、だけど負けることは

そうそう・・」

「ナイ!」

ーー人間どもよ、ありがとう。お前らの変な歌が伝わったぜ。

手に力をこめる。

「泣け、お前のナイト! 叫げ、お前のナイト!

愛がナイ・ナイ・ナイ・ナイ・なんて、ナイぜ。

そうだったら、悲しいだろ」

「Yes、悲しいです!」

僕のビートが0点男のビートが叫ぐ。

起き上がれ、僕!

「おおおおおおおおーッ!」

足に全重心をかけて、僕は起き上がった。

それを壊れたスポットライトの隣で見ていた死神たちは、動揺していた。

「あんな変な歌と光だけで、起き上がるなんて。

くそ、人間も破壊神にやられろ」

次の瞬間、ペンライトの光が一つ消えた。

また、一つ。

また、二つ。また、三つ。

「このままだと、やられる。」

でも、大丈夫だ。

破壊神の姿や形が分からなくても、

死神の命令に従っているのは確かだ。

だから、死神を倒せばいい。

死神の弱点はただ一つ。

軽いだ。

「人間よ ペンライトを回せ!」

ヒーローが言うのならば、皆よ、回せ!

「おりゃああああーーッ!」

複数の青いペンライトが、回っている。

全観客がただ回している。

僕たちから見ると、ただ、無意味に感じる。

でも それが違うのです。

今の時代、他方の視点も見ないといけないのです。

他方は、死神のことだ。

「死神10!地面から上昇気流が発生しました!」

「我々ならこんな風、耐えれるだろ、死神?!」

「ごめんなさい、死神10?無理です。」

一匹が浮き、天へと飛ぶ。

「死神 7―ッ! ちょ、死神8まで!死神11も、

死神12にも、死神6も、死神5も、死神4も、

死神3も、死神1までも!あ、我もだ」

死神は天へとは行かず、天井に引っかかる。

「あ、また出会いましたね。死神10」

「我らはなんでこんな目にあわないといけないのだ。

ただ、ヒーローになりたかっただけなのに」

その言葉を聞いて、僕はあきれた。

「何、ばかなことを言っている。 お前たちはもう

ヒーローじゃないか」

「は?」

「だって、お前たちは、誰かのためにたたかっているだろ?」

先輩のように。「悪」に見えて本当は素直みたいに

「そうかもしれないな」

「だったら、解放してやるよ。素直のお前たちが損しない社会をつくってやるから」

僕は拳銃を天井に向ける。

この拳銃は不思議な品物だ。想像で弾丸の

形が変わる。前までは、金属で、固く小さい、

後端をすぼめたボートテイル状の弾丸だった。

でも、今は違う。

引き金を引く。

「空に、 飛べ」

銃口から光線が放たれる。

青い矢の集合体が天井を射る。

天井に亀裂が入り、死神を解放する。

青い空に雲一つない快晴に。

それを語るように、天井は僕たちに落ちる。


ナイは呆然としていた。

一面に広がる天井のごみを見て。

僕は別だった。

ナイの手を握り、言う。

「平和な時代が来ます」

頭上には、あははと笑う死神たちが空を泳いでいた。

内心、僕はあせっていた。

破壊神の正体が分かったから。そして、僕は倒れた。

「特報です。体育館の屋根が飛びました」

「やってくれたな、ようき」

俺は走ってはいけない廊下を全速力でー

歩いていた。走ってはいけないからな。

「待て、レイ!」

レイは振り返り、嫌味たらしい笑顔を見せてきた。

「追いついてみろよ、くそ男!」

レイはげた箱で外靴にはき替え、運動場に

出た。数秒後、俺も出る。

視界が傾いたのは、足元に何かが引っかる

のとほぼ同時だった。

「何だ」

俺は足元を見る。そこには、レイが倒れていた。

「カンニング様、前も見て」

横に佇む円々姫に従い、同類の方向を見た。


何千万の蚊が飛んでいた。

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