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適切な攻略法

俺と円々姫はプールの攻略法を考えるために

リク氏から1分、時間をもらった。

レイは今頃、被服室で制服に着替えている頃だろう。

早くしないと天使のボスの正体が分からないままだ。

でも、このプールの攻略は難しい。

死神の弾丸をよけながら泳ぐ必要があるからだ。

「私は泳ぎたくないです。走るとは言いましたけど、泳ぐとは言っていません」

俺だって、こんなプールを泳ぎたくない。

待てよ。誰がプールを泳ぐものと決めた?

円々姫が走りたいなら、走ればいいじゃん。

「そうだよ、円々姫。走ればいいのだ」

「え、走っていいのですか」


「1分をきりました。カンニングが泳ぎ始めます!

いや、カンニングは泣いていない!?

水面を走っている!?」

俺は水面を走っている。

プールに対して垂直に体がどんどん前に進む。

でも、走っているという表現は違う気がする。

なぜなら、ひざから下は海の中にあるからだ。

走っているわけでもなく、

泳いでいるわけでもない。

棒が立って進んでいるイメージだ。

「ブクブブブク、ブックク!(カンニング様、重いです!)」

プールの地面を走る円々姫が何か言う。

ただ、円々姫は水中にいるわけで、何を言っているかわからない。

「円々姫、何を言っているか分からない」

「ブブ!(何だって!)」

実は、俺は走っていない。走っている方は円々姫だ。

円々姫が水中を走り、その肩の上に乗ることで、

俺が走っているように見えるだけだ。

すごいことに、この攻略法は、もう一つも攻略する。

「銃口が右側に集中している。左側によれ!」

「ブッー!(くそーッ!)」

円々姫が水の抵抗を受けながら、左側に走る。

「放て!」

弾丸がプールの右側に沈む。

「やった、成功!次は、左側、いや、右側もだ。

飛べ!」

円々姫は俺を乗せて、空高く挑ぶ。

弾丸は俺たちの下を通り過ぎる。

プールの中に着地する。

水しぶきが俺の顔を洗い、水中が円々姫を包みこむ。

「次は、右、左、右、左、左、沈み、ジャンプ、ポップ、ステップ、右!」

「おーッと! カンニングの体は自由自在だ!」

放てと言っていた死神は、混乱していた。

「なぜ、あのカンニングは、我らの弾丸をすべてよけれるのだ!」

スナイパーを持つ阪神は、しぶしぶとその死神を見ていた。

そんな混乱する元神は無視して、俺たちは被服室に

近づいていた。

そして、プールのゴールである地面に触れた時は感動した。

円々姫も壁を触って感動していた。

「カンニング、被服室の手前までゴール!」

お祝いのコールは流れない。

なぜなら、この学校走はまだ終わっていないからだ。

被服室で制服に着替え、校庭を走ってゴールだ!

「死神ども、被服室に入る瞬間を狙え!」

銃口が被服室に向いていることに気付き、円々姫に

指示を出した。

「円々姫、被服室に同時に入るぞ!」

「分かりました!」

俺は左側の部屋、円々姫は右側の部屋の扉を開けて入る。

「死神13!二つの影が同時に二つの部屋に入りました!」

死神はけげんな目でその死神を見る。

「何をばかなことを言っているんだ。カンニングの

部屋は右側だぞ。右側を撃て!」

弾丸は部屋の壁を貫く。

しかし、部屋の中から悲鳴が上がることはなかった。

あるとしたら、薄い100円玉一枚が転がっている。

だから、心配がいらない 心配なのは、左側だ。

「やあ、レイ」

俺は黒パン一枚の姿で、制服姿のレイにあいさつした。

「なんで、ここに来た。お前の部屋は右側だろ」

「だって、俺の制服がお前の方にあるから」

「そんなこと ・・・もしかして、妙に残った一人分の着替えはお前のものか!」

レイの隣には、妙に残っている着替えがあった。

「そうだよ。だから、ここで着替えさせろ!」

「着替えさせるか!」


「カンニング様、遅いな。すぐに迎えにくるって

言っていたのに」

壁に大きな穴が空いていく。

弾丸が円々姫に当たるのも時間の問題だ。

「おーッと!レイとカンニングが同時に着替え

終えて、被服室を出たぞ!」

「え、私のことは?」

と円々姫が思っていた頃に、

俺は穴から手を差し伸べて、つかむ。

そして、走り出す。

「くそ、カンニングは校庭に向かい始めた。最終ステージに行くぞ!」

銃が撤退されていくのを見て、ひとまず安心した。

「カンニング様、遅いです!」

手の中にいる円々姫が文句を言った。

「ごめん。お前がいなかったら、俺はパーだった。

物理的な存在じゃなくて、精神的な存在でほめているからな!

わたり廊下から校庭に出るぞ!」

わたり廊下を通るときに、

一瞬だけ、ようきが心配になった。

守護に成功したら、「空に、飛ぶ」というメッセー

ジが来るはずなのに来ていない。

「ようきは大丈夫なのか?」

俺は走りづらい制服姿で、

金を持って前を先行するレイを追いかける。


体育館では、一本だったペンライトが青い光の

集合体になっていたことを俺は知らなかった。


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