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机上の問題

「まずは名前から。眼鏡の方から」

「私は体育派の赤井レイです」

「隣の君は」

「俺は文化液のカンニング様です」

本名は、長崎由だが。

「なんだ、文化派か・・・」

なんだとは、なんだ。リワ氏の数、y=2xの輝き

が減った気がした。一方で、ナイ氏の数y=1/2xの

輝きが増えた気がした。

ーーもうこの二人のすれ違いが起きている。

「お前の好きな趣味はなんだ?」

日常的な質問か。正当な答えを出せば

大丈夫だろう。

「ないです。化け物なので」

「え」

え、何か変なことを言ったか?

「ああ、私は読書が好きですね。スポーツ系

や理系、バラエティーに豊んだ本を読んでいます」

「そうだな。そうだよな」

なんだよ、その態度。 読書」の解答は良くて

「化け物」の解答は悪いのかよ。

「カンニング君、好きな食べ物はあるか?」

「特にないですね。化け物なので」

戸惑いながらも、リク氏は紙に記入を始めた。

黙り続けるナイ氏も記入を始めた。

この瞬間、俺は机の下に手を移動させ、

やつに合図を送る。金はポケットにあったり

自動販売の下にあったりと場所を変える。

今回は、この机の下だ。

面接官は、紙に相手の欠点や利点を記入

する。それを円々姫がカンニングする。

ただ一つ問題があった。100円玉だと移動ができないらしく、机の下にいるのは、女性の姿の円々姫だ。

「カンニング様、まかせてください」

円々姫はリク氏とナイ氏の足に近づくように

匍匐前進で机の下を前進する。ばれないでくれ。

「紙の内容が見えました!」

「どうだった!」

「リク氏の評価、『中二病じゃないのか。』ナイ氏の評価

『こいつには知性がない。』だそうです。マイナスですね」

「俺はやつらに嫌われているのか」

この評価では、不合格になってしまう。 そうだ、レイの評価はなんだ。

「評価は、『こいつは真面目で、いいやつだ。』『こいつには、知性がある』だそうです」

「レイだけずるくないか」

「私がなんだって」

レイの声が飛んできたので、机から顔を離した。

レイは俺にけげんな目を向けていた。

「ただ机と話していただけだ」

「はあ・・」

レイはすぐに前を見た。


「では本題に入ろう」

次にしゃべりだしたのは、ナイ氏だ

現地点で俺は知性のないやつだと思われている。

面接に合格するには、知性のある解答が必要だ。

「なぜ、学校走にチャレンジしたい?」

「なぜって...」

父を苦しめる天使のボスの正体を見破り、今起

きている右国・左国の戦争を止めるため。

そして、10億円と自分のため。

でも、こんなことを言っても、こいつらは信じないだろう。

「こいつのせいだ!」

レイは俺を指差し、リク氏とナイ氏の前でも宣言

した。

ーーはい、はい、俺が悪いんだろ。レイの女と遊んだのが悪いんだろ。

「こいつは私の女を奪ったと同時に、戦争を

悪化させているのだ !」

「はぁ !」

本当はレイは俺の正体を知っているのではないか!

ただ、勘違いされている。悪化させているのではなく、止めているのだ。

リク氏とナイ氏が俺をにらむ。やつらは、紙に記入を始める。

「カンニング様、終わりましたね。リク氏の評価

『中二病以下の悪人なのか。』、ナイ氏の評価、『こいつは欲の固まりだ。』そうです。」

リク氏の数y=2xとナイ氏の数、y=1/2xのxに、10

が入る。もしかして、あの10は俺の点数じゃないのか。

ということは、計算すると、y=2x10で20点 、y=1/2x10で5点。合計で25点。

ーーもう終わった。25点なんて、赤点だ。

一方で、レイの口は止まらなかった。

「他にも、こいつは仲間を信じすぎている!」

「質問だ。それの何が悪い?」

レイの発言に対して、リク氏が質問する。レイは答える。

「カンニングの仲間の中には、裏切り者がいるからだ」

「え」

ーースパイのお前だろ、裏切り者は

俺が仲間と呼べる存在は、今どこにいるか分から

ないようきと、ひつじと、机の下にいる円々姫だ。

こいつらが俺を裏切るはずがない。

レイは俺に何をやらせたいんだ。

想像をめぐらせている直後、円々姫から報告がきた。

「リク氏の評価とナイ氏の評価とも『わけが

わからない』だそうです。

カンニング様はどうする気ですか」

「俺も何をすればいいか分からない」

結果的に、俺は不合格だから、どうすることもできない。

「やれやれ、私―神の出番ですか」

「神」

俺は円々姫を止めなかったことを後悔するだろう。理由は、円々姫は上半身で机を貫き破り、

突如として、リク氏とナイ氏の前で姿を現したからだ。

「ぎゃああああああーーッ!」

リク氏とナイ氏は叫ぶ。レイは目を見開く。

俺は俺でびっくりしていた。

「お、お、お前は、だ、誰だ!」

ナイ氏が問いかける。というか、叫んでいた。

円々姫が言う。

「私は面接の机の神だ!私を敬い、私を尊え!」

円々姫の額の100が神々しく光る。

ーーこいつが一番、中二病じゃないのか

「私が要求するのは、ただ一つ。この二人を合格させろ」

「レイは合格させますけど、カンニングはちょっと・・・」

やっぱり、俺ではだめなのか。ただ、神は頑固だった。

「そんな紙きれの評価なんて、どうでもいい」

「どうでもいいだと!」

今度は、リク氏が叫ぶ。

「そう、どうでもいい。私はお前たちの意見なんて

聞かない。だから、この二人を尊え!」

「・・・・・はい、分かりましたーッ!」

俺は見てしまった。

リク氏の数、y=2x10+「神」とナイ氏の数、y=1/2x10+「神」。

合計で25+「神」×2点。 「神」が付いていた。

リク氏とナイ氏は一呼吸して、俺たちに言う。

「合格だ」

円々姫は何かを成し遂げたようなにやけ顔で、

俺を見た。

「えっへん」


全学年が運動場で汗をかきながら、開催セレモニーを聞いていた。


レイ氏とナイ氏の話が始まる。

「学校走にチャレンジしたって本当ですか、先輩。

それも、面接に合格したって」

ようきがふり向いて、俺に声をかけた。背の順の場合、

背の差があまりない俺らは、ふり向けば話せる距離にいる。

「本当だ」

「私のおかげですよ」

ポケットから円々姫の声が響く。円々姫が神ぶら

なかったら、合格しなかっただろう。

「合格はすごいですけど、破壊神のこと忘れていませんか」

「忘れていた」「私もです」

昨夜、死神ヒーローのドルクの最後の言葉、破壊神にたのんで、

お前たちの文化・体育祭をつぶしてもらう。

「そうだと思いましたよ。 ひつじから学校の守護を

頼まれているんですよ。まあ、合格しちゃったのですから、先輩は体育祭を守ってください」

「なら、文化祭はどうする」

「僕がつぶします」

そんなことを言ったようきの声が、真面目なものになる

「破壊神は見つかりませんでしたけど、複数の死神は

見つけました。狙いは、悪魔のボスを守る僕たちでしょう」

「それがどうした」

「今回、僕たちは死ぬかもしれません」

ーー死ぬ。いや、違う

「心が死ぬと言った時、命は生きている。だから、

死ぬと言って、死ぬのはただのくそだ。俺らはそこまでくそではない」

リク氏が宣言する。ナイ氏が宣言する。

「体育祭を盛り上げるぞーッ!」

「文化祭を盛り上げるぞーッ!」

「おおおおおおおおおおおーーッ!」


この文化・体育祭を俺らがカンニングしてみせる。


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