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第三話 リーラ

私達は今、街の家に引っ越してから初めての朝食を食べている。


「めっちゃ美味しい……!」


「リディエル様…! ありがたきお言葉…!」


「リディエル! これくらい僕でも…!」


ジェイドさんが作った朝食は私が作る料理の何倍も美味しくて、私がジェイドさんを褒めた事にジェドは少し嫉妬しているみたい。


「けどジェドも美味しいって思ってるんでしょ?」


「それは……別の話だよ…!」


「それで…魔王様にお話があるのですが……」


ジェイドさんの言葉で雰囲気が変わる。


「どうしたの?」


「リーラと会って頂けないかと……」


「…? リーラは普通に暮らしているんだろう?」


リーラさんは、ジェイドさんが言うには少しお調子者で、魔王であるはずのジェドにもお構いなしで接してくるらしい。


「そうなんですが…対立派の魔族が襲撃をする可能性もあるので定期的に安全を確認しておきたいのです」


「リーラねぇ……僕苦手なんだよなぁ…」


ジェドはリーラさんと会う事に少し抵抗があるらしい。


ジェドの性格を考えると、確かにお調子者のリーラさんとは合わなそうではある……けど私に対するジェドとあんまり変わんないような………


「リーラさんはどこにいるんですか?」


「村で済ませてもらっていたらしいのですが、最近その村は街への移住計画があったらしく昨日この街に移住したという連絡はあったのですが……」


「なら連絡魔法をすればすぐに会えるんじゃ……」


「リーラは連絡魔法が使えないのです。ですから基本的に直接会う事でしか連絡が取れないんですが……」


「この街にいるなら少なくとも騒動があれば僕達にも情報が入るだろう。無理に探す必要もないと思うんだが」


「しかしリーラの性格上一人にさせるのも危険だと思うのですが……」


「それはそうなんだけど……」


ジェドがこんなに悩むなんて初めて見たかも……


「リディエル…? リーラをここに住ませても大丈夫かな…?」


あぁ…!ジェドはリーラをここに住ませようと思ってたけど私に気を使ってるのか……


「私は別に大丈夫だよ、まぁ私を襲ってこないのが条件だけど……」


「んん…リーラは殺してはこないけど、女好きなんだよな……」


え…!別の意味で襲ってくるタイプ…!?それは嫌だな……


「魔王様の妻であるという事を仰れば手は出さないかと……」


別に妻でもないんだけどなぁ……!




「とりあえずギルドに来たけど……」


「あ! リディエルさん! 依頼を受けますか!? それとも私に会いに来たんですか!?」


ローリエは私達に気づくと仕事を放って私に話しかけにくる。

流石に仕事を後回しにするのはどうなんだろうか……しかも他の職員さんがローリエの仕事代わりにやってるし………


「ちょっと探してる人がいてね…」


「僕のリディエルに気安く話しかけやがって…」


「別にジェドのモノになった覚えないけど」


「え!?リディエル様は魔王様の妻なのでは…!?」



ローリエに怒るジェドに少し言葉を挟むだけのつもりだったのに、なんか話が拗れていく気がする………!



「リディエルは僕の妻だってことに照れてるんだよ」


「ジェド、黙って」


「はい……」


流石にジェドがローリエに事情を話すと喧嘩になりかねないのでジェイドさんと私が説明をする。


「なるほど……分かりました。協力しましょう! それでは早速特徴を教えて下さい!」


リーラさんの事を私は知らないので、ジェイドに任せる。


「金髪のツインテールで、派手な服を着ていると思われます。あと、右目の下にハートマークの模様があるのですが……」


「あぁ! 彼女ですね! 私が担当したので覚えてますよ。昨日、私に会うなり口説いてきたんですから…!」


いきなり会って口説いてくる女の人と一緒に住まないといけないの?


「例えるならそうですね…君、なかなかいい顔してるね…! その引き締まったボディ…! それに綺麗な顔してるじゃない…! みたいな!」


「いやはや…照れてしまいます」


ローリエがジェイドさんに例えを教えると、ジェイドさんは照れる様子を見せる。


………いや、ジェイドさん骨しかないよね…?引き締まったボディって引き締まりすぎて骨しか残ってないけど!あと顔もないし!骸骨だし!しかもジェドに踏まれた影響で後頭部ひび割れてるし!


「確か明日また会いにくるから考えておいてって言ってましたけど……」


ローリエがその言葉を言った瞬間、ギルドの扉が開く。


「やっほ〜ローリエちゃん! 昨日のコト、考えてくれた…!?」


「あ!この人です!」


ギルドに入ってきた人物は、金髪のツインテールに色の激しい服、そして右目の下にハートマークの模様があった。


「あれ? 魔王サマにジェイドじゃん、何してんの〜?」


「僕達はお前を……」


「ねぇキミ! すっごい可愛い顔してるね! 良かったら今夜、私といいコトしない…?」


リーラと思われる人物はジェドの話を無視して私に近付いてくると、口説いてきた。


え、この人がリーラさん…?思ってたよりも人間っぽい……しかも普通に可愛いし…なんか変な気持ちになってきたかも………


私がそう思っていると、ジェドがリーラさんの服を掴み、私から引き離した。


「僕のリディエルを【淫惑】しないでくれる…!?」


ジェドの言葉で、私がリーラさんの魔眼の効果を受けていたことに気が付いた。


「魔王サマいた〜い! それパワハラですよ〜!」


「然るべき処置を取ったんだからただの教育だろ…!」


「魔王様…! そろそろ本題に入りましょう…!」


「じゃあジェイド、お前が説明しててくれ。僕はリディエルの様子を見る」


「承知しました!」


そう言ってジェドが私の様子を見にきた。


「大丈夫だった? リディエル……あいつの魔眼は【淫惑】って言ってね、対象の……」


「知ってます。対象に効果をかけると、対象の性欲を強くし、自身への性的興奮を促すんですよね。でも、対象に想い人がいると効果は薄くなる。でしたよね?」


「おぉ…! リディエル…詳しいんだね!」


「知識だけはまだ残ってますから」


「それで…! 体調は? 大丈夫?」


「大丈夫ですよ…」


何とか大丈夫だったけど、普通はとてつもない興奮を与えられ、まともに動けなくなるらしい。


ここがギルドで他の人達もいたから効果を薄くしてたんだろうけど…二人きりだった時を考えると………



「いいですかリーラ! 彼女は魔王様の妻なのです! 絶対に手を出さないで下さいね!」


「えぇ〜? あの子が魔王サマの妻なんて勿体無いって〜」


ゾッとする想像をしていたら、ジェイド達の説明が終わったみたい、なんか私の事で揉めてるけど……


「誰が勿体無いって…?」


「魔王サマみたいなお子様には、あの子みたいな美女…! 似合うはずないじゃないですか〜!」


「僕がお子様だと…!?」


「まあまあ…!ジェド、落ち着いて…!」


リーラさんに怒るジェドを何とか落ち着かせる。その間、リーラさんが私をじっと見つめてきていたのが少し怖かったけど………



「へぇ〜! まあまあいい家じゃないですか〜!」


「あいつは平然と空気読めない事言うな……」


「まあまあ……」


リーラさんと共に家に帰った私達、今日からリーラさんも一緒に暮らすけど、もはや魔王軍の拠点になっているような………


「あ、この家って防音ちゃんとしてるんですか? 夜のコト聞かれるの嫌なんですけど」


「そもそも人を連れてそのコトをするのやめてくれるかな?」


「人は連れてこないですよ〜! 連れて来なくても既に……ね?」


急に背筋がゾッとする……! もしかしてリーラさんが1番警戒しないといけないかもしれない…!


「リディエルに変な事してみろ…生きてられると思うなよ…!?」


「じょ…冗談ですよ魔王サマ…! ハハハ……」


ジェド……!今だけは頼りになる…!



私達が家で平和に暮らしている間、魔王城では



「ディール、魔王様の居場所は分かったの?」


「居場所は分からんがリーラとジェイドに動きはあり、どこかに移動した」


「追跡は?」


「両方ともダメだ…反応がない」


「そもそも魔王様は何で平和条約なんて結んだの〜? 結ばなくたって普通に戦ってれば勝てたでしょ〜」


「何でも好きな人が出来たって……魔族が人に恋するなんて……あほらし……」


「魔王様を馬鹿にするなニーディア…! 魔王様はきっと人に洗脳されているに違いない! だからオレ達が目を覚ましてやらねばならんのだ!」


「全く……ジェイドとリーラの代わりがこの二人って……大丈夫なのかしら……」


「失礼だな〜……ニーディアと違って私はちゃんと仕事してますし〜」


「カミラ…? 僕だってちゃんと罠とか作ってるんだよ…?」


「罠とかぶっちゃけ誰でも作れるでしょ〜」


「そんなわけないだろ…! 僕が命をかけて作ってるのに馬鹿にしないでよ…!」


「何お前ら喧嘩してんだ! いいか! オレ達のやる事は魔王様の奪還! そして人類を滅ぼし世界を支配する事だ…!」


「魔王様が私達についてくるとは思えないけど……」


「魔王様は先代魔王様の意志を継いだ者…魔王としての全てを先代魔王様から引き継いだ以上、目を覚ませばついてくるはずだ!」


「魔王様……待ってて下さい……!」

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