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94、膨れ上がる違和感




 翌日は臨時休校になった。みんな動揺してるだろうし当然ね。

 私も寮の部屋でひたすらアンナに甘やかされて過ごしていた。


 内心では、リリーナの件を教師に伝えた方がいいかどうか迷っている。ニチカも昨日事情を聞かれたはずだから、ニチカ本人の口から「リリーナに生徒会室へ行くようし向けられた」と既に話しているかもしれないが、一応私の口からも伝えておいた方がいいだろうか。でも、私はニチカから聞いただけだからなぁ。出来ればニチカと一緒に当時の状況を説明したいんだけど。


 そんな風に悶々と頭を悩ませていると、午後になってからティアナとマリヤがお見舞いに来てくれた。


「あのニチカさんという方、怪我もなかったようよ。よかったわね」


 ティアナがそう教えてくれる。


「レイシール様もご無事でよかったです」


 マリヤも目を潤ませて微笑む。


「でも、怖いわよね。どうして火事なんて……生徒会室には火の気なんかないのに」


 ティアナが首を傾げて言った。

 私は何気なく聞き流しかけて……ふと、違和感を覚えた。


「ティアナ? 火事の原因って……」

「ええ。朝、休校を報せにいらしたクシマフ先生と偶然お会いしたのだけれど、先生方も首を捻っているそうよ」


 そのティアナの言葉に、私は違和感が膨れ上がった。

 昨日、寮に帰る前に私は先生方とお話しした。事情を尋ねられて、あの火炎瓶のことをちゃんと話した。


 生徒達が動揺しないように伏せている? いや、それならば、何故昨日の時点で私に口止めしなかったんだろう。


 今日はおそらく校舎の方には公爵家の近衛兵が調査に入っているはずだ。公爵令嬢が故意に焼き殺されそうになったんだもの。

 いや、幸い生徒会室が焼けただけで済んだけれど、もっと酷い被害になっていた可能性もあるのだから、四大公爵家ーー特に北と、大公として公立の学園の責任者となっている東の公爵は真剣に念入りに調べろと言うはずだ。ガラスの破片一つ見逃すまい。


「それとね、どうもテストがなくなるみたい。生徒の動揺もあるし、親が心配しているということもあって、残りの授業を中止して冬休みに入るかもしれないのですって」


 ティアナがクシマフ先生から聞いた情報を教えてくれる。


「せっかくレイシール様の発案で皆で勉強したのに、残念ですね」


 少し眉を下げてマリヤが言った。


「もし、今回のテストで学園全体の結果が向上すれば、レイシール様の評判がより一層高まったでしょうに」

「そうね。それは残念だわ」


 ティアナも頷いた。私の評判は別に上がらなくてもいいけれど、確かにせっかく頑張って勉強したのに残念だと思う。

 この学園の生徒も教師も、皆この世界で一生懸命生きているのだから、勉強した結果をちゃんと実感してもらいたかったな。

 前の私ならこんなこと思わなかったけれど、自分が死にかけたおかげでこの世界を完全に受け入れることが出来たよ。




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