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22、忠臣は馬の骨がお嫌い






「ただいまー」

「お帰りなさいませ、お嬢様」


 女子寮の部屋に帰ると、アンナが出迎えてくれる。

 全寮制のこの学園では、伯爵家以上の子息子女は一人だけ使用人を連れてきていいことになっているのだ。私は一人で来るつもりだったんだけど、アンナが絶対に一緒に来ると言い張ったため、結局私の面倒をみさせてしまっている。なんだか申し訳ないわ。


「どうなされました?なんだかお疲れのご様子。まさか、あの馬の骨にいかがわしい真似をされたのでは!?」


 相変わらず、私の婚約者は私の家の侍女達から評判が悪い。ま、ことあるごとに私に抱きついてくるし、隙あらばキスしようと狙ってくるセクハラ野郎だからね。でも、仮にも侯爵家の嫡男を馬の骨呼ばわりはどうかと思うけど。


「違うわよ。朗読会のことで悩んでいてね」


 私は着替えを手伝ってもらいながら溜め息を吐いた。


「そんなに大変な催しなのですか?」

「あー、いえ。人を集めて詩を読んでもらうだけでよければ、簡単なのよ。でも、どうせだったら皆に楽しんでもらえるようにできないかしら、と思って」


 アンナがお茶を淹れてくれながら首を傾げる。


「大丈夫ですよ。お嬢様ならきっと何かおもしろいことを思いつきます!」

「うーん、そうだといいのだけれど……」


 実のところ、私自身も朗読会という催しにあまりピンときていないのよね。だって、楽しくなさそうなんだもん。詩的な乙女じゃなくてごめんね!乙女ゲームへの突っ込みならいくらでも出来る気がするんだけどね。

 せっかく講堂に全校生徒を集めてやるんだからさ。学芸会みたいに劇でもやればいいのに……


「そうよ!朗読会と思うからつまんねーのよ!学芸会と思えばいいのよ!」


 学芸会!それなら、あれをこうしてこうして……うん、いけるかもしれない。


 私は早速ノートを取りだして、思いついたことを次々に書き込み始めた。





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