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⑵『イズムについての、一考察』
⑵『イズムについての、一考察』
㈠
何かを纏って、生きていくのは、案外辛いことかもしれない。白日の元に、何にも影響を受けていない自分というものが、或る瞬間存在するが、それが唯一の自分だとしたら、何かを纏っている間は、偽物だということになる。こういうイズムは、しかし、今の自分には苦しい問題である。
㈡
何かに影響されている間は、確かに孤独ではない。別段、唯一の自分でも、孤独ではないのだが、孤独というよりも、偽物であるという、自己欺瞞が、イズムを攻撃するのである。という事になると、やはり、我々は、常に何か新しいものから、影響を受けていた方が、新鮮だという事になる。
㈢
考えを改めるとすれば、唯一の自分など、何の価値もないのだと言えよう。何かに影響を受けていることが、イズムを更に前に進め、発展する、そういう考えが、ここ最近強くなった。何れは、影響を与える側に回るのだろうが、それでも、死ぬまで何かに影響を受けて死ぬことも、一つのイズムではある。