夢は夢のままで
「すごい! 昔の魔法新宿に来ちゃった!」
「魔法があれば何でもできるってね。1、2、3、だー!!!」
望とハチコは過去の新宿にやって来た。
「まずは面白そうだから、過去の俺を探しに行ってもいい?」
「いいよ。私も昔の区長を見てみたい。」
「よし! 行こう!」
二人は魔法のほうきに乗って魔法新宿から魔法渋谷に移動する。
「起きろ! 望!」
「ギャアアアアー!? 鬼!? 悪魔!? 希!?」
過去の世界の望は望に毎朝起こされていた。
「クスクス。」
その様子を陰から見ている望とハチコ。
「なんだか意外。」
「なにが?」
「区長をやるぐらいだから、朝もパキっと飛び起きてキビキビしてるのかと思った。」
「ハッハハハ。そんなことはないよ。俺は普通の人間だから。」
ハチコの疑問に明るく答える望。
「あの頃は良かったな。俺は魔法使いでもなく、何もなく平凡だけど希やじいちゃん、ばあちゃんと一緒に楽しく笑って生きていた。」
望は思わず本音を言ってしまう。
「戻りたい? この頃に。」
「いいや。俺は今の魔法使いの生活も楽しいよ。誰かの夢から夢へ旅行できるからね。」
望は笑顔でハチコの質問に答える。
(せっかく魔法使いの権力を手に入れたんだ! 俺の最終目的は世界征服だ!)
これは権力を手に入れた人間のエゴである。
「でも、あれよね。夢から夢へ世界を移動できるとなれば、同じ設定で一からの物語を作り出すことも可能よね。」
ハチコは良い所に気がついた。
「そうだな。前にいた世界が俺の現実の世界で、今回はハチコの夢の世界ということだな。」
「その調子で、イフリートの夢の世界とか、アイドルの夢の世界とか、地球の夢の世界とか、夢から夢へ移動できるって便利よね。」
夢を叶えるから、夢から夢への創作の広がりである。
「夢を叶えるために、その世界のボスを倒すとか、全体の夢を叶えるために、7つのボール、7つのクリスタルを集めるとか? 今の時代なら魔法東京オリンピックもあるから、金メダルを集めると願い事が叶うとかかな。」
「いいね。私の夢は何だったんだろう? でも夢が叶うって素敵だね。」
「そうだね。じゃあ、そろそろハチコの記憶を取り戻しに行こうか。」
「はい。」
望たちは魔法新宿に戻ることにした。
(幸せに生きろよ。夢の中の俺よ。)
少し毒が抜けた望であった。
つづく。




