灰色の魔法使い
「バン。」
希とイバラの新旧嫁対決が行われようとしている時、いきなり魔法渋谷の街中で爆発が起こった。
「キャアー!?」
「なに!?」
爆発に驚いた希とイバラは体制を崩す。何が起こったのか分からないので周囲を見渡す。
「あれを見て!?」
「ビルの真ん中が爆発している!?」
魔法渋谷のスクランブルスクエア高校の入っている高層ビルの中腹で爆発の煙があがっていた。
「飛行機が突っ込んだの!?」
「テロ!? 時限爆弾!? それとも無人ドローンに爆弾!?」
希もイバラも事態が把握できない。
「バン。」
「声?」
希には、女の子の声で「バン。」と聞こえた。
「ドカーン!」
次の瞬間、再び激しい爆発が起こった。ビルから火災が起こり、黒煙があがっている。
「キャアアアアアアー!!!」
もちろんビルの中は、仕事をしている人やお客さんが逃げ惑うパニック状態だった。
「あそこに誰かいる!?」
声の聞こえた方を見ると、魔法のほうきに乗った灰色のローブを着た魔法使いがいた。
「灰色の魔法使い!?」
希は、その姿、風貌から思わず灰色の魔法使いという言葉が出た。
「女狐! あの魔法使いについて何か知らないの?」
「知らないわよ。なんでも私が知っていると思わないで。」
灰色の魔法使いの謎が深まる。
「でも、あの魔法使いが爆破を行っているに違いない! 爆発を止めさせないと、ビルが倒壊しちゃう!?」
「せっかく通っている楽しい私の学校なのに何してくれてるのよ!? その命で償ってもらおう! 死の世界へ案内してあげるわ!」
珍しく希とイバラの意見があった。
「初めて意見があったわね。」
「私は、ただ学校を守りたいだけよ。」
「一時休戦ね。」
希とイバラは、放課後の決戦を停戦することに合意した。
「バン。」
ドカーン! っと、また爆発音が鳴り響いた。もうビルが崩れ去るのも時間の問題である。
「キャアー!? 怖い!?」
「クソッ!? やりたい放題ね!?」
希とイバラは爆発が起こる度に爆音と爆風に吹き飛ばされそうになる。
「変身! ウィザード!」
イバラは、魔犬ヘルハウンドのローブを身に着けて、魔法使いに変身する。
「あなたは大人しくしていることね。」
そう言い放つとイバラは魔法のほうきに乗って、灰色の魔法使いの元へ向かった。
「なによ!? 馬鹿にして!? 私だって戦えるんだから!?」
希は、魔法のスマホを取り出す。
「変身! ウィザード!」
希は、ミラクル奇跡のローブを身にまとい、魔法使いへと変身する。
「よし! 変身できた! 次は魔法のほうきと・・・・・・ゲッ!? ほうきの英語が分からない!?」
希の英語の成績は、あまり良くなかった。
つづく。