始まりは一本の電話から # 1
<昼休み>
「はあー。なんでこうなるの・・。」
サリーナはため息をついた。
「・・・・・・どうしたの?」
アロが、自分の弁当のおかずをフォークに刺しながらきいた。
「だってね・・・・・」
サリーナは昨日のことを話し始めた。
<昨日>
その日、インプロッシュ家に電話がかかってきた。
ちょうど、その時サリーナの母、リリーは買い物で家にはいなかった。
家にいたのはサリーナだけだった。
(おかしいな・・・・・・この家はめったに電話しないし、かけてこないのにな・・・・)
サリーナは戸惑いつつも電話に出た。
「はい、インプロッシュですが」
「あ、私よ、私」
「・・・・・・・え?」
サリーナは言葉に詰まった。
(・・・・・私って言われても・・・・誰?)
「もう、なんで分からないのよ?!まあ、いいわ」
(この電話は切ったほうがいいのでは・・・・?)
でも相手は構わず言葉を続けた。
「今日も任務よ。
ある塾の先生なんだけど、その名前はグラオ・レレ。
グラオはみんなが知らない間にある国のミサイルを密輸したらしいの。
密輸を阻止して、アリーナ幸運を祈るわ」
「え、ちょ、ちょっと待って下さい!」
相手がもう切りそうだったので慌てて言った。
「何よ」
明らかに相手がムッとしている。
「今、アリーナって言いました?」
「ええ、あなたの名前でしょ?」
(・・・・・ああ、きっと電話番号を間違えたんだ・・・)
「なら、違います。私の名前はサリーナですから。」
「・・・・・は?もう、そんなのいいから、ちゃんと任務やってよ!いっつもそうやって何かしらケチつけて、大体あなた、『はい、インプラッシュですが』って言わないでしょ、全くもう・・・」
ブチっ
「え?ちょっと?!」
相手が独り言を言ったと思ったら、前触れもなく電話を切られてしまった。
(・・・・・もう、何言ってるんだろう?こっちが違うって言ってるのに否定してくるし・・・。それに任務って何?どういうこと?)
サリーナは一人、パニックに陥っていた。