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プロローグ

 辺りは日も落ち、夜の帳が男を包む。

 ボロボロのマントを纏った男はただ暗い沼の水面を見つめている。

 男はフードを目深に被りただ沼の傍に立っているだけだ。

 彼の肩には白い小さなフクロウが止まっている。

 うっそうとした森の中にその沼があるが。

 不思議なことに森からも沼からも生き物の声が聞こえない。

 夏の季節なら虫の声や動物の鳴き声が聞こえるはずだが。

 耳が痛くなる様な静寂が辺りを包む。

 ゆらり

 音もなく水面が揺れる。

 男の肩に止まっていたフクロウが近くの木の枝に飛び移る。

 いきなり水面が盛り上がり中から黒い生き物が姿を現す。

 ウツボに似たその生き物は馬鹿でかかった。

 20mはあるその巨体が男に迫る。

 男は慌てることも無く剣を抜く。


 シャラン


 剣は涼しげな音を立てて鞘から引き抜かれる。

 男の剣が光を纏、辺りを照らす。

 まるで昼のように明るくなる。

 しかし闇の生き物である黒きウツボは怯む事無く男に牙をむく。


 ガキン!!


 牙と剣が音を立てて絡み合う。

 男は【身体強化】を使い

 ウツボを陸に弾き飛ばす。

 流石の男でも水中での戦いは不利とみてウツボを森に弾き飛ばしたのだ。

 ウツボは木々をなぎ倒し100m程して止まる。


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ~~~~!!」


 ウツボの体から前足と後ろ脚がバキバキと生えてくる。

木々をへし折りながら男に襲い掛かる。

全くダメージが無いようだ。

男はひらりとかわすと剣をクルリと回した。

すると剣は光り輝く弓へと変化する。

男は弓を引く。

すると光の矢が現れた。


ヒュン!!


矢は三本に分かれるとウツボの躰に突き刺さる。


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!」


ジュウジュウと白い煙を上げながら矢はウツボの体を突き進む。

巨大ウツボに三個の穴をあけると光の矢は消えた。

それでもウツボは死なない。

赤く憎悪に溢れた目を男に向ける。

ウツボは尻尾を振る。

男は地面を転げて避ける。

尻尾はバキバキと木々をなぎ倒した。

男とウツボのせいで森の様子が一変する。

男の手に持つ弓が槍に変わる。

槍の先が光を纏う。

ウツボは男に向かって地響きを立てながら突進する。

男は逃げず槍を構えて待ちうける。

槍はウツボの体の体にめり込み。

だが突進は止まない。

男の体を踏み砕く。

男の体を踏みつぶして50m進むとウツボはクルリと反転してにたりと男を見た。

ずるりとウツボの上半身がずれる。

音をたててウツボの体が崩れ落ちた。

20mあったウツボの体はボロボロと崩れ去り風に吹かれて消える。

ウツボの体があった所のは一枚の白い羽が落ちていた。

先程木の枝にとまっていた小さなフクロウはバサバサと羽ばたき、羽の所に来るとふわりと降りた。

小さなフクロウは白い羽を銜えるとごくりと飲み込んだ。

一瞬だけフクロウの体が輝きまた元の体に戻る。

小さなフクロウは挽肉のような有様の男の側によると。

ほーと啼いた。


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」


男は情けない悲鳴を上げる。

バキバキと折れた骨が、引きちぎられた筋肉が、飛び散った血が、元に戻る。

破壊された体が噓のように元に戻りボロボロになった服と倒れた木々だけがさっきの戦いが幻ではなかったと語っている。

回復痛の痛みに耐えながら男はよろよろと立ち上がった。


「お前回復魔法下手すぎ」


男はフクロウに文句を言う。


ほー( 失敬な!! )


フクロウは抗議するように男の頭をツンツン突いた。


「いだだだだだだ~!! やめろ!! まじ焼き鳥にするぞ!! この馬鹿フクロウ!! 」


夜の森の中男の罵声が響き渡る。



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 2019/5/9 『小説家になろう』 どんC

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最後までお読みいただきありがとうございます。

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