結の巻
目を閉じてすぐ、身体に痛みを感じ俺は飛び起きた。目を開けてみるとリリーさんの姿はなくなっていた。
…ここは、商店街の…路地裏か?
どうなってんだ?これ?元の世界に戻ってきたのか?
「おい、にいちゃん。そこ通り道なんだ。
よけてくれ。」
そう声をかけてきたのは…ラーメン屋の店主。
慌てて避ける。なんだってこんなところに
いるんだ、俺?
「す、すいません。」
「いや、よけてくれりゃいーけどよ。にしても
ンな格好でいたら風邪引くぜ?…じゃな。」
格好…?うわ!下脱げてる!?
すぐに履き直した後、若干の違和感を感じた。
…これ…夢精か。…やっぱり夢だったな。
そらそうだ。そんなうまい話あるわけねぇよ。
きっとあのあと寝ちゃって誰かに路地裏に
運ばれたんだな。…さてと、今の時間はっと…は!?
中入っているスマホを取り出そうと
バックを開けると中に札束が入っていた。
数えてみれば合計で30万。
ちょっと待てよ…確か…うわ、おいおいマジかよ。
ふぅ…とりあえずうちに帰るか。疲れたしな。
そうして俺は帰宅した。
翌日。
登校するときに商店街で例のチラシが貼ってあった
場所を見たが、何も無かった。やっぱりね。
そして学校に着くと、スマホが鳴った。
非通知だ。…出た。
「もしもし。…どちらさまですか?」
「あ、出てくれた!田中浩子でーす。
覚えてるかな?」
「もちろんだ。昨日は世話になったな。」
「もしかして本当に『行けた』の?」
「あぁ。そのようだ。行けない人もいるのか?」
「…あはははっ!すっごいね君!…うん!
普通はいけないと思うよ。そもそも…あ、いや
なんでもない。…とりあえず、ごちそうさま、
とだけ言っておくね。じゃあまた、いつか。」
プープープー
自分で言うだけ言って彼女は電話を切った。
詳しい話、何も聞けなかったな。
ぜひまたやりたいんだが。
…痛いのは嫌いじゃないしな。
男が手にした30万は、誰のもの…?