8話 魔獣捕獲
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故郷への嫌がらせのために、俺は魔獣の巣と呼ばれる洞窟へと向かう。
この洞窟には、マシューと二人で、よく狩りをしに来たものだ。
マシューは勇者だが、怖がりで、魔物をよく俺に退治させていたけどな。
だからかな。あいつは勇者だが、たいした強さじゃない。
「エル。強い魔物の反応がある」
俺は声がした方を振り返ると、杖を振り回しながら、何かの魔法を使おうとしているクリスがいた。どうやら、付いてきてしまったようだ。
「おい。この森で攻撃魔法を使うなよ。森の木々には、魔法を反射させる樹皮に覆われている。そもそも、この森の魔物には、魔法は効かない」
「じゃあ。私はここでは役にたたない」
クリスはそう言って、肩を落とす。
「いや、マシュー達と旅をしているとき、お前の魔法で魔物を探知していただろ?」
「生体関知という魔法」
「あぁ。その、生体関知は特定の魔物を探知する事は出来るのか?」
「出来る」
「そうか。それがあれば、俺が探す魔物を捕獲できそうだ。助かるよ」
俺がそう言うと、クリスは嬉しそうにする。
俺はクリスに、捕まえたい魔物の特長を話す。クリスは、俺の出した条件に首を傾げながらも、生体関知で魔物を探知してくれた。
一時間後、数匹の魔物を捕らえる事に成功した。
魔物を縛っているロープは、どこぞの女神が開発したといわれている、最高級のロープだ。女神が何故ロープを開発したかは知らないし、本当の話とは思えないが、例え、ドラゴンでも、引きちぎる事の出来ないロープというのは、間違いない。
捕まえた魔物は、人を喰わない魔物を選んだ。流石に、喰われれば人間はすぐに死んでしまうからな。
選んだ魔物は、草食だが攻撃性の強い魔物だ。こいつらの特長として、獲物で遊ぶ習性がある。猫が、猫じゃらしで遊ぶようなものだ。
さて、懐かしい故郷に、可愛い魔物をプレゼントしに行くとするかな。