7話 殺られる前に殺れ
「で、だ。今後の事なんだがな。真っ先にやりたい事がある」
俺は四天王に向かってそう言った。
「故郷か?」
ヴルカーノが深刻そうに聞いてくる。故郷に裏切られたとは話していたが、何をされたかまでは、話していなかったな。
「故郷を襲うのか? いくら、裏切られたとはいえ、故郷だろう? 親達もいるのだろう?」
スオーロが睨み付けるように言ってくる。
「あぁ。いるけど、俺は家族に殺されかけたからな、いや、家族だけじゃなく、町の人間全員に命を狙われたからな」
『殺せー!!』『お前のせいで国からの援助が無くなったらどうする!? 死んで詫びろ!!』『気持ち悪いのよ!!』『あんたが娘の婚約者だったなんて、あの子がかわいそうよ!!』『死ね!!』『エルヴァンを殺せ!!』『お前なんか、家族じゃない』
俺は、この場にいる者に、俺がここに来るまでの事を、詳細に話す。
ファムは、話を聞いて泣いている。クリスも無表情だが、怒ってくれている事はわかる。他の魔族達も、怒ってくれているみたいだ。
一緒にいた仲間や、家族よりも、暖かい気持ちになれるのが、今まで敵と認識していた魔族なんて、皮肉なものだな。
こうなってくると、滅ぶべきなのは、魔族じゃなくて人間なんじゃないのか? と、思ってしまう。
「貴方が故郷を恨む気持ちは分かったけど、何故一番最初なの?」
カスカータが涙を流しながら聞いてくる。
「あの国王と、マシューの事だ。俺が魔王だとわかれば、魔王の家族という事で、俺の家族を殺そうとするかもしれん。それだけは阻止しなけりゃいけない」
「やはり、家族だけは守りたいと?」
アグラーが、少し安堵した様に聞いてきたが、そんな訳がないだろう。
「あいつらに殺されたら、俺が復讐出来ないだろ?」
俺がそう答えると、アグラーは額に手を当てて、呆れた顔をしていた。
「で? どういう復讐をするつもりだ? いくらなんでも、無抵抗な人間を拷問して殺すというのは賛成出来んぞ?」
アグラーは、あくまで俺の復讐には抵抗があるようだ。俺としても、無駄な殺戮をするつもりはない。
そもそも、殺してしまえば、そこで終わるじゃないか。
俺がそう言うと、アグラーと四天王は、溜め息を吐いていた。