31話 聖女シリと聖女ノエリア
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大巫女? 確か教会では、聖女の次に権力を持っている奴だと聞いたな。その大巫女が、なぜこんな所に?
「あ、あの……一体何が……」
ギャビンの娘が、俺に状況を聞いてくる。いや、俺も気にはなっているんだが。
「ファム……」
俺は、クリスの横にいたファムを呼ぶ。ファムはコソコソと俺の元に来る。
「クリスはどうして、大巫女を連れてきたんだ?」
「えっとね……」
ファムが説明してくれた話では、教会でクリスが自分の正体を明かした事から始まったらしい。
元々、勇者と旅をするにつれ、聖女シリの態度が傲慢になって来た事もあり、教会の大巫女や巫女達もシリが聖女に相応しいかを考えていたそうだ。
そこに、女神を名乗るクリスが現れた事もあり、シリが聖女に相応しくないという見解になったらしい。
大巫女は、クリスの姿を見た事があるらしく、一目で女神クリスティ―ナだと認めたらしい。
「ちょっと待て。大巫女である彼女がクリスの正体に気付いたというのに、聖女であるシリがどうしてクリスの正体に気付かなかったんだ?」
「それは……。シリは本来の聖女じゃないから」
大巫女とシリの言い合いを見ていたクリスが、いつの間にか俺の隣に来ていた。
それにしても、シリが本物の聖女じゃない? ちょっと待て、聖女でもない限り神聖魔法は使えないんじゃないのか?
俺がそれをクリスに聞くと、クリスは「最下級の神聖魔法なら、僧侶にでも使用可能。神官や巫女で下級まで使える。大巫女で中級神聖魔法が使え、聖女は上級神聖魔法をいくつか使えるくらい」と話す。
という事は、シリが使っていた神聖魔法は下級魔法? という事になる。
「おい……。シリ、説明しろ!!」
マシューが、シリの胸ぐらをつかむ。どうやら、仲間の魔導士の女に回復魔法を使ってもらったようだ。俺が斬った傷が癒えている。
シリは、大巫女とクリスに任せて……「ファム。その子を守ってやってくれ」とギャビンの娘を、ファムに託す。
「あ、うん。エルヴァンは?」
「マシューを無力化する。四天王達にも言ったが、こいつには全ての憎悪を受けてもらう」
俺が、そう言って、マシューを殴り飛ばそうとすると、女の一人が俺の拳を受け止める。
「ほぅ……。本気じゃなかったとはいえ、俺のパンチを止めるとはな。まぁ、いいや……」
俺は女の首を掴み持ち上げる。
「マシューの……勇者の仲間を名乗る以上……覚悟はできているんだろ?」
女は、首を絞められているせいか、ジタバタともがいている。
「が……は……」
もう一人の、魔導士の女が、俺に向かって火球を放つ……が、クリスやヴルカーノの炎に比べれば、灯の様な炎だ。
俺は、首を掴み上げていない反対の手で、火球をはたき落とす。
「邪魔するんなら……、お前ら二人から殺すか?」
俺が、首を掴んでいた女を離し、明確な殺意をぶつけると、女二人は気絶する。
「おい。魔王を倒すメンバーを集めるなら、最低でも俺に向かってこれる奴を仲間にしろよ。顔と身体だけで選んでんじゃねぇよ」
俺は、剣を拾い上げ、マシューの元へと歩いて行く。
「おい。マシュー。お前の相手は俺だろ?」
俺がそう聞くと、マシューの下半身が小刻みに震えだす。
「ま、待て!! エルヴァン!! メディアの事は、ご、誤解なんだ!!」
は? こいつは今更何を言っているんだ?
「おい……。まさかと思うが、命乞いをしようとしているんじゃないだろうな」
マシューは、その言葉を聞くと、土下座しだす。
情けない……。
こんな奴、殺す価値もないな……と俺はマシューに背を向ける・・。
俺が背を言向けた事でマシューが聖剣を握り俺に斬りかかってくる。
本当にわかりやすい親友だったよ。お前は……。
俺は、マシューの聖剣を剣で叩き落とす。襲ってくるのはわかってたんだよ。
そのまま、マシューの足の骨を蹴り砕き、喉元に剣を突き付ける。
「終わりだ。勇者マシュー」
「ぎゃああ!! 足が!! 足がぁああああ!!」
うるさいな。
マシューの顔面を殴って、黙らせる事にした。後は……聖女シリだ。
≪大巫女ノエリア視点≫
聖女シリ……彼女は教会にいる頃から出世欲が強いというか、巫女としての才能もたいしてなく、神聖魔法も下級のもしか使えず、そしてクリスティア様への信仰心すらない巫女でした。
ある日、国の宰相が教会に来て、クリスティ―ナ様が「シリを聖女に任命したとお告げが来た」と言ってきました。私はおかしいと思いましたが、最近はクリスティ―ナ様との交信も出来ずにいましたから、半信半疑でしたが、シリに聖女としての教育を施しました。
そして、勇者マシューと旅に出ると言った時に、勇者パーティの一人にクリスティ―ナ様がいる事に気付いた私は、「これはクリスティーナ様の考えのもとで、聖女がシリである事は間違いない」と思い込んでいました。
ところが、魔王エルヴァンに敗れて帰って来た勇者マシューは、王宮に籠りがちになり、聞こえてくる噂は、毎日、聖女様や王女様や仲間達と性行為をして過ごしているというものでした。
「まさか……クリスティーナ様も? ……あの勇者に? そんな……馬鹿な……」
私は、一瞬でもクリスティーナ様を疑ってしまいました。大巫女であるのに……。
私は自分の中で、クリスティーナ様を疑う気持ちと、信じたい気持ちがせめぎ合う毎日を送っていました。
そんな時、教会にクリスティ―ナ様とファムさんが訪れてきました。
「私はシリを選んだつもりはない。どうせ選ぶなら、ノエリアを選ぶ」
クリスティ―ナ様は、クリスティ―ナ様を疑っていた私に、お優しい言葉を送ってくださるばかりじゃなく、本当に聖女として任命してくださいました。
「さて、ノエリアが聖女になって、ファムが大巫女になった」
「えぇ!!? クリスさん!? 勝手に何をしてくれているんですか!! 私、魔族ですよ!!」
私も驚きましたが、魔族の娘さん……、ファムさんも驚いていました。その後に、もっと大きな発言があったのですが。
「私はエルの妻だし、ファムは第二婦人だから、私の方が偉い」
え? 妻?
「クリスティーナ様。つ、妻とは? それにエルとは?」
「私の夫は魔王エルヴァン。ノエリアもクリスティーナじゃなくてクリスって呼ぶ」
「ちょっと!! クリスさん!! 何を言っているんですか!!」
ファムさんは顔を真っ赤にして、クリス様に怒鳴っています。可愛い人ですね。……この人が魔族。
国王から聞いていた魔族は、残忍な性格で世界を滅ぼす事を目的にしていると聞きました。聞いているのとは随分と違いました。
「ノエリア。魔族も人間も大した違いはない。あえて言うなら、魔族は魔力が高い。人間は繁殖能力が高い。それだけ」
人間と魔族の違い……にわかに信じられない事でした。しかし、クリス様が言うのなら、正しいのです。
「ノエリア。シリに引導を渡しに王宮に行くけど行く?」
「はい!! お供します!!」
王宮に辿り着いた私達は、聖鎧の力を引き出せないシリに声を掛けました。
「貴女には元々、巫女の力すらなかったのですから、仮にそれが聖鎧だったとしても、クリス様の加護を受ける事は出来ないのです」
私は、魔王エルヴァン様に拘束されている勇者を睨みつけ「それに、何かの間違いでシリにクリス様の力を引き出せたとしても、そこに拘束されている、偽物の勇者では使いこなす事は出来ません」と冷たく言い放ちました。
「ま、待ちなさいよ!! どうして大巫女のあんたがクリスに頭を下げてんのよ!! そいつは裏切り者の「黙りなさい!!」ひっ……」
クリス様が裏切り者? 私はクリス様に目線を送ると、クリス様は頷いていました。
「この方は女神クリスティーナ様!! 貴女が巫女としての力を持っているのなら、見間違う事は無い筈です!!」
私がそう言うと、シリはその場に崩れ落ちます。
「嘘よ……クリスが女神様? そんな馬鹿な……。嘘よ!!」
シリは、神聖魔法で私達を攻撃してこようとしましたが、それより先に私が・・神聖魔法の『神罰』を使い、シリの声と魔力を奪いました。
「シリには、この神罰がふさわしい……。後は教会で、処理して。聖女ノエリア」
神罰という魔法は、使用者やその世界の神により様々な効果が出ると言われています。私の神罰は、クリス様が望んだ神罰が与えられます。
「はい。クリス様」
私はシリを拘束魔法で拘束して、教会へと連れ帰りました。
王宮から教会への帰り道で、虚ろな目で歩いているシリに声を掛けます。
「シリ……。本当に馬鹿な事をしましたね」
シリは反応する事もありませんでしたが……しかし、まだですよ……。貴女には、クリス様を……女神様を裏切った女として、生き地獄を見せてあげますから……。
後、3話で本編は完結しそうです。完結後は番外編としていろいろ書こうと思っています。
少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。
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他にも連載していますのでよろしくお願いします。
クジ引き https://ncode.syosetu.com/n2043en/
親友が…… https://ncode.syosetu.com/n1660ez/
仲魔や家族……https://ncode.syosetu.com/n5646ex/
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