表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/34

30話 勇者と魔王

ブックマークの登録ありがとうございます。

≪レイア視点≫

 私は、勇者マシューの新パーティメンバーとして抜擢された、神官レイア。

 勇者マシューと剣士エルヴァン、それに僧侶メディアの話は、騎士団長だった父からいつも聞かされていた。

 僧侶メディアは、心の奥に野心を持っていると。実力は並み以下だが、その心はとても強いと聞いた。

 剣士エルヴァンは剣士としての素質は自分以上だと、ただ、少し遠慮がちな性格なのが残念だと聞いていた。

 問題は、勇者マシューだった。

 父が剣の修行を付けている時にでも、女の人をずっと見て集中力が無いと言っていた。その事を咎めると、自分が勇者だと、喚き散らしたそうだ。

 私も父の手伝いをしていた時から、マシューに何度も口説かれた事がある。


 父の剣の修行も終わり、勇者マシューが旅に出たと聞いたときは、しつこく口説かれるという日々がようやく終わると、喜んだものだ。

 マシューが旅に出て暫くすると、剣士エルヴァンが裏切ったと、マシューが報告して来た。あろう事か、指名手配してくれと。

 その話を聞いた父は「在り得ない」と憤っていたのを覚えている。

 私も正直信じる事は出来なかった。エルヴァンはいつも一歩引き、自分の主張をあまり言わない人だった。そんな人が裏切った? そんな馬鹿な。

 更に暫くすると、剣士エルヴァンが魔王だったという噂までたった。

 

 ある日、国王に呼び出された私は、勇者マシューのパーティに入るように命令された。

 私は拒否したが、マシューからの要望と言われて、全てを察する事が出来た。

 私は毎日、マッシュ―の部屋に呼ばれる事になった。

 その部屋では、私以外の女性メンバーと勇者マシューが性交しているのを毎日見せられた。

 マシューが満足すると、私に近付き「いつでも加わって良いんだぞ?」といやらしく気持ちの悪い顔で、私の頬を撫でてくる。

 私には父という後ろ盾があったから、マシューも手を出せなかったのだが、先日、魔王エルヴァンが国に宣戦布告をしたと、父はエルヴァンを止める事を条件に、マシューが私に手を出さないという約束をした。

 けれど、マシューは父がエルヴァンを倒すために出た後、私を押し倒そうとした。

「逃げられないぞ!! レイア!!」

「約束が違うじゃない!?」

 私がそう言うと、マシューはいつもの嫌な顔で「そんなもん知るか。どうせ騎士団長はエルヴァンに殺される。うるさいのがやっと消えたという事だ」とズボンを脱ぎ始める。

 私は部屋の隅に逃げるしかできない。……助けて!! お父さん!!

 マシューが私に襲いかかろうとした瞬間、部屋の扉が蹴破られた……お父さん? いや、違う……。


 剣士……、いや、魔王エルヴァン!?


≪エルヴァン視点≫

 俺がマシューの部屋の扉を蹴破った時点で、下半身を露出させたマシューが部屋の隅に逃げていた女を襲おうとしていた。

 俺はマシューを蹴り飛ばし、女を立たせる。

「あんたがギャビンの娘だな……。助けに来てやったぜ」

「え?」

 ふむ。見た目は悪くはない。マシューが好きそうな顔をしている。まぁ、そんな事はどうでもいいか。

 俺に蹴り飛ばされたマシューは、起き上がり俺を睨みつけている。その周りには、聖女シリと新顔の女二人。そして、この国の第一王女のマリーがいた。

「お盛んだな。変態勇者。で? 今度は強姦未遂か? 本当に勇者の資格がない奴だな」

 俺はマシューを呆れた顔で見る。マシューは下半身が露出している。

「おい、マシュー。その股間にぶら下げている者が聖剣か? ふーん。随分立派な聖剣だな。ほれ、構えてみろ」

 俺は、剣を抜きマシューに付きつける。

「魔王!! 貴方は女神クリスティナ様が任命した勇者様に剣を向けるなんて!!」

 シリが何かをほざく。

「黙れ。ビッチ聖女。マシューはこの国が勝手に作り上げた勇者だろう? いつ、女神様に任命されたんだよ」

「な、なんですって!! 私は聖女よ!! 跪きなさい!! 崇めなさい!!」

 バカか、この女。なんで、お前みたいなクソ聖女を崇める必要があるんだよ。それにだ……。

「マリー王女? あんた、隣国との政略結婚する予定だったらしいが、純潔じゃなくていいのか? あぁ、この国も今日滅びるから、関係なくなるか」

 俺は、見事な程に性に溺れた馬鹿王女を見て笑う。

「な、なんて無礼な!? 勇者マシュー!! 奴を殺しなさい!!」

 マシューは、下半身を露出させたまま、俺にとびかかる。

「そんな汚いもんを近づけるなよ」

 俺は、マシューの股間を蹴り上げる。……が、硬いものを蹴ったような気がしたのでマシューを見ると、鎧を着ている?

 真っ白な鎧で、光の力を感じる。いつ着替えたんだ? まぁ、いいや。

「へぇ、それが聖鎧ってやつか。それなりの力で蹴ったつもりなんだが、一応、聖鎧なだけあって強度はあるようだな」

「黙れ!! エルヴァン!! 殺してやる!!」

 勇者がそんな言葉使うのかよ。

「そうかい。元々、勇者と魔王は殺し合う運命だからな……」

 そう言って、俺はマシューに再び剣を向けた。

「マシュー。元親友としての最後の言葉だ。ここから先は、殺し合うだけだ。何か一言あるか?」

 俺が、そう聞くと、マシューは汚い笑みを浮かべた。

「そうだな。俺は勇者に選ばれ、お前は全てから()()()()魔王に成り下がった。お前は俺に討たれてこそ価値が出る。大人しく死んでおけ。親友!!」

 まぁ、そうだろうな。今から思えば、こいつは昔から自分がそう思い込んだ事は、そう動かないと気が済まない性格だったな。

「それが最後の言葉でいいな」

 俺は、さっきまで盛っていたと思われる格好のマリー王女

を見た。

「しかし、王女に手を出したのは問題だったと思うぞ? 隣国はこの国をよく思っていないと、修業時代に騎士団長であるギャビンに教わっただろう? 王女は、隣国との戦争を回避するための人質になる予定だった筈だ。だが、お前が王女の純潔を奪った事で、王女の価値はなくなった。つまり、隣国がこの国に戦争を仕掛ける口実にもなっちまったわけだ。その事はどうするんだ?」

 俺がそう聞くと、マリー王女とマシューの顔が青褪める。他の二人もこの事を知らなかったようだ。驚いた顔が面白い。

「う、うるさい!! 魔王(お前)を倒せば、すべてが丸く収まるんだ!! 黙って死ね!!」

「はぁ……。お前は下半身に脳でもついているのか? お前を殺せない理由が更にできちまったじゃねぇか。悪いが、死ぬ方がマシなほどの目に合ってもらうぞ? 親友」

 俺はマシューに斬りかかるが、マシューは余裕の表情をしている。あ? 聖鎧を過信しているのか?

 俺の斬撃は聖鎧もろとも、マシューの腹部を斬り裂く。

「な!? いでぇえええええええ!!!」

 マシューは、腹部の痛みに膝をつく。

「な、なぜだ!? せ、聖鎧が斬りつけられた!! 女神の加護があるんじゃないのか!?」

 マシューやマシューの周りにいる女は聖鎧が斬られた事に驚いている。シリの表情は真っ青になっている。

「どういう事だ!? シリ!!」

 痛みで冷や汗をかきながらシリに詰め寄るマシュー。

「し、知らない……。それには女神クリスティア様の加護が付いている筈……。ど、どうして?」


「それは、貴女がすでに聖女じゃなくなったからですよ」

 青褪めたシリとシリを睨みつけるマシューと女達。そんな奴等に声をかけてきた人物がいた。

 俺はその意人物の方に目をやると、クリスとファム。それに知らない女性が立っていた。

「シリ様……いえ、シリ。貴女にクリスティア様の加護など存在しません!!」

「な……!? あんたは……。大巫女ノエリア!!?」

少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。

よろしければ、ブックマークの登録、評価をよろしくお願いします。


 他にも連載していますのでよろしくお願いします。

 クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n2043en/ 

 親友が…… https://ncode.syosetu.com/n1660ez/

 仲魔や家族……https://ncode.syosetu.com/n5646ex/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ