25話 クリスの正体
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「まず、私は人間でも魔族でもない」
人間でも魔族でもない?
「まさか精霊なのか? 確かに精霊ならば未来を見る力も、神聖魔法に似た魔法を使えると、聞いた事がある」
「精霊!? 魔族や人間とは比べ物にならないくらい高位の存在よ!! クリスさんが……?」
精霊か……、クリス程の魔力なら在り得るかもしれないが、クリスは首を横に振る。
「精霊じゃない。もっと高位の存在。私は神族」
「しんぞく?」
なんだそりゃ。聞いた事もない。ファムはクリスの話を聞いて、驚いた顔になっている。
「ファム。知っているのか?」
「……神族。神様……」
神様!? バカな!! クリスがだぞ!?
クリスは、首を頷いている。という事は本物の神様なのか!? この世界での神様……確か、女神クリスティーナ。確かに名前が似ているが。
「それが私の正式名称」
ちょっと待て。という事は、マシューを勇者に選んだのはクリスなのか!?
「それは違う。私は、あんな馬鹿を勇者に選んでいない。そもそも私は、この世界にさほど興味がない」
「興味? ……って、さっきから、どうして俺の思っている事に答えているんだ?」
俺が疑問に思った事をクリスに尋ねると、クリスは少しだけ笑う。
「私は、読心という魔法を使う事が出来る。読心は自分が好いている人間の心を読む魔法。禁術となっている」
「何!? じゃあ、今までも心を読んでいたのか!?」
クリスは首を横に振る。そして、俺に顔を近づける。
ん? クリスは黒髪黒目の筈だ。でも、今は目が銀色に変わっている。
「目が銀色でしょ? これは神眼。これが無いと読心などの魔法は使えない」
神眼か……。神様なら持っていても、おかしくないと言えばおかしくないが。
「それで、話は戻るが、この世界に興味が無いとはどういう事だ? お前が女神なら、この世界を作ったのはお前だろう?」
女神クリスティーナはこの世界を作った。教会では、そう教えられている筈だ。俺もそう教わった。
「それは嘘。でも私を信仰している教会には、そう考えさせた方が都合が良い。それだけ」
神族に世界を作る力は無いそうだ。あらゆる次元に突如、発生する世界を管理するのが神族の役目で、クリスも約百年前に女神として、この世界を管理する役に当たったそうだ。
「百年前って、最近の話じゃないか。女神クリスティーナの神話はそれより以前からある筈だが?」
「クリスティーナという名前は世襲制。私の本名はクリス。でも、正式名称はクリスティーナになる。ややこしいから、嫌いだけど」
なにか、凄い話を聞いたな。
「まぁ、その事は後で聞くとして、今はマシューを追うか?」
「それはエルが決めればいい。これは魔王であるエルと勇者を抱えるこの国の戦い。女神は干渉しない。けど、エルは助ける」
俺を助ける?
「私はエルの妻。夫を助けるのは当たり前」
「いや、お前女神だろう?」
「うん。でも関係ない。神族だろうと好きに生きる」
そういうものなのだろうか?
俺は、少しだけ考える。このまま、俺一人でこの城を落とす事も可能だとは思う。けれど、それじゃあ、ダメな気がする。
「一度、町に戻ってみんなの意見を聞いてみようと思う」
「意見?」
「あぁ。俺自身はこの国に復讐をしたいし、する。けれど魔族達がどう考えているかをちゃんと聞きたい」
国王との交渉も終わったし、もうこの国と戦う事には何のためらいもない。
俺は魔族達に覚悟を聞くために町へと戻る事にした。
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