22話 国王との交渉
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「な、何者だ!?」
近衛兵が国王を守るように前に出る。国王は俺達を怪訝そうな顔で、見ている。
「流石は近衛兵だな。王を守る姿勢だけは褒めておくよ。まぁ、そんな事はどうでもいい。久しぶりですね。ギ―ア国王」
俺は、にこやかに笑い、国王に話しかける。普通、国王に話しかけるには、国王の許可がいるのでこの行為は、不敬な行為だ。
「よ、国王」
クリスに至っては、敬語すら使う気が無いらしい。
「き、貴様ら!! このお方を誰と思っている!!」
全くうるさい。
「誰って、国王だろ? それが分かってここに来たんだが?」
国王じゃなけりゃ、こんなおっさんに会いに来るかよ。俺が面倒くさそうに答えていると、マシューが俺に気付く。
「え、エルヴァン!?」
「ん? おぅ、色ボケ勇者。久しぶりだな」
俺はマシューに対して、軽く手を振る。本来は挨拶する事も面倒なのだが、これも一応勇者らしいからな。
「エルヴァン? 貴様が魔王か!?」
国王が、威厳たっぷりな顔で俺に問うてくる。
俺は口角を釣り上げて、「そうだけど?」と返すと、近衛兵や騎士達が俺達に剣を向ける。
「あー。大丈夫。今回は争いに来たんじゃないから。今回は交渉に来たの」
俺が軽くそう言うと、宰相達は怒り肩を震わせる。
「良い。話して見よ」
国王が許可をくれる。
「そうかい? 国王は一応話が出来るらしい。さて、こっちの要望としては、魔族領への侵攻を止めろ。それと、勇者なんて馬鹿な奴をのさばらせるな。この二つかな?」
「断ると言ったら?」
「言わなくても分かっているだろ?」
俺は、国王に向かい殺気を飛ばす。だが、流石に国王、動じない。
クリスは、ハッタリと言っていたが、こうして見ると本当に威厳があるように見えるが? 俺はクリスの方を見る。
「顔に出ていないだけ。背中は汗でびっしょりの筈」
ボソッと俺に教えてくれる。ファムも「国王から、人が焦った時に出す気配を感じる」とボソッと言っている。
俺と国王が睨み合っていると、宰相がクリスに「クリス嬢!! 貴様は人間だ!! 魔王を攻撃しろ!!」と命令しだす。当然のように、クリスは無視している。
マシューがやけに大人しいな……。と思ったら、もういなかった。あの野郎逃げやがったか?
「さて、返事を聞かせて貰おうか?」
俺は国王に再度、返事を催促する。
国王は黙っている。考えているのだろうか……?。予想外もいいところだ。即答で断ってくると思っていたんだがな。
暫く、黙って国王の返答を待っていると、ファムが「エルヴァン。この部屋に人が集まっている」と話しかけてくる。
成る程……。時間稼ぎか。
「全く、分かりやすいな。国王を時間稼ぎに使うとはな」
俺が国王にそう言うと、国王は口角を釣り上げる。
「貴様等の様な、下賤な輩と交渉などするわけなかろう。貴様らはこの部屋から出れぬまま、ここで死ね。クリス。貴様も一緒にここで死ね」
国王はそう言って、高笑いする。
まぁ、予想の範囲内だ。俺が何も考えずに敵地の中心に来るわけないだろ?
「はぁ……」
俺は呆れるようにため息を吐く。国王にはそれが諦めに見えたらしく、更に大声で笑う。
前には近衛兵。背には騎士連中。
俺は剣を抜き、一瞬で騎士達を無力化する。……。無力化と言っても殺しはしていない。拳の腹の部分で殴っただけだ。今日は殺しはしない
「この程度の騎士達で魔王を止められるとでも? まぁ、いいや。国王がそのつもりなら、交渉は決裂だな」
俺は国王に背を向けクリスに目で合図をする。
クリスの転移魔法で出来た穴に入っていく。俺としては最後のチャンスとしをやったつもりだったんだがな。
転移魔法で出来た先は、城の一室だった。
「おい。クリス。町に帰るんじゃないのか?」
「うん。挨拶しておこうと思って」
挨拶?
「え、エルヴァン!?」
声の主を見ると、メディアだった。
「よぅ。ビッチ。それにハーレム要因のシリじゃないか。聖女って処女じゃないとダメじゃなかったか?」
俺がシリにそう聞くと、シリの顔は真っ赤になる。
クリスもファムに「あれが色欲の性女」と指差している。ファムは口を押さえて笑いを堪えている。
「エルヴァン……クリス。こんなところで会うなんて……」
メディアが何かぞほざいているが、俺は当然無視をする。話をする価値すらないからな。
クリスも汚物を見るような目でメディアを見て、「エルは貰ったから」と一言だけ言い、無視する。
メディアは、俺達に無視されたことを許せないらしく、何かの魔法を使おうとしていたが、クリスがメディアを指差すとメディアの魔法が消える。
「な……。何を!?」
メディアが驚いているが、クリスは無視する。
「無視するんじゃないわよ!!」
無視するクリスを、メディアが怒鳴る。そんなメディアをマシューが止める。
「メディア。クリスに何を言っても無駄だ。エルヴァン……。いや、魔王エルヴァン!!」
「さっきも言ったけど、久しぶりだな色ボケ勇者」
俺は、目を細め、口角を釣り上げながらマシューに挨拶をした。マシューは殺気のこもった目で俺を睨んでいた。
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