20話 町の支配者
ブックマークの登録ありがとうございます。
「……とまぁ、俺が言いたいのはそれだけだ。俺達の邪魔をしなければ、今まで通り生活してもらっても構わない。但し、俺達を貶したり魔族を馬鹿にする者には、それ相応の罰を受けてもらう」
俺は、魔族がこの町を支配する事を住民達に説明した。最初は戸惑っていたみたいだが、ファムや四天王を見て、たいして見た目が変わらないから、問題ないと判断したのだろう。以外にも、何の反論もなく聞いてくれたようだ。
クリスは人間を情けないと言っていたが、俺はそうとは思えない。きっと、魔族と一緒にいれば、打ち解け合えると思っている。
但し、俺の中の優先順位は魔族だ。
住民達や魔族達の住む場所に関しては、ナトゥーラにわざと質素に作ってもらう。魔族の村の村人にとっては普通の家だ。
ナトゥーラは木々の力を使って家を作ってくれる。住民は少し不満そうだったが、一度家の中に入ると、次に出て来た時には満足そうにしている。
ナトゥーラに詳しく聞くと、植物の力で、家の中は快適な温度になっているらしく、人間達の家よりも住みやすい筈だと無い胸を張っていた。
アグラーには魔王という事を隠して、町長をしてもらう予定だ。マシューの親父のアルフさんには、アグラーを補佐してもらう。嫌がられるかと思ったが、すんなり受け入れてくれた。理由を聞いてみると、この町が昔から魔獣の被害が多い理由を、国と親父達が隠していた事に怒りを覚えているそうだ。
とはいえ、マシューの父親なので、それなりに警戒していると、アルフさんが胸の内を教えてくれた。
「マシューが勇者という時点でおかしいと思ったんだ。あの子は昔から、自分の思い通りいかないと、すぐに暴力に訴える子だった。今回の事も、もしかして裏があるのではと思い、自警団に、エルヴァン君を私の前に連れてきてくれと頼んでいたのだが、まさか、殺そうとしていたとは思っていなかった」
俺は話半分に聞いていたのだが、自警団の隊長に確認を取ってみると、うちの親父が直接命令を下していたそうだ。
自警団を含め、うるさかった連中は、ナトゥーラに頼み、劣悪な環境の牢獄を作ってもらった。ただ騒ぐとうるさいので、完全防音にしてもらった。
「さて、町の事はナトゥーラに任せて、クリス出かけるぞ」
「え? 新婚旅行?」
「な!? クリスさん!! 抜け駆けはいけませんよ!!」
こいつらは何の話をしているんだ?
「違うよ。国王と交渉してこようと思ってな」
「交渉?」
「あぁ。魔族の事を認めれば良し、認めなければ、この町を拠点にこの国『ギ―ア王国』を滅ぼす」
俺は交渉に向かう為に、アグラーと話をしに行く。
「何? 交渉?」
「あぁ。話にならないとは思うが、いきなり侵攻してしまうと、あいつらと変わらなくなってしまうからな」
「侵攻と言っても、魔族には軍というものが無いぞ?」
「いるじゃないか」
そう、魔獣がいるじゃないか。あいつらを調教すれば軍隊になる。
俺がそう言うと、アグラーは少し考えた上で、俺に一つの提案をしてくる。
「エルヴァン。ワシは引退する事にする。だから、お前が魔王を名乗れ。いや、人間の王子はお前の事を魔王と思っているのだったな。ちょうどいい」
え? 何を言っているんだ?
「ヴルカーノを含む、四天王全員が認めておる。大人しく魔王になれ」
「ちょっと待ってくれ。四天王全員が認めているって、俺は人間だぞ? いわば、お前達の敵だ。それなのに……」
アグラーの突然の提案に、俺が困っていると、ヴルカーノが部屋に入って来た。
少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。
よろしければ、ブックマークの登録、評価をよろしくお願いします。
『クジ引きで選ばれた勇者』もよろしくお願いします。
https://ncode.syosetu.com/n2043en/




